英国のピアニスト、ジョン・オグドンの欧州各地での協奏曲の録音。ジョン・オグドンは1937年、イングランド、ノッティンガムシャーのマンスフィールド・ウッドハウスの生まれ。1962年、モスクワでのチャイコフスキー国際コンクールでウラディーミル・アシュケナージと共に優勝を分け合ったことで名高い奏者です。以来精力的に演奏活動を行ったオグドンですが、1973年に躁うつ病(双極性障害)を患い、さらに健康を害して1989年に52歳の若さで亡くなってしまいました。全盛期は僅か十年強。
この2CDのうち、ブゾーニの『インディアン幻想曲』、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番、ラヴェルの左手のための協奏曲、そしてヒンデミットの協奏曲はオグドンが商業録音を残さなかった曲。最も重要なものはブゾーニの『インディアン幻想曲』でしょう。オグドンはブゾーニを強く敬愛していましたが、残された録音は少なく、『インディアン幻想曲』も今回始めて世に出るもの。ヒンデミットに至っては彼は1曲も商業録音を残しておらず、なおのこと貴重です。アメリカ時代の1945年作のピアノ協奏曲はオグドンの個性にピタリと合った音楽で、これがフェルディナント・ライトナーの指揮でステレオ録音で残されていたのは非常に幸運です。同様にラファエル・クーベリックの伴奏指揮によるラヴェルの左手のためのピアノ協奏曲もステレオ録音。オグドンのラヴェルは鮮やかな技巧で弾き切った充実感の残るものです。(輸入元情報)
【収録情報】
1. シューマン:ピアノ協奏曲イ短調 Op.54
ヴァーツラフ・ノイマン指揮、南ドイツ放送交響楽団
1967年3月10日 西ドイツ、シュトゥットガルト(ライヴ録音)
2. リスト;ピアノ協奏曲第2番イ長調 HS125
アンドレアス・フォン・ルカーチ指揮、南西ドイツ放送交響楽団
1970年3月6日 西ドイツ、バーデン=ヴュルテンベルク州バーデン=バーデン(放送スタジオ録音)
3. ブゾーニ:インディアン幻想曲 Op.44
ルイ・ド・フロマン指揮、ルクセンブルク放送交響楽団
1965年10月27日 ルクセンブルク(放送スタジオ録音)
4. ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番ハ短調 Op.37
ルイ・ド・フロマン指揮、ルクセンブルク放送交響楽団
1965年10月25日 ルクセンブルク(放送スタジオ録音)
5. ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲ニ長調
ラファエル・クーベリック指揮、バイエルン放送交響楽団
1968年5月24日 西ドイツ、バイエルン州ミュンヘン(放送スタジオ録音)
6. ヒンデミット:ピアノ協奏曲
フェルディナント・ライトナー指揮、バイエルン放送交響楽団
1970年12月11日 西ドイツ、バイエルン州ミュンヘン(放送スタジオ録音)
ジョン・オグドン(ピアノ)
ステレオ録音(1,2,5,6)、モノラル録音(3,4)
簡易収納紙ケース仕様