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【カルモン第12号】 マイケル・ジャクソン特集 〜絶対モータウン主義〜

Monday, January 18th 2010

絶対モータウン主義
マイケル ジャクソンに関する意識調査
マイケル ジャクソン特集1 僕らが愛したマイケル ジャクソン
マイケル ジャクソン特集2 マイケル ジャクソン徹底解剖
マイケル ジャクソン特集3 絶対モータウン主
マイケル ジャクソン特集3 絶対モータウン主
モータウン50周年 その影響力と尽きない魅力

今から四半世紀前の1983年、アメリカの音楽史上に残るある式典が行われた。
モータウン・レコードの25周年を祝う“Motown 25”である。
その際に掲げられたキャッチフレーズ“Yesterday, Today, andForever”を、今、改めて思い返してみると、まるで予言のように感じられるのだから不思議だ。Yesterday、つまり過去は、モータウン黎明期から約20年間の'60年代〜'70年代、怒濤の勢いでヒット曲を量産した黄金時代を指す。
'83年当時のTodayに貢献したアーティストには、当時プリンスの最大のライバルと言われたリック・ジェームスや、ファミリー・グループのデバージ、ソロ・シンガーに転向して大成功を収めていたライオネル・リッチーらがいた。
その先にあるForeverには現代も含まれているのだろうが、仮にそのキャッチフレーズにFutureを加えるとすると、'90年代のモータウンを支えたボーイズIIメン、ジョニー・ギル、そして現在の所属アーティストであるエリカ・バドゥやマイケル・マクドナルド、インディア.アリーらの名前を挙げることができる。

現在もモータウンはレーベルとして存在しているが、“モータウン・サウンド”という言葉から多くの人々が連想するのは、やはり'60〜'70年代のヒット曲の数々、それを歌っていたアーティストたち、或いはそれらを生み出したモータウンの専属ソングラター/プロデューサーたちの名前ではないだろうか。
それらを知らなくても、いや、モータウン・サウンドという言葉すら知らない人々でも、例えばシュープリームスの「恋はあせらず」('66)やテンプテーションズの「マイ・ガール」('65)、ジャクソン・ファイヴの「ABC」('70)といった楽曲を、どこかで耳にしているはずだ。 街角で、ラジオで、映画の中で、はたまたTVコマーシャルなどで、'60〜'70年代のモータウン・サウンドは今なお頻繁に流れているのだから。
このように、世界中のどこかで誰かが、今日も無自覚のうちにモータウン・サウンドを耳にしているのである。
創設から50年経ってもなお、あたかもつい最近レコーディングされた曲であるかのように方々で流れている音楽は、恐らくモータウン・サウンドをおいて他にはないだろう。

ベリー・ゴーディ・Jr.が俗称モーター・シティ、すなわちデトロイトにモータウンを創設してから50年も経つのだから、昔のモータウン・サウンドは今なお新鮮に耳に響くと言っても、そこにある種の懐かしさが感じられるのは当然だ。
が、ただ単に古き良き時代を想起させるから懐かしいのではなく、あの頃あの時代に、ここまで緻密に作り込まれた大衆音楽が実存したということに驚かされる。 だから余計に、モータウン・サウンドをオン・タイムで知らない世代がそれらを耳にしても、追体験での懐かしさを感じることができるのでは、と思う。
ザ・ミラクルズ、マーヴェレッツ、スティーヴィー・ワンダー、マーヴィン・ゲイ、マーサ&ヴァンデラス、テンプテーションズ、フォー・トップス、シュープリームス、グラディス・ナイト&ピップス、ジャクソン・ファイヴ……etc.。
この場ではとても枚挙しきれないほど、モータウン・サウンドを彩ったキラ星の如きアーティストの歌声とサウンドは、色褪せるどころか、年月を経て更に輝きを増すようだ。
公民権運動が盛んだった激動の時代に、奇蹟のような音楽が生まれ、そしてそれは奇蹟のように残った。
 
モータウン25周年に参加した錚々たるモータウンのスターたちの多くは、既にこの世を去っている。
しかしながら、彼らの歌声が、そのサウンドが、この世から消えることは半永久的にないだろう―― Y e s t e r d a y ,Today and Forever more――祝モータウン50周年!

MOTOWN年表

V.A.
"MOTOWN 50"

V.A.
"MOTOWN CHRISTMAS COLLECTION"

BEST OF MOTOWN 50はこちら
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目と耳と心に響く贅沢なエンターテインメント

音楽と映像の両方で堪能するモータウンの世界。
2008年になって資料的価値も高い貴重なフィルムが入手しやすい価格で次々とDVD化されたので、今のうちに確保しておきたい。ここでは数あるDVDの中から特にお薦めのタイトルをご紹介!!

L ip-synching was an art to us. Our artistshad to do it perfectly, and they knew it.(口パクは我々にとって芸術だった。所属アーティストたちはそれを完璧にこなさなければならなかったし、彼らもそのことを心得ていた)――ベリー・ゴーディ・Jr. これは、モータウンの創設者であるゴーディが'94年に出版した自伝『TO BE LOVED』から引用したものだ。
まだプロモーション・ヴィデオなどなかった時代、モータウンは他のレーベルに較べて、所属アーティストをTV番組に出演させる機会が突出して多かった。そのために、貴重なパフォーマンス映像――その多くがゴーディのいう“口パク”だったが――が数多く残されている。また、ライヴ活動にも力を注いでいたモータウンは、アメリカ国内を巡業するモータウン・バス・ツアーを敢行し、ファンのためにナマで憧れのアーティストのパフォーマンスを観る機会をアメリカ中の人々に与えたのだった。
一方では、ヨーロッパでも積極的にライヴを行い、取り分け、モータウン・サウンド愛好家の多いイギリスでは、モータウン御一行様が、空港で待ち受ける大勢のファンから熱狂的に迎えられた(その際の写真が残っている)。
そう、モータウンのアーティストたちは、歌だけで多くを虜にしたのではなく、そのパフォーマンスでも人々の心をつかんだのである。

モータウンには、言ってみれば芸能人養成学校のようなモータウン・チャーム・スクールというのが設けられていた。
そこでは、歌う際の身のこなしはもちろんのこと、話し方から歩き方、そして煙草の吸い方まで事細かく指導したというのだから、その徹底した教育体制には驚かされる。男性アーティストには“紳士たれ”、女性アーティストには“優雅であれ”と叩き込んだ。そして彼ら、彼女たちは、厳しい訓練に耐え、マナーやエチケットを身に着けて、モータウンの音楽同様に洗練されたアーティストとなっていった。
また、モータウンでは専属振付師の存在を重視した。アーティスト自身がステージ上で披露する振り付けを曲ごとに考えることもあったが、大抵の場合、プロの振付師が考案した踊りを徹底的に教え込まれる。歌の雰囲気と歌詞の内容に沿った振り付けは、そうして生み出されたのだった。聞かせるだけではなく、“見せる”、言い換えるなら“魅せる”パフォーマンスを重視したモータウンの戦略は見事に的中し、所属アーティストがTVの音楽番組やバラエティ番組に出演した後は、それらのアーティストたちのレコードの売り上げが目に見えて伸びたという。
インターネット上の映像サイトはおろか、ヴィデオやDVD、MTVもプロモーション・ヴィデオもない時代、アーティストの動く映像を当時の最大のメディアであるTV番組を最大限に活用して提供したモータウンの先見の明には、本当に感服させられる。
そのお蔭で、何十年も経った今でも、それらの貴重な映像を目にすることができるのだ。

モータウン所属アーティストの個々の映像集ももちろん素晴らしい内容だが、シュープリームスをモデルにしたと言われているブロードウェイ・ミュージカル『ドリームガールズ』のビヨンセ主演の映画版(2006)や、モータウンのハウス・バンド、ファンク・ブラザーズの知られざる裏方さんたちの物語が再現フィルムを交えて綴られた『永遠のモータウン』(2002)といった映画は、華やかなモータウン・サウンドが如何にして生まれ、構築されていったかがわずか数時間に凝縮されて描かれており、モータウン・サウンド入門としては最適かと思われる。
それらの映画でモータウン・サウンドの魅力を発見したなら、TV番組でのパフォーマンスが鮮やかな映像で収録されているアーティスト別のDVDも、ぜひご覧になって頂きたい。
モータウン・サウンド全盛期に、彼らが今でいうアイドル的人気(いや、それ以上かも)を博していたことが判って、彼らの存在がグッと身近になる。

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