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HMVインタビュー:大塚広子

Tuesday, November 9th 2010

interview

先日、「THE PIECE OF TRIO RECORDS」(ARTD5547)をリリースし、今、一番勢いに乗ってるDJ 大塚広子さんにインタビュー! このインタビューを読んでからCDを聞き直せば、新しい発見があること間違い無し!

インタビュー・文:下田(FUNK/SOUL兄弟仁義)

すてきな音楽は五感で楽しむって感覚?でしょうか。 手で触れて、音が出てる溝が見えるレコードがいいんです。 においとか写真やデザインとか、ライナーとかがあって背景や人間模様も見えてくる、 それがあるからこそ、いとおしく思える音です。

--- リリースおめでとうございます!HMVには初登場になりますね。まずは簡単な自己紹介をお願いします。

大塚です。黒いと言われるDJです(笑)。 現在は、渋谷The Roomにて毎月第四金曜日のイベント「CHAMP」のレギュラーを6年以上してます。 それ以外の週末は全国の濃い〜パーティーにゲストDJしにいくという毎日です。 Jazzを切り口にジャンルや年代はあまりこだわらず、60年代から新譜までかけていますが、やはり昔からマイナーレーベルやマイナーグループのJAZZ、FUNK,SOULといったブラックミュージックが大好きでレコード探し(=いわゆる掘り笑)が癖…。 DJでは、ダイナミックな楽曲から繊細な曲も好きでプレイしますし、そしてやはり多くの人と共有できるダンスミュージックとしての選曲を心がけています。

あとは毎日のdjotsuka.comブログ更新とwaxpoetics公式blogで本当にお薦めするレコード紹介、「ジャズ批評」誌の執筆や、クラブ雑誌「GROOVE」「remix」ファッション誌、スペインの雑誌でもインタービューコメント掲載があります。 今年の2月にはスペインでDJを行い、現在フリーマガジン「DESTINATION MAGAZINE」でスペインミュージックシーンの連載をさせていただいています。

--- 今作では普段DJされている状況とは異なるTRIO RECORDSの音源のみでのMIXでしたが、苦労した点や制作で意識した点はありますか?

全て私物とレーベル保管のアナログで一発録りしたために、全体の音質の違いに苦労しました。昔の録音状態が曲によって様々でしたし…。 でも、むしろ時代の生々しさが感じられて、どんどん当時のリリース背景に興味をもちました。 あと、既にレアグルーヴというジャンルが生まれた何年も前から日本のJAZZはとりあげられていたので、すでにクラシックとされているものは敢えて入れませんでした。 すばらしいコンピレーションも発売されていますし(「GROOVY INDEED TRIO編 等」)。 むしろ安価で売られている80年代の音源や、クラブ界ではあまり話題にならないフリージャズ、日本語のジャパニーズポップスの粋まで幅広くmixしてみました。

--- この作品ではすべて同じTRIO RECORDSの作品ながら、様々な色が出ていると思います。今回制作した事によって大塚さん自身はTRIO RECORDSのイメージに変化はありましたか?

先ほどの質問で、時代の生々しさが感じられて…といいましたが、当時TRIOがリリースした内容は本当に前衛的で、当時のJAZZの勢いがとてもリアルに感じれたんです。 TRIOの保管用LPをほぼ全て聴きましたが、なかでも60年後半〜70年のフリージャズ・シーンの背景が見えてきてその魅力に釘付けになりました。 フリージャズって音だけ聴かされてもわからないじゃないですか。でも、なんでその音がうまれたのかその風景がわかると、自然と入っていけて…。 制作中ちょうどFUJI ROCK FES出演のころだったんですが、「日本フリージャズ史」(副島輝人著)を移動中愛読してましたね(笑)。

--- 今作を気に入ってくれ、TRIO RECORDSの作品をもっと聞いてみたいという方に薦めるとしたらどの作品になりますか?

13曲目の植松孝夫「ストレイト・アヘッド」はアルバムとしても良質な楽曲がたくさん入っているので、ぜひ一度聴いてみてください。LPも探せばありますし、CDで再発もされています。

--- 強いて上げるならハイライトとなる流れ(選曲)はどこになりますか?また、ここは意識して聞いて欲しいというポイントは?

9曲目の「PHASE13」〜ジョン・コルトレーン「LOVE SUPREME」〜「黒いオルフェ」の名曲アレンジ、12曲目の宮間利之の「モントレーライブ」くらいの流れでしょうか。日本が誇る当時のLIVEの温度を、ぜひ感じてほしいです。音の粒を感じられるような実験的フリージャズから、ダイナミックな白熱ものまで様々なタイプをミックスしています。

--- ここ数年、Rare GrooveやClub Jazz等を好きな人には一つのキーワードになっている「和JAZZ」ですが、 大塚さんは現在の「和JAZZ」についてはどうお考えですか?

海外も日本もこだわっていはいませんが、今回を機に日本でジャズを謳う ということのプライドがフツフツ沸いてきたような…。 当時の先人にパワーをもらったので、もっともっとその音源を知って掘って、 伝えていきたいと思います。

--- 今では様々な方法で音楽を購入出来たり、楽しめる時代になってきています。そんな中、大塚さんが考える「音楽の楽しみ方」とはどういったところにありますか?

私はたぶん音だけを聴いても正直、楽しくないんでしょうね。 クラブでみんなでお酒飲んで踊って共有したり。はじめの洋楽はPUNK、モッシュからはいってますし(笑)。 すてきな音楽は五感で楽しむって感覚?でしょうか。 手で触れて、音が出てる溝が見えるレコードがいいんです。 においとか写真やデザインとか、ライナーとかがあって背景や人間模様も見えてくる、 それがあるからこそ、いとおしく思える音です。

--- ありがとうございました。では今後の活動予定等ありましたら教えて下さい。

和ジャズコンセプトにした神戸のイベントがあったり、 11/14は今回のハイライト植松孝夫さんの生ライブがみれるイベントが六本木アルフィーであります。ぜひこれは必見必聴です! 11/28は同じく六本木アルフィーで(日野元彦さんの奥様のジャズライブハウス) 沖野 修也さん吉沢はじめさんはじめ、現在進行形のジャズセッションも見ものです。

新譜THE PIECE OF TRIO RECORDS mixed by hiroko otsuka
UNIVERSOUNDSを主宰する尾川雄介氏監修「Deep Jazz Reality」シリーズでも取り上げられたばかりの和ジャズ・レーベル=TRIO RECORDS。国内外を問わず一流から無名まで多くの才能豊かなミュージシャンの作品を発表する、まさに和ジャズ音源の最重要宝庫、TRIO RECORDSのオフィシャル・ミックスCDのリリースです。DJは、現在THE ROOMで行われている「CHAMP」を中心に、今年はFUJI ROCK FESTIVALへの参加も果たしている女性JAZZ DJ、大塚広子! 2004年以降、都内でのDJ活動と自身のミックスCDの展開から、全国的な現場での支持を得て、ワン&オンリーな「黒いJAZZのグルーヴ」を起こすDJとして、その存在を不動のものとしている。そんな彼女による、スピリチュアル・ジャズ〜フリー・ジャズ〜エクスペリメンタル〜和ジャズ/和モノにまで及ぶ、深い漆黒ワールド。大塚広子の現代的解釈で蘇るTRIO RECORDS音源、改めてその奥深さを再認識させられる至極のミックスです。


イベントスケジュール

11/14(Sun) "InN'out" @六本木alfie
平戸 祐介(p) [from quasimode] 工藤 精(b) 藤井伸昭(Ds) guest 植松 孝夫(ts)

DJ:小松正人(slowly) 大塚広子(CHAMP,Key of Life+)
DJ 19:00-22:00 Live20:00-21:00
2000yen (drink別)

11/28(Sun) "CIRCLE" @六本木alfie
DJ:沖野 修也(Kyoto jazz Massive)
- クラブジャズとジャズクラブが出会う夜〜その弐 -
LIVE: 吉澤はじめクインテット(吉澤 はじめ(p) from Sleep Walker 秋田 ゴールドマン(b) from Soil and "Pimp" Sessions 今泉 総之輔(ds) from Quasimode 類家 心平(tp) レイモンド・マクモーリン(ts))

DJ: 沖野修也(KYOTO JAZZ MASSIVE) CHAMP(YOSUKE TOMINAGA, OIBON, 大塚広子)
DJ 19:00-22:00 Live 20:00-21:00
2000yen (drink別)

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