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サタケミキオ監督に質問しました。

Friday, August 15th 2008

サタケミキオ



脚本家・サタケミキオ初監督作品『同窓会』の公開を記念!して、Ask The Artistsに登場したサタケ氏に質問させて頂きました。



映画『同窓会』は、俳優・宅間孝行として、映画初主演を務めながら、サタケミキオ初監督作品として、"記念すべき作品"になったと思うのですが・・・主演を演じられて、そして、監督として映画を撮り終えて、いがかでしたか?

役者としては劇団のメンバーが共演しているし、以前から知り合いの役者さんが多かったので、緊張することはありませんでしたが、監督としては、初めて一緒に仕事をするスタッフばかりで、どこにいたらいいのかすらわからないところからのスタートだったし、役者が休んでいる時間は、監督として、ずっと作業をしなければいけなかったので、正直大変でした。



"笑って泣けるウェルメイドプレイ"が持ち味と言われる、劇団「東京セレソンデラックス」の主宰でもありますが、舞台と映画の演出において、それぞれのおもしろさや醍醐味などをお聞かせ下さい。

基本的には、舞台と映画の演出に違いは無いと思います。TVだと画角に合わせて演出する必要がありますが、舞台と映画は自然な距離感を保つことができるので、大きな違いはありません。演出ではありませんが、映画は編集で、演じている役者本人も気づかないような逆回転を使ったり、全く違うシーンを挿入してみたり、色々なことが出来るので面白いですね。



では、逆に、それぞれ(舞台と映画の演出において)の難しさをお聞かせ下さい。

映画は、出来るなら本当はリハーサルをしてから本番に臨みたいですね。あってしかるべき時間的な余裕がないと、映画は現場での究極の選択を的確にしないといけなくなる。編集でもどうしようもなくなったりします。その場を切り抜ける為のひらめきが功を奏す場合もありますが。 舞台では自分の中で確実な「正解」を持って演出してる気がします。勿論その為に悩みます。しかし映画には確実な「正解」がないような気がします。(それは例えば画角、カット割、演技)それ故に悩みますね。



どういう経緯で、今回の制作および公開になったのですか?また、構想から完成まで、どのくらいの期間が要されましたか?

最初は、脚本を書いて欲しいという依頼があり書き上げました。その後、監督をやってみないかというお話があり、引き受けることになりました。その時は別の方が主演をすることになっていたのですが、色々あってこの話がストップしてしまったんです。それでもぜひこの作品を完成させたいという情熱のある方々が尽力くださり、再度動き出したのですが、せっかくなら宅間がこの役を演じたらどうか、ということになり主演することになりました。残念ながらずっと温めてきた企画を実現した!というわけではないので、構想何年・・・というようなことはありません。

ただまあ、純粋に時間で言えば、頼まれてから他が忙しくなり脚本を書き上げるまで半年(実際初稿にかかった作業時間は1週間くらい)、それから撮影までが1年半、公開がその約1年後。あわせて3年くらい。そう言えば本書いてと頼まれたのは夏でした。



この物語の着想は、劇団「東京セレソンデラックス」のある作品の"エッセンス"を使われているそうですが・・・差し支えなければ、お聞かせ下さい。

離婚から始まって、という作品があり、それが着想点になっています。ただし、その後の展開は全く違うので、その作品を知っている方が『同窓会』を観てもわからないと思います。



この映画には、ご自身の"同窓会"にまつわるエピソードなども入っていますか?

残念ながら、同窓会をやったことがないんです。実は主要キャスト6人全員が同窓会の経験がありません(笑)。



キャスティングは、どのように決定されていったのですか?

大人のキャストについては、すでにキャスティングが決まっていました。学生時代のキャストは、オーディションで決めたのですが、演技力も勿論加味しましたが、それよりも大人のキャストの雰囲気に合わせて選びました。ただし、ゆきねえ(兵藤ゆきさん)だけは、どうしても出演して欲しいと思っていました。当時ゆきねえはニューヨークに住んでいたので、ダメ元でしたが担当の方に連絡をとってもらい、ラッキーなことに出演を快諾していただき、実現しました。



主人公:南克之を始めとする同級生達の地元は、"長崎"という設定ですが、監督に何か、縁がある土地なのですか?

先日まで劇団で再演していたお芝居の舞台が"長崎"で、以前から長崎弁に親しんでいたんです。『同窓会』は東京から離れた地方を舞台にしているので、せっかくならその空気感や長崎弁が心地いい長崎で、ということになりました。



現在のシーンよりも、回想シーンに、多くの時間を取られていた気がするのですが・・・そこに意図やこだわりなどはありますか?

現代はやや重いテイストに引っ張られがちになるので、なるべく過去のシーンを挿入して雰囲気が暗くならないようにしたい、という意図はありました。あとは「こだわり」とまでは言いませんが過去に飛ぶ、現代に戻るというシーンとシーンのつながりは遊びも含めて色々なパターンを駆使しています。



特にお気に入りのシーンや、台詞などがありましたら、お聞かせ下さい。

尾高杏奈さん演じる高校時代の"雪"と、永作博美さん演じる大人の"雪"がとても魅力的なので、観終わった後でみなさんが二人を好きになってくれればうれしいです!



撮影中のキャストとのエピソードやハプニングなどがありましたら、教えて下さい。

長崎県島原市での撮影が全て終わった日に、宿の宴会場で島原ロケ打ち上げがあったんですが、僕以外のメインキャスト5人は打ち上げ後、近くの足湯に行き、お酒を買ってきて夜中過ぎまで飲んでました。みんなお酒が大好きで、ほぼ同年代ということもありとても盛り上がったようです。一方僕はと言えば、子供時代のキャストたちに誘われ、港近くの海岸で花火をしていました。その後海を眺めながら歌を口ずさむ彼らをちょっと後ろから保護者のように見ていて、青春してるなあと思いました。僕が歌を口ずさまなかったのは単純にその歌を知らなかったからです。



「アート性とか前衛とか、そういうことはまったく目指していない人間です。この映画も、難しいことは何もない、オーソドックスで純粋に楽しめる作品です」とお話しされていましたが、サタケさんにとって、そういうものがエンターテインメントになりますか?また、サタケさんが思うエンターテインメントとは、どのようなものですか?

受け手側の観客が、見終わって考える、何かを感じるというのはエンターテインメントではないと思います。意味不明だけど何かを感じる、不快だけど考えさせられるみたいなモノは、はっきりとそういう区別をもって宣伝して欲しいくらい。でもそれ自体を否定はしません。新しいエンターテインメントはそこが着想点になったりする事もあるでしょうから。「オーソドックスで純粋に楽しめる作品」がエンターテインメントかどうかは分かりません。そこに「感動」があればエンターテインメントになるんじゃないでしょうか。「泣ける」という感動もそうですけど、「笑える」という感動・・・様々な感情を揺さぶられ見終わって「面白かった」と思える物、感動した物、それがエンターテインメントだと思います。



どういう感情が起こった時に、作品を作りたいと思われますか?

もっともっと成り上がりたいと思った時。



サタケさんが好きな映画や影響を受けた作品などを教えて下さい。

数え切れない程あるというか、影響を受けた作品で言えば、たとえば脚本を構想中の時に見た作品は少なからず脚本に影響されていると思います。脚本が出来上がっていざ演出段階でも同じ。今まで見た作品から何らかの形で影響を受けているといっても過言じゃないかも。そういう意味でもやっぱり「沢山映画を見なさい」というありきたりに見える教えは間違ってないかもしれません。



「またいつか絶対、監督をしたい!」とお話しされていましたが、次回作の着想などはありますか?

劇団の舞台作品を映画化したいです。まあネタの宝庫みたいなもんなんで。映画オリジナルとしては「理不尽」「不条理」な事がまかり通る社会にメスを入れるみたいな。社会派を目指そうかなと。劇団作品とは真逆の方向性も平行で走らせる感じで。



今後、一緒にお仕事されたい方がいらっしゃいましたら、お聞かせ下さい。

監督として次に映画をやるなら、自分の世界観を面白いと思ってくれるスタッフと仕事がしたいです。それでその人が、俺がリスペクトしている人なら言う事ないです。



最後に、HMVユーザーの方にメッセージをお願いします。

デートするのに、今度は何しよう?次はどこに行こう?あの子誘いたいけど何しよう・・・と迷っているなら是非映画『同窓会』へ!大事な人、大好きな人と見て欲しい作品です。見終わった後のお茶、ご飯、お酒・・・きっと盛り上がるんじゃないかと。そして二人の仲はグンと近付いている!はず・・・観てね。



ありがとうございました。





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