『ロッカーズ』 をBlu-rayで観てみました
2010年3月2日 (火)
何度でも観よう。 レゲエ・ムーヴィーの金字塔です。
「レゲエ」、「ジャマイカ」、「ラスタファリズム」を世界に伝えた70年代を代表するジャマイカン・アクション・ムーヴィーの傑作『ロッカーズ』。先にUSA盤でリリースされていたBlu-rayが待望の国内版で登場しました。ジェイコブ・ミラー、キダス・アイ、グレゴリー・アイザックス、バーニング・スピアといったレゲエ・レジェンズが、実名(厳密に言えば芸名)でそれぞれの役柄を演じ、また、彼らのセッションとライヴのシーンも収録された、当時のジャマイカのレゲエ・シーンを克明に記録した資料的にも大変貴重な映画作品。同じく70年代のレゲエ・ムーヴィーの傑作として名高い『ハーダー・ゼイ・カム』と並び、未来永劫語り継がれていく1本と言えるでしょう。
監督セオドロス・バファルコスのインタビューなどを特典映像として盛り込んだ25周年記念盤のリリースなど、VHS時代から何年かおきにバージョン・アップされながらロングセールスを続けている『ロッカーズ』の映像版。Blu-ray市場が右肩上がりの今、画質・音質共に最高ランクをマークするブツ(本品)が登場・・・というか、レゲエ・ムーヴィーの記念すべきBlu-ray化第1号、これは縁起モノだということで、早速ラム酒片手にかるく品評会。
とその前に、一度もこの『ロッカーズ』をご覧になられたことのない方に、簡単なストーリー紹介をメーカー・インフォメーションから300文字以内でどうぞ。
STORYジャマイカで人気のドラマーとして知られるホースマウスだが、キングストンのゲットーに妻と子供と暮らし、音楽だけでは生活できないという問題を抱えている。レコードのセールス・マンをアルバイトで始めることを決め、中古のオートバイを借金をして手に入れて、キングストンで一番のレコードのセールス・マンを目指すホースマウスだったが、不運にも何者かにオートバイを盗まれてしまう。 ふとしたことからオートバイを盗んだのは、自分が雇われているナイト・クラブのマネージャーだと知るホースマウスは、仲間と共にオートバイを取り返しに行くが・・・。 |
はい。 レゲエという音楽に微塵も興味のない方は、「・・・この内容で面白いわけ?」とお感じになるかもしれませんよね。ストーリー自体は、「生活苦→頑張る→雇い主の裏切り→仲間を集めて復讐→仲間大切」というあまりにも分かりやすい構造からなるため、紋切り型のインディペンデント・アクションや音楽先行のブラックスプロイテーション・ムーヴィーを想像してしまうのも無理はありません。 ただし! 舞台は、ジャマイカ。ここが肝心。ブリクストンでもなければ、ブルックリンでもなし。最もデンジャラスでクレイジーだと言われていた70年代リアル・ジャマイカ、リアル・キングストンの日常。これをまざまざと見せつけられるのだからテンションもうなぎ上り。理性も決壊寸前。純度100%のラスタマンたちが、ドレッドふりふり、サウンドに興じるやらバイクを乗り回すやらハーブを嗜むやらの大奮戦(?)。しかも実名出演の親バレ上等スティーロ。演技とも素ともとれる彼らの痛快お茶目な一挙手一投足に釘付けとなれば、ある意味ストーリー性なんて重要ではありません。ただひたすらに、そのドギツイまでの”美しき天然”ぶりに心震わせてください。
加えて、主要キャストは以下のとおり。ルーツ・レゲエ・ファンにとっては神様のような存在の人たちが、次から次へとライオンのような目つきで出演するのだから、たまりません。しかしむしろ、カッコイイと言うよりは、コワい!
主なキャスト
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リロイ”ホースマウス”ウォレス
本作の主役でもあるリロイ・ウォレスは、実際も、デニス・ブラウン、グレゴリー・アイザックス楽曲など70年代から数多くのバックトラックに参加している名ドラマー。映画『ロッカーズ』本編での中々まったりとした演技が◎。
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ジェイコブ・ミラー
ボブ・マーリーと並ぶ70年代ルーツ・シンガー・ジャイアント。『Who Say Jah No Dead』といったヒット・アルバムを発表した後、インナー・サークルに加入しグローバルな人気を得る。80年3月交通事故によりこの世を去った。映画本編での「Tenement Yard」のライヴ演奏はシビれます。
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グレゴリー・アイザックス
独特の色気に甘い歌唱、そしてドレッシーな装いで”Mr. クール・ルーラー”と呼ばれるグレゴリー。代表作はその名のとおりの『Cool Ruler』と、80年代の『Night Nurse』。映画本編では ”演歌の花道”のような流れで登場し、「Slave Master」を熱唱。
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キダス・アイ
映画本編では「Graduation In Zion」も披露し、強烈な個性を放つキダス・アイ。長いキャリアとは裏腹に、2007年に蔵出しされた『Rockers:Graduation In Zion』がリリースされるまでは、公式に残された音源はほんの数曲だった。レゲエ史上最も謎めいたシンガーでもある。
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バーニング・スピア
”燃える槍”バーニング・スピアことウィンストン・ロドニーは、現在も崇高なメッセージを説きながらオリジナル・スピリチュアル・スタイルを貫く本物のラスタマン。代表作は『Marcus Garvey』(75年)、『Man In The Hills』(76年)など。2009年に発表された『Jah Is Real』も素晴らしい。映画本編中のアカペラが個人的にはハイライト。
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ビッグ・ユース
U・ロイらと並ぶDeejayのオリジネイター。70年代には自身のレーベルを設立し、「Hit The Road Jack」などのヒットを飛ばしている。上前歯にはめ込まれた金歯以上に、そのトースティングも存在感たっぷり。
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リチャード”ダーティ・ハリー”ホール
映画本編では、欧州ディスコで腰振る若者に業を煮やし、DJブースを乗っ取り。しまいには、ジェイズ&ランキン・トレヴァー「Queen Majesty」をスピンしながら豪快にトークオーバー! ちなみに、本職はトランペッターです。
さて、今回入手したBlu-rayは、ハイビジョン・テレビにて堂々鑑賞。 さぁ、いきなり出ましたよ。オープニングで、ボングをお焼香の様に回しながらの濃厚なチャント・シーン。演奏曲は、言うまでもなくアビシニアンズ「Satta Massagana」ですよね。何度観てもゾクゾクさせられるこのシーン、音質的には(25周年ヴァージョンと比較して)多少奥行きが出たかなと感じる程度なのですが、なにせ高画質での大画面映像(画面サイズ 1.78:1)、この”近さ”、 ”リアルさ”がヤバすぎ。しかも、ラス・マイケルのドレッド、年季が入りすぎて、すさまじいことになっています! ヘチマのたわしかと思いました。そのぐらい容赦のない臨場感。
今回のBlu-ray化の肝のひとつ、画質の向上面においては、その色鮮やかなラスタ・カラー(黄・緑・赤)の映え具合が作品の鍵を握るということもあって期待していたのですが、シャープさ、色合い、コントラスト、全ての面で文句なし。25周年ヴァージョンも素晴らしかったのですが、当然ながら今回それを軽く凌駕。シャープさという点では半端なく、よく巷で評されている「髪の毛1本1本が鮮明に・・・」というのを、是非本場の丸太棒のようなドレッドヘアーを目の前に体感してみてください。
「ロッカーズ(Rockers)」とは所謂「イケてるヤツ」という意味のスラングで使われている感じなのですが、まさに画面いっぱいにロッカーズのイケイケぶりがハジけまくるという点で、『ハーダー・ゼイ・カム』以上に70年代当時のジャマイカの危うくも愉快な日常をリアルに伝えている作品と言えるのではないでしょうか。とにかく、彼ら「ロッカーズ」の粋なロウ・パワーに圧倒されっぱなし。ジェイコブ・ミラーの「Tenement Yard」のライヴ演奏シーンや、ボスに復讐を果たすために仲間(リロイ・スマート、ロビー・シェイクスピア、ジェイコブ・ミラーら)が四方から集まるという見せ場で、ピーター・トッシュ「Steppin' Razor」がすかさずかかるシーンなんかは相当にカッコイイのですが、バーニング・スピアが月明かりの下で「Jah Not Dead」をアカペラでホースマウスに歌って聴かせるシーンが個人的にはベスト! 何度観ても五臓六腑に染み渡ります。ここは是非、Blu-rayのキメ細かい映像で観てほしいものです!

以前、監督のセオドロス・バファルコスは「音楽ありきでこの映画が作られたと言ってもいい」と語っていましたが、ここまで説得力のある高画質の映像を見せられると、さすがにそれを鵜呑みにして「こういうのはサントラだけ持っていれば・・・」とか「まだまだVHSで粘ります」(コレはコレで好き)なんて言ってる場合ではないでしょう。また、25周年ヴァージョンをお持ちの方もそうでない方も、とにかく一度このBlu-rayヴァージョンをご覧ください。騙されたと思って。ジャマイカにしかない”色彩”を、よりカラフルにディープに感じることができるはずです。ホースマウスの真っ黄色のブリーフも眩っ!
レゲエ最新商品・チケット情報
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。
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