ジャズ定盤入門 =第十四回=
for Bronze / Gold / Platinum Stage.
今回の主役の「定盤」
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ハービー・ハンコックは有名だ。ただし、その名前からイメージする音は人それぞれかもしれない。少なくとも私がこの人の名前を聞いて頭の中に鳴り響くのは、ジャズ・サウンドではなく、テクノ/ヒップホップの名曲である83年の「ロックイット(Rockit)」なのだ。
83年当時、私は中学2年生。ちょうど洋楽を聴き始めた年であり、「ロックイット」もリアルタイムで聴いた、というか、あの奇天烈にして秀逸なビデオ・クリップを見た覚えがある。ヒップホップ的なビートやスクラッチ・サウンド(レコードを手で動かして“キュキュッ”という音を出すやつ)と遭遇したのはこれが初めてで、結構な衝撃であった。なにやらこの曲は、メジャーレーベルから発売されたものとしては初めてスクラッチ・サウンドを使った曲だったらしい。
そういうわけで私にとってのハービー・ハンコックは「ロックイット」の人であるからして、ジャズ担当者が選んでくれたおすすめリストの「マイルス・バンド出身という『伝説』を持つピアニスト」という欄にハービー・ハンコックの名前を見つけた時は、いささか意外に感じた。マイルス・バンドのピアニストと言えば、58年ごろに在籍していたビル・エヴァンスを思い出すが、ハービーが在籍していたのは63年から68年まで。マイルスに非常に頼りにされていたとう、バリバリの実力派なのである。
そう言えばハービーはジョニ・ミッチェルへのトリビュート・アルバム『リヴァー(River)』で2008年にグラミーの最優秀アルバム賞を獲っている。
ハービーとジョニは、以前もこの連載で紹介したことのあるジョニの79年アルバム『ミンガス(Mingus)』でも共演しており、その付き合いは長い。今作にはジョニ本人意外にも、ノラ・ジョーンズやコリーヌ・ベイリー・レイなど人気のヴォーカリストも参加しており、収録曲の約半分がヴォーカル・ナンバーで残りはインスト・ナンバーであった。ヴォーカル・ナンバーはどうしてもヴォーカルにばかり耳が行きがちになるが、バックで奏でられるハービーのピアノの音色は非常に洗練されているし、インスト・ナンバーでは、なおのことそれが際立っている。個人的には、コリーヌ・ベイリー・レイがヴォーカルで参加した「リヴァー(River)」がベスト・トラックだった。
『フューチャー・ショック』は例の「ロックイット」を収録した83年のアルバムである。「ロックイット」は久しぶりに聴いたが、今聴いてもやはり強烈にカッコイイ。他の曲も同系統の打ち込みサウンドで悪くはないが、やはり「ロックイット」が突出している。いい年をして思わずブレイクダンスを踊りたくなってしまったが、そこは我慢した。
ハービーの作品は、その作風がどんなものであっても常に知性とユーモアを個人的には感じるのだが、今作には、それに加えて、詩的な美しさが溢れている。
聴きやすさと深みが絶妙なバランスで共存している点においては、これまで聴いてきた中ではビル・エヴァンスの『ワルツ・フォー・デビイ』にも匹敵する完成度の高さではないかと思う。ハービーの他のアコースティック・ジャズのアルバムにも俄然興味が湧いてきたので、今回は聴けなかった『処女航海』のほうも聴いて、機会があれば再度この連載でハービーを取り上げたいと思う。
ジャズ担当者の談は「マイルスのもとでアコースティック・ジャズを極めたハービーが、バンドを離れて、その後の新しいジャズの展開を予感させる作品。リリカルなピアノにホーン奏者を加えた瑞々しい響きなど、外面的な効果だけにとどまらない魅力的な編曲は、時代の先を読むセンス、とでもいいましょうか。印象的なジャケットとともに、色褪せることのない作品です。」
そう。卓越した音楽的センスはもちろんこと、詰まるところ、この人が最も秀でているのは「時代の先を読むセンス」なのではないか思う。常にリスナーの少し先を行き、時には賛否が分かれる作品を発表し、結果的には音楽シーンを活性化し続けている。
ハービーは現在70歳。ちょっと逆算してみると、「ロックイット」の頃は既に43才だ。負けてはいられないと思い、20年以上ぶりに「ロックイット」にあわせてブレイクダンスをしてみたら、背中で回った拍子に背骨を痛めてしまった。体力の衰えに切なさを感じる41才の春である。