80年代半ばからは、ニューウェーブ、テクノ歌謡勢力に加え、「和製AOR〜ライト・メロウ」と昨今再評価著しいニューミュージックの新しい波が音楽シーンに押し寄せてきます。松岡直也、後藤次利、ペッカー、向井滋春といったジャズ、フュージョン畑を中心に活動するミュージシャン達が次々にポップ・シーンに参入し、提供楽曲やプロデュース作品の中で実験的に、ブラジル音楽やレゲエをはじめとする様々なタイプのワールド・ミュージックのエキスを注入し始めました。 ということもあり、「無国籍ポップ」がキーワードにある作品は、レゲエ歌謡が収められている可能性がわりと高いので要注意です。 80年代も中盤にさしかかると、インディーズ・ブームの到来とともに、ホコ天、イカ天を発火点とするバンド・ブームがやってきます。世界は折りしもMTV全盛期。レゲエやスカとは切っても切れない関係にあるニューウェーブ、ニューロマンティック勢の芸能を目に耳に焼き付けた世代が、こぞって楽器を手に原宿に飛び出した時代です。 1985年には読売ランドで日本初の大型野外レゲエ・フェスティヴァル「レゲエ・サンスプラッシュ・イン・ジャパン '85」が開催され、本当の意味で、レゲエが日本に浸透し定着したことを証明しました。
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原マスミ / 天使にそっくり (1982) from 『イマジネイション通信』 |
現在、イラストレーターとしても活躍している原マスミ(男ですよ。念のため)の1stアルバムから。レゲエのリズムを刻んではいるのですが、それを抜きにしても1ヴァース目から、独特の歌詞世界に引き込まれること必至。そして病みつきです。ECD推薦曲。 |
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平山みき / 電子レンジ (1982) from 『鬼ヶ島』 |
筒美京平の秘蔵っ子、平山美紀が「平山みき」として、近田春夫プロデュースの下、ニューウェーブの門をガンガンと叩く。ビブラトーンズのバックによる硬質なレゲエ/ダブ・サウンドにシュールな歌詞が映える「電子レンジ」が気分。洒落っ気たっぷりのレゲエ・チューン「月影の渚」も良いです。 |
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門あさ美 / あなたリザーブ (1982) from 『ホット・リップス』 |
松岡直也プロデュースによるポップ・シンガー・ソングライター、門あさ美の4作目のアルバムから。鼻につきまくるコジャレたタイトルですが、村上”ポンタ”秀一(ds)のイントロのフィル・インといい、ディレイのトバし方といい、かなりレベルの高いレゲエ/ダブ歌謡に仕上がっています。ベースに高橋ゲタ夫、ギターに和田アキラが参加。 |
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ビジネス / STAY (1982) from 『CRISIA』 |
ビジネスは素敵なバンドなのでもう1曲。グループとしては最終作となった2ndアルバムの『CRISIA』では、一般的にはシングル・カットされた「渚のCafe」の方が有名ですが、ここはあえて「STAY」を。UKレゲエ・ファンはホントに必聴。 |
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一風堂 / ミステリアス・ナイト (1982) from 『Essence:The Best Of IPPU-DO』 |
「すみれ September Love」で全国区な一風堂。ジャパンのツアーにも参加した土屋昌巳の奇才ぶりは、1982年のモダン・ポップ傑作アルバム『Lunatic Menu』で大爆発。レゲエ・チューンは、「ミステリアス・ナイト」、「電気人形」(サビはハードロック調!)の2曲を搭載。がしかし、廃盤なのでこちらのベスト盤(2/24リリース)をどうぞ。また、メンバーの見岳アキラも「君は完璧さ」(右項掲載)をシングル・リリースしています。 |
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RCサクセション / お墓 (1983) from 『OK』 |
初期の頃からライヴ・レパートリーとしてよく知られていた曲をレゲエ・アレンジで正式に収録。清志郎が、高校時代に付き合っていた豆腐屋の娘との別れを自嘲気味に歌っています。後半がダブ・ミックスになる別ヴァージョンもカセット・テープ・オンリーで存在するそうです。 |
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萩原健一 / ウッドント・セイ (1983) from 『Shanti Shanti Live』 |
ショーケン率いるドンジャン・ロックンロール・バンドが、1983年にインドはカルカッタのネタジ・スタジアムで行なったチャリティ・コンサートの音源と、同じ年に日本武道館で行なったコンサートの音源で構成された2枚組ライヴ・アルバム。「ウッドント・セイ」はスタジオ・ヴァージョンよりはるかにレゲエ度が高いアレンジです。オリジナルLPのインナー・フォトには、ジョー山中先生の姿も。そして、リリース直後、アレ所持でお縄頂戴という徹底ぶり。 |
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石黒ケイ / Red Drip (1983) from 『Purple Road』 |
柳ジョージ&レイニー・ウッドなどと並ぶ”ヨコハマ・ベイ・ブルース”サウンドの顔役シンガー、石黒ケイ。80年代、アート・ペッパー、ベニー・カーターら著名ジャズ・ミュージシャンとのアルバム共演でジャズ/ブルース歌謡の先鞭を打った彼女の通算8枚目となる”ヨコハマ・コンセプト”アルバムから。ブッカーT&ザ・MGズ「Green Onions」そっくりなリフ進行にレゲエ・アプローチが加えられた、レゲエ・ブルース・ロック歌謡の逸品です。バックは、レイニー・ウッド、T・バード、ペッカー(per)、向井滋春(tb)ら。 |
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RCサクセション / 胸ヤケ (1984) from 『Feel So Bad』 |
RCレゲエの本丸。前事務所「りぼん」からの独立問題によりたまっていたフラストレーションをぶちまけた、東芝移籍第1弾アルバムから。「胸やけ」をはじめ、「セルフ・ポートレート」(チャボ)、「New York Snow・きみを抱きたい」、「不思議」(シングル・ヴァージョンは通常ミックス)と、レゲエ/ダブ・アプローチの楽曲がRC史上最多の4曲も並んでいるのです。
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RCサクセション(唄:仲井戸麗市) / Glory Day (1985) from 『ハートのエース』 |
チャボは、同じく85年にリリースされた1stソロ『仲井戸麗市Book』の中でも「秘密」というレゲエ・チューンを哀唱。ブルース・ブギーなイントロから一転、沈み込むワンドロップ・リズム。アレンジがとにかくかっこいい。清志郎と併唱する後半に鳥肌。「あたりさわりのない夜だなァ〜」 |
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S-Ken / チェンジ・アップ (1985) from 『Jungle Da』 |
古くは”東京ロッカーズ”の中心人物、昨今はボニー・ピンク、中山うり、PE'Z等を手掛けた敏腕プロデューサーとして知られるS-Ken。そのS-Kenが、窪田晴男(g)、佐野篤(b)、小田原豊(ds)、ヤヒロトモヒロ(per)らとホット・ボンボンズを結成し作り上げた、グループとして最初のアルバムから。ジャケット同様、ラテン、エキゾチック要素の濃い音の群れの中に、やっぱりありました! びしっとキメたレゲエ・チューン、「チェンジ・アップ」! 次作『Pa-Pu-Be』(87年)にも「Jungle Da」というレゲエ・チューンが入っています。 |
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PSY・S / Big Kitchen (1985) from 『Different View』 |
松浦雅也の最新機材を駆使した隙のないサウンド・デザイニングと、チャカこと安則まみのヴォーカルとが相まみれるポップ・ユニット、サイズのメジャー・デビュー・アルバム(岡田徹プロデュース)から。「Big Kitchen」は、当時の最先端シンセ、フェアライトCMI内蔵の打ち込みツール・アビリティを最大限に生かしたコンピュータライズド・ポータブル・レゲエ。 |
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THE 東南西北 / 星がっちゃうねジャマイカ (1985) from 『Golden Best』 |
現在ではジャニーズ関連の作詞を多く手掛ける売れっ子となった久保田洋司がリーダー(vo,g)として在籍していたTHE 東南西北(とんなんしゃーぺー)。デビュー・シングル「ため息のマイナーコード」の12インチ・シングルのB面に収録されていた天晴れなレゲエ・チューン「星がっちゃうねジャマイカ」。歌詞の苦笑感とは相反する骨太なサウンドで、ここいちばんでスピンするセレクターも多いとか多くないとか。編曲は、当時、Shi Shonenで1stアルバムをリリースしたばかりの戸田誠司。 |
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RCサクセション / 君はそのうち死ぬだろう (1986) from 『Tears Of A Clown』 |
1986年8月の日比谷野音4days(2週連続4日間のライブ)の集大成的なライヴ・アルバムから。ノイローゼに陥り自殺寸前に見えた親友を見て作った「君はそのうち死ぬだろう」。ちなみに、オリジナル盤には、「都合により詞は掲載されておりません」とクレジットされています。 |
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佐野元春 / Christmas Time In Blue (1986) from 『Cafe Bohemia』 |
当時、スタイル・カウンシルなどUKアーティストによる音楽的なミクスチャー手法を積極的に取り入れていた佐野元春。それまでの「レゲエ=夏」という紋切り型の概念を一掃した、レゲエによるクリスマス・ソング。また、同じくレゲエ・クリスマス・ソングである、桑田佳祐のソロ・シングル「Merry X'mas In Summer」もこの年の7月にリリースされています。 |
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ゆうゆ / 25セントの満月 (1987) from 『ゆうゆ光線(+シングル・コレクション)』 |
チェッカーズのスカ隊長・鶴久政治作曲の怒涛のスカ・ナンバーでゆうゆが止まらないよ! バックのホーン・セクションが誰なのか気になっています。 |
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ブルーハーツ / レストラン (1987) from 『Young & Pretty』 |
性急なビートと直球なコトバで、当時ボンタンを穿いてふてくされていた輩の乾いた心を鷲掴みにしたブルーハーツの2ndアルバムから。ブルーハーツ楽曲の中では唯一のスカ・ナンバー「レストラン」。マーシーのスカ/2トーン愛好ぶりが道端にひっそり咲いた、そんな奥ゆかしさが好きです。 |
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プライベーツ / Return To Yourself(And Myself) (1987) from 『Real Time Blues』 |
クラブ・サウンドに寄ったかと思えば、原点回帰のロックンロール・ショーもみせる。現在も多彩なサウンドで新しいファン層を獲得しつつあるプライベーツのメジャー・デビュー・アルバムから。”ストーンズ・レゲエ”直系の音作りですが、細部にダブ処理を施すなど、バンドの良い意味での生真面目さが好感度大な1曲。ハモンドの音色も抜群に良いのです。 |
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ストリート・スライダーズ / Baby, 途方に暮れてるのさ (1987) from 『Hot Menu 〜Best Of The Street Sliders』 |
プライベーツ同様、ストーンズ・チルドレンによるレゲエ・サウンドはひとクセもふたクセもあって面白いものです。スライ&ロビー影響下のミリタント・ビートをこの時期に取り入れていたロックンロール・バンドは彼らぐらいだったのでは? スライダーズ、深いです。 |
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ティアドロップス / グッ・モーニン (1988) from 『Teardrops』 |
山口冨士夫が村八分時代の盟友・青木真一(g)、元フールズのカズ中嶋(b)、佐瀬浩平(ds)と結成したティアドロップスのインディー1stアルバムから。どことなくストーンズ版「Cherry Oh Baby」にも似たルーズなスチャスチャ系イントロでキース・ファンはニヤリ。コーラスで忌野清志郎が参加。 |
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レピッシュ / Our Life (1988) from 『Wonderbook』 |
80年代後期のバンド・ブームを代表する、スカをベースにしたキレキレのミクスチャー・バンドと言えば、このレピッシュ。1988年の2ndアルバムから。当時CMタイアップにも引っ張りだこで、この「Our Life」も確か何かのTVCMで使われていました(今思い出しています)。「リックサック」、「パヤパヤ」、「RINJIN」などなど、今聴いても身体が勝手にポゴ・ダンスを。 |
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真島昌利 / 地球の一番はげた場所 (1989) from 『夏のぬけがら』 |
ブルーハーツ(現クロマニヨンズ)のマーシーの1stソロ・アルバムから。友部正人(アルバムにも2曲で参加)の名曲を、山川のりお率いるディープ&バイツを交えて、ざっくりとしたスケールの大きめなレゲエ・アレンジでカヴァー。オブリやギター・ソロは山川のりおで、のちに忌野清志郎&2'3sでも聴くことができるシュアなプレイが光ります。また、ソロ第2弾『Raw Life』(93年)にもレゲエ楽曲が収録されています。それは後ほどご紹介。 |
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ユニコーン / 珍しく寝覚めの良い木曜日 (1989) from 『服部』 |
手島いさむ作詞・作曲による”服部仕立てのボブ・マーリー”。そのボブ・マーリー「Exodus」にも似たイカついイントロで、こっそりとレゲエ(ダブ要素もあり!)をやっていました。2007年のトリビュート盤では、プシンがこれをカヴァー。 |
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バービーボーイズ / Late Again (1989) from 『√5』 |
89年発表、初のアルバム・チャート1位を獲得した5thアルバム。コンタの艶っぽいサックス・ソロからスタートするバービー・ボーイズ唯一のレゲエ・チューン。 |
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小泉今日子 / Kyon Kyonはフツー (1989) from 『Koizumi In The House』 |
元々、ジューシー・フルーツのファンだったということもあり、キョンキョン曰く「憧れの存在だった」 という近田春夫をはじめ、小西康陽、井上ヨシマサら3人のクリエイターと作り上げた”アイドル作品の枠を超えた”実験盤『Koizumi In The House』から。井上ヨシマサが手掛け、ブッとんだ歌詞が印象的な「Kyon Kyonはフツー」では、国民的アイドルにはあるまじき、恍惚感たっぷりのアシッド・ダブ・サウンドに目を剥きっぱなし。また余談ですが、近田先生作の「好奇心7000」では、インピーチ使いの極太ビーツを採用しており、ヒップホップ好きは要・再チェックなのです。 |
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チェッカーズ / Room (1989) from 『スーパー・ベスト』 |
通算20枚目のシングル。チェッカーズは意外なところ(シングルB面とか)に2トーンやブルー・ビート系の良曲が隠れているともっぱらのうわさ。 |
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ザ・ブーム / 星のラブレター (1989) from 『A Peacetime Boom』 |
イカ天にてグーフィー森、内藤陳らを唸らせたザ・ブーム、問答無用のメジャー・デビュー・アルバム。「都市バス」、「きっと愛してる」など、この時代のビート・バンド特有のスカ・チューンも満載。この垢抜けなさがたまらないです。 |
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随時追加中・・・【90〜00年代編】は近日アップします
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