ハンコック賞賛サックスの強力4

2010年6月23日 (水)

イスラエル出身のサックス奏者エリ・デジブリの新作は、ブラッド・メルドー、ロン・カーター、アル・フォスターを迎えたワンホーン・カルテット。

A very talented composer, arranger, and performer, he continually demonstrates a natural ability toward effective teamworks, focus, willingness to listen, and eagerness to learn, the caliber of which is a rare find in jazz today. Eli’s music treads uncharted waters... he has the potential to be a formidable force in the evolution of jazz.

- Herbie Hancock

イスラエルで生まれ育ったサックス・プレイヤー、エリ・デジブリは、先ず最初に７歳でマンドリンを始め、3年後にサックスへ転向。16歳でイスラエルのミュージック・シーンでメジャー・アーチスト達とプロ活動をしていました。

1997年、バークリーの奨学金を得てアメリカへ転居。1999年にはハービー・ハンコック・セクステットに加入し、3年もの間、世界中をツアーします。2001年からは、アル・フォスターのカルテットやトリオでプレイ。

彼はこれまで3枚のリーダー・アルバムをリリースし、カート・ローゼンウィンケル、アーロン・ゴールドバーグ、ベン・ストリート、ジェフ・バラードなどとNYの最先端サウンドを構築。またケヴィン・ヘイズとのデュオ・アルバムなどをリリースしてきました。

そんな彼が、前作のオルガン・トリオ・ライヴ作『Live At Louis 649』から2年を経てリリースする新作が本作『Israeli Song』です。

米国ダウンビート誌においてハービー・ハンコック、キース・ジャレットに割って入る人気と実力を兼ね備え、最新スタジオ・レコーディング『ハイウェイ・ライダー』を今年リリースしたブラッド・メルドーをピアノに、レジェンダリー・ベーシスト"ロン・カーター"、ドラムにはアル・フォスターと新旧を代表するトップ・ジャズ･ミュージシャンが名を連ねる、ワンホーン・カルテット編成となっています。

オープニングはメルドーの悲哀と哀愁の"Unrequited"で幕を開けます。２曲目"Mr,R.C."から5曲目"Manic Depressive"までコンポジションでも高い評価を受けるデジブリのオリジナル。３曲目、ストレート・アヘッドかつスリリングな展開とバリバリとイマジネーション溢れるフレージングを朗々と吹き鳴らすデジブリ⇒メルドーのピアノを存分に堪能出来る"Judy the dog"は白眉。８曲目"Look what you do to me"にはアル・フォスターが、９曲目"Third Plane"はロン・カーターとメンバーのオリジナルに加え、"Bebop"、"Somewhere Over The Rainbow"とスタンダードを収録。トップ･ミュージシャンによる最高峰の演奏も充分に堪能出来る快作です。