高音質録音で名高いエリート・レコーディングズ制作の「VOX」原盤を現代の名エンジニア、マイク・クレメンツがオリジナル・マスターテープから192kHz/24bitでデジタル化する「VOX AUDIOPHILE EDITION」。セントルイス響でスラトキンの先輩にあたる2人の指揮者による録音が登場。
イエジー・セムコフ[1928-2014]はポーランド生まれ。セラフィンやワルターに師事し、レニングラードではムラヴィンスキーのアシスタントを務めました。ロシアものは得意なレパートリーのひとつで、この『シェエラザード』はオケを自在にコントロールしつつソロ楽器を良く歌わせた聴きごたえのある演奏です。
セントルイス響の音楽監督としてスラトキンの前任がセムコフで、そのまた前任がチェコ生まれのワルター・ジュスキント[1913-1980]。母国の作曲家スメタナの『売られた花嫁』からの序曲と管弦楽曲はセントルイス響での任期最終年の録音で、初出時は『わが祖国』全曲盤2枚組LPの余白に収められていました。リズムとサウンドがいきいきとした演奏です。
録音エンジニアのマーク・オーボートは極力少ないマイクで録音することを心がけていたと言い、ここでも音場の広さと深さ、オケの響きの溶け合いの良さ等にその効果が感じられます。いずれも今回のリマスターでS/N比と質感の向上が感じられますが、特に『シェエラザード』におけるソロ・ヴァイオリンとハープの質感は見事で、多彩で豊かなヴィブラートを使いこなして物語を紡いでゆくソロ・ヴァイオリンの音は惚れ惚れとするほどです。(輸入元情報)
【収録情報】
● リムスキー=コルサコフ:交響組曲『シェエラザード』 Op.35(1888)
1. 海とシンドバッドの船
2. カランダール王子の物語
3. 若い王子と王女
4. バグダッドの祭り - 海
セントルイス交響楽団
マックス・ラヴィノヴィチ(ヴァイオリン・ソロ)
イエジー・セムコフ(指揮)
録音時期:1976年5月22,23日
● スメタナ:歌劇『売られた花嫁』より
序曲
第1幕〜フィナーレ:ポルカ
第2幕〜フリアント
第3幕〜道化師の踊り
セントルイス交響楽団
ワルター・ジュスキント(指揮)
録音時期:1975年1月26日
録音場所:ミズーリ州セントルイス、パウエル・ホール
録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
24bit/192kHzリマスター