Quiet Corner クワイエット・コーナー Vol.1
心を鎮める音楽 〜クワイエット・コーナーを探して〜

Quiet Corner クワイエット・コーナー

音楽の超越 〜『FOR THE GHOSTS WITHIN』に寄せて

T.R. マハリンガムを聴いていると世俗から離れ、浮世離れした音楽という言葉が思い浮かぶ。それもその筈、彼は南インドの古典音楽奏者であり、元々、南インドは北インドと較べて宮廷音楽の影響が色濃く残っている地域だからだ。つまり、世俗から離れ超越した場所で奏でられることを前提としている音楽なのである。この場合の超越とは、ラ・モンテ・ヤングやテリー・ライリーのように演奏の過程で音楽が超越されていくこととは違う。何故なら、マハリンガムの場合は最初から超越を約束されているからだ。これは雅楽の音楽としてのあり方を思い浮かべてもらえれば分りやすいだろう。では、ロバート・ワイアットの場合はどうだろうか。彼の音楽を聴いていると、崇高な世界を目の当たりにしているような感動があり、それは浮世離れした超越的な音楽のように思えてくる。しかし、その一方では世俗的なブルースやフォークのように深く心に沁み込んでくる大衆音楽のような唄も存在していると気が付く。前述のアーティスト達と音楽のあり方が違うのは明らかだが、大衆音楽をモチーフの一つに取り入れているキップ・ハンラハンのような人とも違う。ロバート・ワイアットにあるのは俯瞰した視座に立った隙の無い唄ではなく、もっと大らかな唄だ。つまり、聖俗混淆、アンビバレント、まるで平和や祈り、そのものを表現したような音楽なのである。最新作『For The Ghost Within』はそんなワイアット節を堪能できる素晴らしい仕上がりとなっている。
文●清水久靖
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