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HMVインタビュー:西崎信太郎

Thursday, April 22nd 2010

interview

Nishizaki

西崎信太郎 HMV ONLINE エクスクルーシブ・インタビュー

HMV ONLINEで大好評連載中の「西崎信太郎のインディR&B一直線!」でお馴染み、HMV渋谷スタッフ、西崎信太郎が初めて完全監修したコンピレーション『Urban Next -Indie R & B -Selected By Shintaro Nishizaki』の発売を記念したインタビュー!
聞き手:HMV ONLINE ダンス&ソウル担当 安藤

僕が死んでから「R&Bを広めたのに一番貢献したのは西崎だった」って言われるくらい日々R&Bの魅力を伝え続けていきたいですね、あらゆる可能性を信じて。

--- まずはHMV ONLINEのユーザーの方々に自己紹介をお願いします。

はじめまして! HMV渋谷でR&Bのバイイングを担当している西崎と申します! 2009年の6月まで銀座地区の店舗に勤務しておりましたが、昨年のマイケルの命日に渋谷店に異動してきました!マイケル級にR&Bを愛している自信はあります!マジです(笑)。

--- (笑)。お店では具体的にどんな仕事をしているんだっけ?

基本的には店舗運営に関する通常業務と言いますか、商品陳列や店内の装飾などです。勿論、掃除もします!でも、基本的には「いかに自分の好きなR&Bというジャンルを世の中に広めることができるか?」ということをひたすら考えています!突き詰めていくとこれしかないんです。 あと、HMV渋谷にはライブを行えるスペースがあるので、最近はアーティストブッキングをするのも楽しみの一つですね。

--- 今回、コンピを作ることになった経緯は?

2008年末くらいにBBQさんからこのコンピのお話を頂きました。 「世に埋もれている良質なR&Bをもっと世間一般に広めたい」っていう基本的なコンセプトは、当初からブレていないですね。 良い曲ほど惜しいくらい埋もれている、もったいないですよね・・・。

--- BBQさんからオファーがあったときはどんな気分だった?

もうそれはそれは!単純に嬉しかったですよ! どんなに良い曲を世に広めたいって思っても、個人の力じゃ無理ですからね。 でも個人の壮大なビジョンさえあれば物は生まれる。本当に関係者の皆さんには感謝ですね!

--- DJみたいなプロが選曲したコンピとの違う点と、これが「売り」って部分を教えて。

まず、「聴きやすさ」っていう部分に関してはかなりのハイレベルな楽曲が揃ったと思います。このコンピ自体、R&B入門者の方から、ある程度R&Bを聴きこまれているリスナーにも響かせたいっていう思いがありまして。 BGMとして流しているだけでも自然に聴けちゃうと思いますし、これを聴くだけでステータスとなるような「カッコイイR&B」っていうスタンスで捉えてもらえると嬉しいかも! DJの方々はフロアでお客さんをロックされる抜群のセンスや感覚を熟知されていますよね。 でも、逆に僕は店頭でお客さんの反応をリアルに見ることが出来るバイイングのプロ、だと思っています!その辺のニーズを汲み取る感覚って実は凄く自信があるんですよ。完全に主観的な解釈ですが(笑)。何が売れるかっていうのをある程度客観的に判断できますし。 でも、実際に店頭などで反応が良かった曲を中心に選曲しているので、裏を返せば多くのリスナーの方々の保証付きっていう捉え方も出来ますね!

--- なるほど〜。では、今回の選曲で苦労した点は?

当初は音源だけが出回っている、所謂リーク音源だけを集めて構成しようとしたんです。でも、これが恐ろしく大変だったみたいで・・・(笑)。18曲入れようとすると18人の海外アーティストと交渉しなくちゃいけないので、膨大な時間を費やしてしまうことになってしまいまして。なので、今回のコンピは既に国内メーカーがライセンスを取得している楽曲が中心です。当初の予定とは若干異なった選曲でまとまりましたが、でも思い描いていた以上の内容になったと思います!最後の最後にStevie Hoangの許諾が決まったときは嬉しかったですね!

--- ここだから話せる裏話とかある?

そうですね。もう皆さんご存知のLil Eddie!実は彼が日本でデビューしたのはこのコンピで彼の曲をピックアップした所から始まったんです。これは本当です!Lil Eddieサイドが「コンピの選曲も嬉しいけど、アルバムを日本でやってよ!」っていう感じで(笑)。

--- そもそもインディR&Bに、というか、音楽はまったきっかけって何だったの?

まず、洋楽自体に興味を持ち始めたのはもう本当に自然な流れでした。小学生の時にたまたま耳に入ったマライア・キャリーの楽曲が自分のDNAに響いたっていう感じですね(笑)。地元にDJやダンサーが多かったので、ブラック・ミュージックを耳にする環境は結構恵まれていたのかな? それでその流れで高校生の時から趣味でDJを始めて。最初は完全にHIPHOPから入りました。先日亡くなったGuruのGangstarrやNas、Nice & Smooth、Grand Puba、Commonなどなど。そこからもまた自然な流れで、R&Bっていうジャンルを耳にする機会が増えてきて。Aaliyah、TLC、Blackstreetとか。それからはR&Bにドップリっていう感じですね。基本的にはR&Bは何でも好きですし、何でも聴きました!New Jack Swing、UK Soul、メインストリーム・・・。振り返れば、当時憧れだったDJ KomoriさんやDJ Mike-Masa君、DJ Hirokiさんらと仕事で絡むとは想像もしていなかったです。

で、やっぱり好きな音楽をドンドン追求したいっていうオタク的思考が強いので、これは勿論今でもですが(笑)、ある程度好きな音を掘りつくせたのかなっていう時期があったんですね。あれは、2004年くらいだったかな?そこで、「インディソウル」っていうサブジャンルを目にして。いやービックリしましたね!「何じゃこりゃー」ですよ(笑)。自分の知らない壮大な世界が広がっていたというか、R&Bっていう違う扉を開けちゃったっていう感じでした!たぶん、そんな衝撃を与えてくれた最初の1枚がFortuneっていうNYの4人組みボーカルグループでした。『And The Winners Are』っていうアルバムを残しています。今聴いてもトキメキますね、やっぱり初心を忘れちゃいかん(笑)。いつの時代もハングリーに!

--- あと、いつもうちらの間で話題になってるんだけど、西崎君は欧米だけでなく、南米やオーストラリア、東南アジアとかのR&Bシンガーにも詳しいよね。 いったいどうやって見つけ出してるの?

うーん、どうやっているんでしょう(笑)? 企業秘密(笑)?って別に何もしていないです!基本的に日夜良質なR&Bを追い求めているだけです。僕の源泉はそこなんです!美味しい食べ物を食べたときの感動とか、綺麗な景色を見たときの感動と同じように、ヤバいメロディラインを体が欲しているんです(笑)。なので、いいアーティストが見つかって、それがたまたま色んな国のシンガーだったというだけですね。

--- アーティスト本人に直接コンタクト取ったりもしてる?

試みたことはありますが・・・難しいです、はい(笑)。

--- (笑)。じゃ、これは自分が掘り起こしたと自負できるアーティストは?

うーん、正直な話、自分から売ったアーティストは結構いると思います。今回のコンピに収録されたアーティストだとJ-Riczとか、これからアルバムリリースされるUnessとか。でも一番はStevie Hoangですねか。これには「いや、俺の方が早い!」って思う人は多いはず。確かに、僕なんかよりいち早く音源自体を耳にして彼の魅力に気づいた人はココ日本でも少なくなかったと思いますね。でも、僕は彼の1stの国内盤がリリースされる半年以上前に銀座地区で圧倒的に売りまくりました、安室ちゃんのCD級に!僕のバイイングセンスが注目され始めたのも実はStevieの存在がとても大きかったんですよね。そのおかげで本人とも仲良くなれましたし。やっぱり最後は数字を出せる人、結果を出せる人なんですよ。いつの時代も「良い音楽を時代の流れに合わせた形にして世の中に広めることが出来る人」、そこは自分も最大級の賛辞を贈り続けたいですね! この素晴らしきオタク文化をいかにマスマーケットにアピール出来るか?まだまだ売りだしたいアーティストは沢山いますよ!

--- 相変わらず熱いですね〜(笑)。では、DJや自分でトラックを作るようなことはしてる?

今はDJはやっていません、趣味でもやっていません・・・。音源は作ってみたいですね。楽曲プロデュース!僕の憧れは松尾潔さんなんです、音にも詳しくてアーティストもプロデュースされて。永遠の目標です!

--- HMV渋谷では自分のコーナーも持ってるよね。ここではどんなことを やってるの?店に行けば西崎君に会える?

渋谷店着任後の初仕事が自分のコーナーを作ることでした。最初は自分の好きな洋楽インディR&Bを並べているコーナーだけだったんですが、今は日本人R&BアーティストのCDを並べるコーナーも作りました。J-R&Bはとにかくヤバイです!あと、HMV渋谷限定ですが、僕が個人的に作成したインディR&Bのフリー配布のリーフレットも置いてあります。HMVの枠を超えたラインナップのCDなどを紹介しているので、ご興味ある方は是非HMV渋谷の2Fまで起こしください!2Fにいますので、ご来店の際は是非お声かけ下さい!

--- 今、CDショップは厳しい時代と言われているけど、その事に ついて現場の人間としてどう思う?

正直、安易ではないです。時代ですね。楽観的な見解はしていません、でも、常にバカ売れするにはどうするべきか?っていうことしか考えていません。

--- これからの西崎の野望(笑)を教えてください。

シーンを築きあげてこられた先輩方に敬意を払いながらも、R&Bシーン史上最強の重鎮、重要人物になりたい!僕が死んでから「R&Bを広めたのに一番貢献したのは西崎だった」って言われるくらい日々R&Bの魅力を伝え続けていきたいですね、あらゆる可能性を信じて。そして本当に良いアーティストが正当に評価されて、どんどん華々しいシーンへ飛び出して行き、世の中をいつの時代も幸せに包んで欲しい。音楽は娯楽以外の何物でもないですから。生活に潤いを与える、生きる勇気を与える。人間が生きていくうえで音楽って不可欠な存在なんですよ。

--- 最後に、『Urban Next』とHMV渋谷の宣伝を思う存分ど うぞ!

今回、この素晴らしきプロジェクトに参加させていただけたことを関係者の皆様に心より感謝申し上げ、自分自身を誇らしく思います!「R&B」という音楽の中の1ジャンルに過ぎませんが、このコンピCDが皆様の娯楽に繋がるのであれば制作者としてこれ以上ない喜びです!お世辞抜きに最高の選曲になったと思いますので、この素晴らしきR&Bの世界を存分に楽しみましょう!HMV渋谷では、これからも素晴らしいR&Bを追い続けますので、良い音を探しにいらしてください! そして、いつもHMVをご利用いただきましてありがとうございます! この場をお借りしてお礼申し上げます!

新譜Urban Next -Indie R & B -Selected By Shintaro Nishizaki
国内外のTOP DJやアーティスト、そして業界関係者から熱い視線を集める、我等がHMVのR&Bバイヤー、西崎氏が完全コンパイルするインディR&Bコンピレーションが遂にリリース!既存のコンピにある「欲しくない曲が意外と多く入っている」という不満点を解消し、美メロ、切メロ、定番曲からクラシックまで網羅。店頭に立つ人間にしかわからないリスナーが求める本当のニーズを確実にキャッチ!ホンモノ志向のR&Bマスターから初心者まで満足させる強力作。Israelの「Perfect Girl」やStevie Hoangの「Rock With Me」など初CD収録曲が4曲もあります!


プロフィール




西崎信太郎:HMV渋谷のR&Bバイヤー。
R&Bシーンの本場であるUS、UKのみならず、ヨーロッパ、オーストラリア、南米、東南アジア、アフリカまで、世界中に眠っている隠れたR&Bのダイヤの原石を探し当てる鼻の良さは随一。さらに国内外のアーティストと親交があり、メーカー各社からからもそのバイイング・センスには一目置く男。我らがHMVオンラインにも「西崎信太郎のインディR&B一直線」という連載を開設。雑誌やラジオにも出演する今ひっぱりだこの注目人物。