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HMVインタビュー:Jaicko

URBAN FLAVA

Wednesday, July 21st 2010

interview

Jaicko

質問・文:二木崇(D-ST.ENT)
インタビュー・翻訳:Yumi “DzMama” Parks

最初のアルバムをリリースした後から海外への進出のチャンスも出てきて、 学校を休むようになったら、他の生徒から嫉妬されるようになって・・・大きな問題へと発展していったんだ。だから学校を辞めざるをえなくなってね。両親と相談した結果、ホームスクールに切り替えて音楽のキャリアを目指すことに決めたんだ。

--- 生い立ちについて詳しく教えて下さい。

人生の大半を音楽に囲まれた環境で過ごしてきたんだ。父もずっとバルバドスで最も人気のある(ナイト)クラブの内の1軒を経営してるし、そういった環境で育ってきたことが自分の音楽性に大きな影響を与えてきたと思う。単なる趣味としてだけじゃなく、今となってはキャリアになってるからね。自分の今のスタイルはそんな環境に影響されたものなんだ。実は叔母さんもバルバドスでは超有名なソカ・シンガー で、初代カリプソ・クィーンで、それに従兄弟たちは皆バンドをやってたりするからね。

--- 影響を受けたアーティストは?

ボブ・マーリーからアッシャー、マイケル・ジャクソンっていう感じで、いつも、色んなタイプの音楽を聴くようにしてきたんだ。そうすることで、音楽を通じて自分をより上手く表現できると思ってきたからね。今挙げたマイケル・ジャクソンなんて、自分があらゆる部分で影響を受けてきた数少ないアーティストの一人で、彼のスタイルやステージでの存在感、歌い方とか全て。ボブ・マーリーは、ジャマイカ出身っていうことで、バルバドスに非常に近い存在でもあるってところからも、文化的要素を含め、すごく影響を受けたよ。

--- 初めて買ったレコードは?

かなり昔、たしか9歳の時だったと思う、その頃Bow Wowの大ファンだったから、彼のファースト・アルバムを買ったんだ。確かタイトルは『Beware of Dog』。

--- 彼の影響で、最初はラッパーになろうと思ったんですか?

その通り!とにかく何か自分の作品を作りたいって思ったし、ラップ・カルチャーにすごく興味を持って、引き込まれていったんだ。自分はあの頃9歳で、彼は13歳で、すごく彼を気に入ってたんだ。当時ラップ業界で最年少だったし、彼が沢山の女の子たちをゲットしてたのを見てたからね。彼みたいに沢山の女の子をゲットしたいから、ラッパーになりたいって思ったん だ(笑)。あと、ジェイ・Zの大ファンだしね・・・。 でも成長するにつれて、少し違った考えを持つようになって、歌こそが自分が本来持つ才能なんだって気づくようになってったんだ。昔から自分は歌えるって分かってたんだけど、なかなか歌う自信が持てなかった。実際に自分の歌をレコードにしていくことによって、より自信も持てるようになっていって 今に至るんだ。ジャパンにもうすぐ行けるかもしれないしね・・・(笑)。

--- 初めてのライブは?

12歳のときに父親と一緒に立ったステージが最初のライブだったと思う。ローカルのナイトスポットでのショーだったんだけど、クラブ・レストランみたいな観光客が立ち寄る場所で、よく沢山の観光客たちを前にショーをしてたのを覚えてるよ。海外、英国や日本、アメリカ、西欧の旅行者たちがよく訪れるスポットだったんだ。クラブの名前は「Ship Inn」。それが最初のライブで、ラップの曲を色々やった。子供だったからお客さんたちからも可愛がられたよ。

--- バルバドスでリリースされた初めてのアルバムについて教えてください。

アルバムのタイトルは『Reworking』だったんだけど、実は『Transition』ってタイトルにすべきだったと今では思う(笑)。16歳だったんだけど、あの頃からキャリアについて真剣に考えるようになって、自分自身を真面目に捉えるようになっていったんだ。実際に出来上がったアルバムを手にしたときからそういう風に変わっていった。あのアルバムでは殆どの曲で歌とラップ両方をやったんだ。ファーストアルバムっていうことでその意味合いは大きかったし、バルバドス本国だけで6千枚売ったってことで父と一緒に感動したことを覚えてる。最高だったよ。

--- バルバドスの総人口を考えた上でも、6千枚というのは大きな数字でしたよね・・・。

その通りだよ。しかもバルバドスの人たちは殆どCDなんて買わないからね(笑)。

--- ではそのファーストアルバムこそがこれまでのキャリアでターニングポイントなった出来事なんでしょうか?それとも他にターニングポイントとなった出来事はありますか?

ヘアースタイルのせいで17歳で高校中退をしなきゃならなくなったんだけど、あれは自分の人生、キャリアにおいても、重要な出来事だったと思う。結果が良かったのかどうかは別としてね。自分が生まれ育ったバルバドスの学校の規則はものすごく厳しかったんだ。制服を着なきゃいけなかったし、男子生徒はみんなショートヘアじゃなきゃいけなかったんだ。でも17の頃から髪の毛を伸ばし始めたんだ。音楽のためだけじゃなく、自分自身を表現するためにね。丁度その頃から、ラジオとかで自分の曲が良くプレーされるようになって人気が出てきたんだ。最初のアルバムをリリースした後から海外への進出のチャンスも出てきて、 学校を休むようになったら、他の生徒から嫉妬されるようになって・・・大きな問題へと発展していったんだ。だから学校を辞めざるをえなくなってね。両親と相談した結果、ホームスクールに切り替えて音楽のキャリアを目指すことに決めたんだ。

---そしてその決断が故に成功を掴むわけですよね、キャピトルとの契約の経緯はどんな感じだったんですか?

その決断が、結果、キャピトルとの契約を手に入れられたんだと思う。しかも、その契約は自分にとってまさしく警鐘になったんだ。 契約を機に自分のキャリアに対して更に真剣に取り組むようになっていったからね。 確かにそれ以前から思ってはいたけど、 実際はまだそこまで真剣にとらえてなかったし、それほど重要だと思ってなかったんだ。でも学校を辞めて、もう後戻りできないっていうか、絶対に成功しなきゃって思うようになって、その為には自分の力で、全力で頑張るしかない、集中してやらなきゃって思ったんだ。音楽以外に頼れるものはなかったからね。

それからはアメリカや世界各国に自分の音楽を届けられるように集中し始めたんだ。自分の音楽を色んなメジャー・レーベルに売り込んで、キャピトルも自分に興味を持ってくれたレーベルの1つだったんだ。 キャピトルの前にも、Jレコーズ、 ワーナー・ブラザーズ、デフジャム、ユニヴァーサル、ジャイブとか、とにかくあらゆるメジャー・レーベルにコンタクトを取った。 でも、髪を切ってまた学校に戻ろうかって思ってた時に、マネージャーのメレディス・ヴァリアンドが、「キャピトル・レコーズのA&Rであなたに興味を持ってて、ずいぶん長いこと追いかけている人を知ってるからどう?」って声かけてくれてね。数日後に、ニューヨークに行ってそのA&Rのクリス・アノクーテに会ったら、彼から「契約したいから、ボスに話つけてくるからちょっと待って」って言われてね。その3日後に契約交渉するに至ったんだ。

--- バルバドスの音楽シーンについて教えてください。

正直なところ、バルバドスの音楽業界はすごく海外からの音楽に依存しているんだ。ソカ以外にはバルバドス独自の音楽業界はすごく規模が小さい。キミも知ってる通り、ジャマイカではレゲエ音楽が根付いていて、誇りを持ってその音楽を海外にも伝えていってるけど、何故かバルバドスの人たちは自分たちの音楽が海外ではレゲエみたいに受けないんじゃないかって思ってるん だ。だからみんなヒップホップやR&B、ポップとか他のジャンルの音楽を楽しむ傾向にある。ただ1年のうち6月から8月まで収穫祭の影響でソカが盛り上がるんだけど ね。で、その時期はソカのアーティストたちが沢山シーンに登場するようになるけど、それ以外はバルバドスの音楽シーンはアメリカと殆ど変わらないよ。

--- -日本でよく知られているのはリアーナ、ルピー、アリソン・ハインズ、ションテル辺りなのですが、 彼らについてコメントしてもらえますか?

OK! 彼らは自分にとってもすごく近い存在で、っていうのも今話したように、バルバドスの音楽シーンはすごく小さいから、みんなお互いを知ってるっていうような状況なんだ。ションテルは実は自分の父が最初にスタジオに招いたアーティストで、彼女は本当に才能豊かなライター、そしてシンガーなんだ。アメージングなアーティスト。成功するに違いないと思う。アリソン・ハインズも自分の父親サイドの親戚たちとすごく親しい仲で、一緒にバーベキューをしたりビーチハウスで一緒に過ごしたり・・・音楽以外でもすごく良い人で、自分にも諦めないでポジティヴで居続けるように言ってくれたしね。ルピーはバルバドスのジムでこの間たまたま会ったんだけど、同じように「良い仕事をしてるから今後も頑張って」って言ってくれて、彼もすごく良い人。ものすごい才能の持ち主だしね。

---バルバドスでも毎年「バルバドス・ミュージック・アワード」があって、今年はあなたもSoul/R&B部門でのアーティスト・オブ・ザー・イヤーを獲得してますが、賞をもらったときの気持ちを教えてください。

そりゃもう最高の気分だったよ。以前にもノミネートされたことがあって、きっと今までにも累計10回位ノミネーションを受けてきたと思う(笑)。実際受賞できなくても、ノミネートされることでアーティストとしての自分の認知度があがったことが大切だって今までは思ってきたんだけど、今年は実際に賞をもらえて、アメイジングな気分だったよ。

--- 今作のタイトルやコンセプトについて教えてください。

アルバム・タイトルは収録されているトラック「Can I」からとったものなんだけど、 この曲は父と一緒に書いて、バルバドス出身で親しくしてる友人の一人でもあるダニー・リードと一緒にプロデュースしたんだ。当時の自分の全てが詰まった内容でもあり、自分のモチベーションをあげていくために作った曲でもあるんだ。 今まで経験してきたいろんな困難に立ち向かっていくためのね。 例えば、髪を切れって言われたときのことや、学校を出て行かなきゃならなかったこと、そういう色んな困難を克服できるかどうか?って自分に訊いて、「Yes, I Can」って自分に言い続けてきたからね。セルフ・モチベーション的な内容なんだ。「このアルバムでレコード契約とれるかな?」って自身に訊いて「Yes, I Can」って答えて「何百万枚ものレコードセールスをあげられるか?」って訊いた ら「Yes, I Can」って自分に言い聞かせるみたいなね。

あと、自分の中である信念があって、それは1枚のアルバムの中にあまりにも異なったタイプの音楽を色々収録するのは避けたいっていつも思ってるんだ。そうするこ とでリスナーを混乱させちゃうからね。 一体どんなアーティストなのか、はっきり分からなくなっちゃうと思うしね。だから、特に今回はファースト・アルバムっていうこともあるし、しっ かり1つの方向性を貫いた作品にしたいって思ったんだ。 自分がどんなアーティストでどんなことが出来るのか分かってもらうためにもね。

--- 参加プロデューサーたちについて語って下さい。

今回のアルバムは素晴らしいプロデューサーたちと一緒に作っていったんだ。例えば、ジム・ジョンシン、リコ・ラヴ、スターゲイト、それから父と一緒に3トラックほど作ったりして。 初めての仕事ではビビってしまうみたいなことが多いと思うんだけど、今回、どのプロデューサーとの仕事もすごく快適に、リラックスしてやれたんだ。 彼らそれぞれのヴィジョンも勿論あるけど、彼らが聴きたい音楽を押し付けるって感じじゃなくて、僕を理解してくれたし、意見を尊重してくれたんだ。 特にリコ・ラヴとジム・ジョンシンとの仕事は楽しかったね。マイアミのスタジオでやったんだけど、マイアミ自体がすごく自分の故郷に近い場所だったし、そういう意味でも楽しいレコーディングだった。彼らとの仕事は本当に良い経験になったんだ。2人とも楽しい人たちだし、クールで素晴らしい才能をもったプロデューサーだからね。 アルバムを通してJaickoそのものって内容に仕上がってると思うよ。 このアルバムを聴いてもらえば、自分がどんなアーティストなのか分かってもらえるはず。

--- スターゲイトとはどんな感じだったんですか?

彼らとは実際に一緒にスタジオに入ったわけではなく、別々の場所から曲を作っていっ たんだけど、ロバート・アレンとは実際に会って仕事をしたけどね。彼との仕事もアメイジングだったな。こんなにメジャーなプロデューサーたちと一緒に仕事できたのは今回が初めてだったんだけど、どのプロデューサーとの仕事も楽しんで出来たよ。

--- リミックスで共演したスヌープ、シェネルの印象は?

シェネルとは親しい友人で、レコード契約をする前にも、彼女とは仕事をしてるんだ。一緒に3曲書いてるし、リミックスもやってるしね。でもスヌープは自分が始めてレコードで共演したメジャー・アーティストだからね、最高の気分だったよ。ラジオで自分の曲にスヌープも共演してるのを聴いたり、「Snoop D・O・Double・Gzzle’And Jaicko」みたいなフレーズを彼がラップしてるのを聴いて「Snoop Doggが自分の名前呼んでくれてる!!」って感動したのを覚えてるよ。

--- ソングライターとして常に意識していることは?

とにかく自分に正直でありたいって思ってるんだ。沢山の人たちがフォーミュラー(註:成功の方程式)に沿って曲作りしようとするけど・・・特にポップ・ミュージックにおいてはね。でも自分はこんな風に捉えてるんだ。 この曲はクラブで盛り上がるかな?とかキャッチーかな?なんてことは考えないようにして、自分が聴いて良いと思える曲、自分の正直な部分を表現できてる曲を優先して、そんな風に出来た曲がさらに人気を得るようになったら、それこそが真のポップ・ミュージックだって思うんだ。

--- 曲を書くときにインスパイアされるものは?

自分の周りにある人生そのもの。このアルバムに収録されてる曲それぞれが自分の周りで起きた様々なシチュエーションに基づいたものなんだ。特定の女の子に捧げてる風に聞こえるかもしれないけどね。クラブであった娘について歌ってたり、「Can I」とかでは自分のライフストーリーを歌ったものだし。だから自分の人生そのものにインスパイアされて曲を書いているんだ。

--- では、最も気に入ってる歌詞の一部を挙げてください。

Wow….すごく重要な質問だよね。きっと電話を切った後に違うリリックにすればよかった・・・って思うかもしれないけど、今思い浮かぶところだと、「Can I」のリリックで「I know that you know my name, but do you really understand my pain.」。 この曲はまさに僕が今、実際に感じてることで、キャリアにおいてある程度の成功を収めていくと、周囲にいる人たちは全て自分の人生は上手くいってる、グラマラスな生活を送ってるに違いない、なんて思うことが多いと思うんだけど、確かに上手くいってるにはいってるけど、それ以外の部分、それとは反する面もあるってことを忘れてしまいがちなんだ。今こういう状況下にあっても苦しみや辛いことはあるし、でもそういう部分は表には出てこないだけだってこと。僕の顔や名前を知ってるかもしれないけど、実際にどんな辛い思いをしているかは全く分かってないはず・・・ってね。

--- ショーン・キングストンやアイヤズは、自分たちの音楽をR&Bではなく「アイランド・ポップ」と呼んで欲しいそうですが、貴方の場合はどうですか?

彼らの音楽と同じようにとらえてもらっていいと思う。自分の音楽もすごくオーガニック(自然な)スタイルにポップが上手くミックスされているから。Jaickoらしさっていうのはカリビアンテイストを取り入れたスタイルだと思うしね。R&Bの要素は勿論あるけど・・・そうだな、トロピカルR&Bとか、そんな感じかな。

--- 現在シンパシーを抱いているアーティストは?

今話にでた、ショーン・キングストン。大好きなんだ。彼もカリビアンバックグラウンドをしっかり持ってるし、彼も自分もアイランドの出身だし。パーソナルな部分でも音楽に関しても共感できるところが沢山あるんだ。アイヤズも親友の一人で、彼と話をしている際に色んな点で通じるところがあるって思ったんだ。他にもカリビアン系で自分と似てるアーティストはいると思うけど、 彼ら2人は特に自分に近い存在だと思う。

--- アーティストとして自分の最大の武器は?

自分の歌はみんなの心をとろけさせちゃうってことかな。自惚れてるって思われたくないけど真実なんだよ(笑)。フィジカルな部分では、このヘアースタイルと瞳、、、みんなこの目を褒めてくれるからね。生まれつきグリーン・アイなんだ、コンタクトじゃないよ(笑)。

--- 貴方の究極の夢は?

究極の夢は心地よい人生を送りながら、成功を収めること。「I just wanna be successful♪」って感じ。究極の夢は音楽で成功すること。

---将来どんな人とコラボしたいですか?

間違いなくB.o.B!大ファンなんだ。それからこれも即答できるけど、リアーナ。誰かとコラボレーショ ンできるチャンスが与えられたら、間違いなくリアーナとやりたいと思う。自分はライター兼プロデューサーでもあるからね、テイラー・スウィフトからマイ リー・サイラスまで色んなアーティストとコラボしたい。リンジー・ローハンの次のレコードを作ってみたい。もし彼女がレコード出すんならね(笑)。

---では、最後に日本のファンにメッセージを。

日本語でThank Youってどう言うの?(聴き手:ありがとう) 日本のファンみんな、「ありがとう」。みんながサポートしてくれていることに心から感謝してるよ。 8月には日本にライヴしに行くから、待っててね。愛してるよ!!

新譜Jaicko
カリブの楽園バルバドス出身の18歳。マイケル・ジャクソン、ボブ・マーリー、スティーヴィー・ワンダーをこよなく愛する「美メロで美声」のアイランド・ポップ系R&Bシンガー。同郷のリアーナやションテルなども受賞を果たした「バルバドス・ミュージック・アワード2010」にて、アルバム・デビュー前にして「Soul / R&B Artist of the Year」を受賞した期待の新人。Ne-Yoがバルバドスでツアーした際には前座を務め、09年末にはショーン・キングストンやNEW BOYZらと全米ツアーをも慣行した実力派。捨て曲なしの強力アルバムを引っさげ、世界デビュー。