[イベントレポ] 七尾旅人

Monday, July 26th 2010

それは、HMV渋谷で働く一人のバイヤーのtwitterでのつぶやきから始まった。

「突然失礼します！自分はHMV渋谷店で働いている石田と言います。ご存知かと思いますが渋谷店は8月で閉店してしまいます。もし宜しければ7月に新作もリリースされると言うことでインストアライヴなどお願いできないでしょうか！突然のお願い恐縮です！」

それに対する七尾旅人氏の返答がこちら

「誰がなんと言おうと絶対やります。16で上京して以来これまで、渋谷HMVでどれだけ色んな音に出会わせてもらったかわからないです。日程など相談したいのでサイトにメール頂けますか？宜しくお願いします。」

それから、話は拍子良く進み

「自分が七尾旅人氏へツイートしたインストアライヴが現実になりました！７/16　19時よりHMV渋谷2Fイベントスペースです！皆様、7/7発のアルバム『Billion Voices』を買って是非ご参加下さい！本当に嬉しい！ありがとうございます！」

当日は七尾旅人氏も再度twitterで告知

「本日19時から渋谷ＨＭＶにて、最初で最後のインストアライブ。やけのはらくんも出るよ。俺のサイン会もあるらしい。twitter上でのHMV店員さんとのやり取りから急遽決まった今回のライブ。あの店には思い出がいっぱい。これまでの感謝を込めて、全霊で歌います。」

さらに終了後の七尾旅人氏のつぶやき

「今日は生涯ベスト・インストアだったかも。店員のイシダくんに感謝。３０分のはずが、やけくんの遅刻を誤魔化す時間稼ぎでサザンやヤマタツまで歌いまくって６０分くらい演ってた。やけくんナイス。」

一人のHMVスタッフの、真っ直ぐで熱い想いが、七尾旅人というアーティストに届き、それをしっかり受け止めてくれた。
七尾旅人氏には、HMV渋谷に対する感謝を形にしたいという想いがあった。

人間同士の血の通ったコミュニケーションから生まれた熱いイベント。
音楽を愛する者達の情熱が形として成立した、奇跡のようなイベントだった。

※ HMV渋谷は閉店のその日まで、大好きな音楽を発信し続けます！今回のような素晴らしいイベントを随時ブッキング中。お近くの方は是非お店に足を運んでみて下さい！

2010年7月16日 19:00 @ HMV渋谷『七尾旅人インストアイベント』レポート

HMV渋谷イベントスペース。満員のお客さんが待ち受ける中、黒い衣装に麦わら帽という、いでたちで現れた七尾旅人。

ステージに現れるなり、一言。
「あれ？みんな見えるかな？良かったら座っちゃって下さい」
それに答えるように着席するオーディエンス。

そんな温かい一幕からスタートしたイベント。

演奏がスタートすると自然と会場の空気は、七尾旅人を中心とした輪を描き、オーディエンス一人一人が、ぐっと七尾旅人の演奏に歌に引き寄せられ聴き入っているようだった。

本来30分を予定していたイベントだったが、やけのはらの遅刻により、サザンの「夏をあきらめて」、山下達郎の「さよなら夏の日」を歌いながら繋ぐという、嬉しいハプニングも。

そのカバー楽曲。楽曲の良さもさることながら、七尾旅人の"うた""ギター"がまさに染み入るようで、彼の"うたごころ"と言うものを改めて、気付かされる結果となった。
実際、聴いていて、涙が落ちそうになった人も多いのではないだろうか？

「HMV渋谷で僕は、小さな国の国家予算くらい使いましたよ」
途中MCで、HMV渋谷に対する想いなども語られながらLIVEは進んでいく。

そして「どんどん季節は流れて」会場全体が大合唱。
その会場の空気は、なにやら特別なモノになっていった。

その後、ようやく、やけのはらが到着。
始まりの一幕を知る由もない、やけのはらの「最後はみんな立とうか？」の一言で全員が総立ちになり、これまた会場が一つになった瞬間。
もちろん、あの曲「Rollin' Rollin'」
その盛り上がりは言うまでもないでしょう。

最後は七尾旅人が、この場所だからこそ歌いたかった楽曲「I」で締められた。
心の底から、楽しく、そして染み入るインストアイベントだった。