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HMVインタビュー:DJ Ryow a.k.a.Smooth Current

Wednesday, June 16th 2010

interview

DJ Ryow

DJ Ryow a.k.a.Smooth Current インタビュー
聞き手:久保(HMV 横浜VIVRE)

昨年、Smooth Current名義でリリースした1stアルバム『Maintain The Focus』の際に行った、DJ Ryow a.k.a.Smooth Currentさんと店舗スタッフ久保との ユルユル対談第2弾!今回は、6月10日にリリースしたばかりのコンセプト・アルバム『Scenes from Life』について、マネージャーの高山さんも交えて 語っていただきました。

確かにオレは割と守備範囲が広いんで、やろうと思えば恐ろしく生みたいなものも出来ると思うし、メロウなピアノネタみたいなのも作れるんだけどね。ケンがいればもちろん演奏することもできるから、じゃあ全部自分らで演っちゃおうかって思ったこともあったり。一時期迷い込んで、半狂乱で1日じゅうベース弾きまくってたりしてたこともあって(笑)。あれ?オレ、やってること違うなって。バンドで世に出るわけじゃないしさ。今、オレはDJでトラックメイカーだってね。

--- 実際の所、アルバムの制作にはどれくらいかけたんですか?

R: 実質4ヶ月くらいかな。2曲以外は録り下し。Mista Donutとやってる「Pleasure’s Theme」とShin-Skiとの「Swirling Air」。前作に入れようか入れまいかで悩んでいた曲だね。

--- この「Pleasure’s Theme」って、Familyの14thアニバーサリーの時に配っていたMix CDの頭に入ってたやつじゃないですか?

R: うん。前回のアルバムで使わなかったから。でもあれは、バージョン0.6なんだよね。まだ曲は完成してませんよって意味があって、ここ(『Scenes from Life』)に繋がりますって線を引いてたのよ。

--- 実際、鳴り方とか色んな所が 微妙に変わってますしね。

R: 音の位置とかもね。自分でミックスするのとエンジニアのウメッスン がミックスするのは全然違うしね。あと、全部ライブで表現できるように作ってるんだよね。グルーヴ以外は全部 コスリだけで作っている曲だから。ビートもオレがコスリで作ってるビートだし。

--- そうなんですか?それは初耳でした。

R: うん。ドッドドカ、ドッドドドカって、全部ビートジャグリングして作ってるんだよね。その上にDonutがネタをコスってて。あとでライブで使えるかなって。ネタじゃなくて、チョップしたものでコスリを展開できるのが欲しいなって。イタズラ好きな感じだよね(笑)。 あと、さっきも言ったけど、ヴォーカル云々じゃないっていうかね。今回はインストをしっかり楽器やコスリにラップさせるって言うか、歌わせるっていうか、そういうコンセプトがハマってね。

--- 楽器にラップさせるっていい表現ですね、そう言う発想を持って作った。って言うのを頭に入れて聴くと全然違いますし。

R: 楽器がフロウするっていうか。 でも、ラップがない分物足りないと思う人が多いかも知れないから、今回は割とコスリが多いんだよね。 前回に比べると珍しくこすってる。オレは滅多に刀を抜かないからね(笑)。



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--- 抜かないですよね〜(笑)。現場でもそれは凄く期待してる部分でもありますから。

R: でも自分だけコスってもつまんないから、Donutをフィーチャーしたりとか、アイデアを出してね。

--- Levitatorzの曲って、ウルトラのミックスCD『Optical Axis』に入ってるイントロのヤツですよね・・・。

R: うん。あれは原型。グルーヴはあの感じをそのまま使っていて、言うならバージョン0.4くらいのレベルで出来てたんだけど、Shin-Skiとアップデートさせようよって。

--- トラック自体はShin-Skiが?

R: 型は俺が全部作ってShin-Skiに、何か音足してみてよって言ったところから始まった。 Levitatorzっていつもそうなんだよ。いつも同じ温度じゃなくて、ある程度どっちかがラフに作って、 2人でアップさせてって、っていう。オレ、いいネタ見つけたからここまで作って行くよって、そういう感覚。

--- BPMも違いますよね、Shinsight Trioの「Running」も。

R: 130!もはやヒップホップの早さじゃないけどね(笑)。

T: Shin-SkiとRyowさんって、作り方や表現のアプローチは違うけど、作る楽曲の質感が、Shin-Ski印とかRyowさん印なんですよね。スタイル違ってても、いつも「らしいな」って思うんですよ。

--- それは僕もそう思います。実際聞けば「あ〜っぽいなぁ」と思う事は多々ありますし。 ちょっと脱線しちゃいましたが、今回、サンプリングしてないんですよね。

R: いやいや、そんな事は無いけど。まあ、してたとしても、わかんない感じが多いかな。 わざと分かる感じのところも残してあるんだけど、あまり生っぽくなるのもつまんないからね。

--- そこはShin-Skiとはそこは真逆のポジションにいますよね。彼は綺麗に抜いたサンプリングネタを作り替えるのが上手いですから。そこは本当に真逆だなぁと。この間本人にも言いました(笑)。

R: 笑。オレはネタをチョップして再構築ってのがいつものパターンだからね。 オレはネタを一小節を使うとしてもどうしてもイジりたくなっちゃうんだよね。でも無理に変えるんじゃなくて、 無理矢理変えたら元ネタに対する冒涜だし、こうやったらグルーヴが変わるなとか、ループ感も出るなとか そういう手間はかける。だいたいブッチブチにしちゃう事が多いけど(笑)。 ピアノの2小節の3つ打のところを30個に切ってみましたとか。

--- そんなにやるんですか?

R: うん。だいたいパッドに落として。16のパッドを4つ分に振り分けてみてとか。自分で叩いてるうちにメロディが出来たりして、これだったら自分で弾けよって(笑)。それで音が足りないなって思ったら、自分でピアノとかギターで弾き直しちゃうこともあるし。

--- 実際このアルバムの中で、一番、納得がいかなくて完成するのが大変だった曲は何ですか?

R: この12曲目「Phantasmagoria」だね!「まどろむ」みたいな意味あいの曲。

--- 確かにそんな感じの曲調ですね。

R: ピアノネタから入ってくるんだけど、ピアノネタをフリップして45回転で使ってて、そのキーがなかなか合わなくってさ。合わせるのにチューナーと格闘して。ギターでちゃんとしたコードを作っておいて、それに45回転でピッチあわせてずれたら一個一個直してって・・・それが果てしなくてねぇ。さらにビートもしっくりこないなって思ってたら凄く時間かかって。もう、そんなの誰もわかんないよ!って(笑)。

--- 生みの苦しみですね。 こうやって話を伺うと、音楽を作る上で、バンドやっている人たちとかミュージシャンには失礼かも知れないですけど、あまり大差ない気もするんですが。どちらにも作り出す時の苦しみは似たような辛さがあると思いたいですね。

T: そういえば、最初にこのアルバムがRyowさんぽくないって言ってたと思うですが、そのこととちょっと関係ある事で、この話をレーベルの方からもらった時、最初に振られたコンセプトが、「Ryowさんにジャズをやってもらいたい」ってことだったんですよ。DJ Ryowが作るジャズみたいな。そうすれば、1stの時と違う層にもアプローチできるってことで。

でも、正直僕は、ジャズやクラブジャズの感覚ONLYでリリースする方向には持っていって欲しく無かったんですよね。あんまり変わって欲しくなかったっていうか。Ryowさんはトラックメイカーという枠を超えて、ミュージシャンに近い技術と感覚を持っている人だから、何でもできちゃう。だから、今流行りのピアノものっぽいものとかにアプローチが近づいていくことも出来るし。でも、僕ははそれは違うなって思って。どっちかっていうと、前回のアルバムを聴いてRyowさんの音楽を良かったって思ったリスナーを裏切らないで新しいことが出来るような・・・要はトラックメイカーからミュージシャンに対しての返答っていうか。

僕の個人的見解なんですが、トラックメイカーって突き詰めていくとミュージシャンに近くなっていかないといけないと思うんですよ。音に対するこだわりもそうだし。 安い機材と自分たちのアイディアをもって、数々の名曲やアーティストとしての立ち位置を生み出してきたヒップホップの原点みたいなところを何年も通過してきた今の時代、そこを突き詰め高めていって、トラックメイカーの感性とかやっている内容そのものも、ミュージシャン達にも認められていくようにならないとだめだと思うんですよ。ミュージシャンと対等に仕事ができるようになるっていうか。僕はRyowさんにそういう風になって欲しいと思うし、近いところで活動出来ている人だと思うんです。だからこそ急に違う方向に行って 、リスナー、ファンの期待を裏切らないようにして欲しかったんですよね。そのことは制作中も話したし。

R: 確かにオレは割と守備範囲が広いんで 、やろうと思えば恐ろしく生みたいなものも出来ると思うし、メロウなピアノネタ みたいなのも作れるんだけどね。ケンがいればもちろん演奏する こともできるから、じゃあ全部自分らで演っちゃおうかって思ったこともあったり。一時期迷い込んで、半狂乱で1日じゅうベース弾きまくってたりしてたこともあって(笑)。あれ?オレ、やってること違うなって。バンドで世に出るわけじゃないしさ。 今、オレはDJでトラックメイカーだってね。

それに、レーベルが最初ラフに提示してくれたテーマに寄せすぎるのも違うし、かといって自分のエゴみたいのも今回のコンセプトにそぐわないし。さっき、高山が言ったように、違う層にアプローチできて、テーマもうまくデレクションできていけば、これまでにない面白いものができそうかなってイメージがあったんだよね。

まあ、実際の作業は、前作と変わってないんだよね。ネタの切り方もそうだし、楽器を足して行くものも一緒。自分でほぼ完成させて、足りないものをケンに協力、演奏して もらってね。ボーカルがサックスになったりという変化はあるけどね。そういう面で、唯一変わっているとしたらスキルがアップしているってことかな。



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--- なるほど。しかし、お2人はいい関係ですよね。

T: いやいや、なんとなくですよ(笑)。Ryowさんには10年以上お世話になってるんですが、 ここ3〜4年とかは、間がちょっとづつつかめてきたっていうか。 だいたい言ってることの意味がわかってきたというか。

R: 嫁かよ!(笑) T: 嫁以上かも(笑)。でもオレ、3年周期くらいで何かやらかしちゃうんですよね(笑)。空回っちゃうと言うますか…。自分的にはいつでもベストだと思って動いてるんですけどね(笑)。

--- いやぁ、バランスいいですよ。僕は結構近い位置で見させて貰ってますけど(笑)。

R: どうだろう(笑)。

T: どうだろう(笑)。

R: 漫才だよ、漫才(笑)。出すぎたら叩くってね。

新譜Scenes from Life
DJとして長いキャリアを持ち、トラックメイカーとしても手腕を発揮している希代のサウンド・クリエイターDJ RYOW a.k.a. Smooth Currentが贈りする"音の情景"を映し出したコンセプト・アルバム。彼の美的感覚を発揮させ、ジャズのエッセンスを主軸に黒いグルーヴが注入された珠玉のビートが満載。フォトグラファーKEITA SUZUKI (PLOT. lv04)により撮りおろしフォトブックも付属したSPな内容!"Scenes of Life"とタイトルとおり、フォトをブックレットに掲載。 サックス、フルート、ギターを巧みに操るマルチプレイヤーKenichi Fukushima、そしてShinsight TrioやMista Donutなどもゲストに迎え、プロデューサーとしての手腕を発揮。 これまでの作品と比べ、生音をさらに活かし、トレンドに縛られることのない普遍的なサウンドとなっている。クラブで即戦力となるアングラなトラック・メイキングでありながら、イージーリスニング、ラウンジ、カフェ・ミュージックといったBGM的要素も備えている本作は、さらにファン層を増やすこと必至。細かな拘りを持ち、独自のスタイルを貫くDJ RYOW a.k.a. Smooth Currentらしさが120%!表現されたアルバムが遂に完成!


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