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ジャズ定盤入門 =第七回=

Friday, July 16th 2010

  「ジェリー・マリガンに志す」 〜 ブラック・オア・ホワイト
ronnie cuber

 予告通り今回もバリトン・サックスの巻である。まずは、ジャズ担当者が「オルガン・ファンクですがロニー・キューバーがブリブリッといい感じです」とすすめてくれた、ロニー・スミスのアルバム『ムーヴ・ユア・ハンド(Move Your Hand)』。名前が似ているのでややこしいが、ロニー・スミスはオルガン奏者で、今作は彼のリーダー作。そこにバリトン・サックスで参加しているのがロニー・キューバーである。

Lonnie Smith/Move Your Hand この『ムーヴ・ユア・ハンド』は、これまで聴いてきたアルバムからはずっと時代が新しくなり69年の作品。熱さがムンムン伝わるライブ盤で、やや暑苦しくも名盤の薫り漂うジャケット写真から想像したとおりの濃厚なサウンドが聴ける。何といってもロニー・スミスのファンキーなハモンド・オルガンが強烈なのだが、それを後ろで支えるロニー・キューバーのバリトン・サックスは確かに「ブリブリッ」と非常に力強くていい感じだ。

lonnie smith 3曲目の「ムーヴ・ユア・ハンズ」にはヴォーカルが入っていて、てっきり歌っているのはハスキーな女性だろうと思って聴いていたら、ロニー・スミス本人の声だった。 Donovan/Sunshine Superman4曲目の「サンシャイン・スーパーマン」はドノヴァンの66年のヒット曲にしてロック大名曲のカヴァーで、今作でのまったりとしたアレンジには最初は少し違和感があったが、オルガンとサックスの絡みは十二分に楽しめる。国内盤の帯に「ジャズ・ファンクの名作中の名作」とあるようにブラック・ミュージックのエッセンスが詰まった素晴らしいアルバムであった。

 今作での音がかなりハマっていたので、ロニー・キューバーという人はこういうファンクやソウル系の音が得意なのかと思ったら、ビッグ・バンドからブラス・ロックまで何でもこなし、スタジオ・ミュージシャンとしても数多くのアルバムに参加しているようなので、もっと違ったタイプのサウンドのアルバムも今後是非聞いてみようと思う。

gerry mulligan さて、バリトン・サックスは4種類あるサックスの中で一番プレイヤー人口が少ないそうだが、その中で代表的なアーティストとしてまず名前が挙がるのが、以前聴いたペッパー・アダムスと、上述のロニー・キューバーと、そしてジェリー・マリガンらしい。

 このジェリー・マリガンという人は、バリトン・サックスだけでなくピアノも演奏し、作曲や編曲でも才能を発揮したかなりの才人で、40年代から50年代にマイルス・デイヴィスやチェット・ベイカーといった偉人たちと革新的なジャズの歴史を作ってきたかなりの重要人物のようだ。

 実は最初のバリトン・サックスの回(第四回)で、もともとはメインの一枚にしようと思っていたのが、そのジェリー・マリガンの『ナイト・ライツ(Night Lights)』(63年)であった。絵になるジャケット(というか実際「絵」だが)だけはなぜか知っていたため、実際の音はどんなものだろうと前々から気にはなっていたのだ。

Joe Jackson/Night And Day 例によって勝手な思い込みだが、そのジャケットとタイトルから想像していたのは、ロックで言えばジョー・ジャクソンの名盤『ナイト&デイ』(82年)のような、もしくは“エアチェック世代”の定番FM番組「クロスオーバー・イレブン」のようなオトナな音。ジャケットを見ただけで「街も深い眠りに入り・・・」という懐かしのナレーションが頭の中でエコーする。ジャズ担当者曰く「バリサクではジェリー・マリガンがいちばん有名ですが、あまりバリバリ感はありません。でも有名。」

Gerry Mulligan/Night Lights 出だしは透明感のあるピアノ(これを弾いているのもジェリー・マリガン)、哀愁たっぷりのトランペット、そして押し殺したようなバリトン・サックス・・・。バリバリ感は全然ない。私のイメージするあの牛の遠吠えのようなバリサクの音はここにはない。どこからか息が漏れているのではないかと思うくらいの渋い音色は、象が小声で囁いているかの如きである。アルバム全体としても静謐なピアノの音色やボサ・ノヴァのアレンジがしっとりした、非常に落ち着いた世界。

 正直に言うと、最初に通して聴いたときは「別にバリサクじゃなくてもいいのではないか?」という気がした。テナー・サックスやアルト・サックスのほうが、もっとお洒落感が増したのではないか、と感じたのである。

カサブランカ だが、違った。強烈なインパクトは全然なかったのに何故か何度も聴きたくなってしまい、かなりの回数聴いたのだが、聴いていくうちにこのアルバムにはバリサクしかないと感じ始めたのである。映画『カサブランカ』の主役がハンフリー・ボガートでなくては映画そのものが成立しないのと同様、このアルバムのサックスの音はこのダンディーなバリサクの音でなければならないのである。そして『カサブランカ』同様このアルバムも、時代が変わろうとも変わることのない魅力を持った文字通りの“不朽の名作”なのだろうと思う。素人の私がそう思うくらいのアルバムなのだから、どうりで有名なわけだ。

Michael_Jackson さて、バリサクを軸にした4枚を聴き終えたが、どれも本当にいいアルバムだった。余談になるが、ジャズの有名な管楽器奏者というと、どうしてもルイ・アームストロングやマイルス・デイビスのイメージが強く“黒人”をイメージしてしまいがちだが、代表的なバリサク奏者と言われる、ペッパー・アダムス、ロニー・キューバー、ジェリー・マリガンは3人とも白人であった。ロックやソウルの世界は、ミュージシャンにしてもリスナーにしても、黒人か白人かで音楽性にも線を引きがちな気がするが、ジャズの世界は実力さえあれば人種なんて関係ないのかもしれない。「仲間になるのに黒人か白人かなんて関係ないよ」と歌ったあの歌をふと思い出す。本筋とは全く関係ないが、今更ながら、マイケル・ジャクソンの冥福を心から、本当に心から祈りたい。

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for Bronze / Gold / Platinum Stage.  

今回の主役の「定盤」

Night Lights

SHM-CD

Night Lights

Gerry Mulligan

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    Release Date:12/September/1997


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  • Casablanca

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    (tax incl.): ¥1,100

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