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5 people agree with this review 2011/01/25
レコード時代に聴いてわかっていたとはいえ、技巧は下手ではないものの、正直リストのスペシャリストとしてはキツいものがある。半音階的大ギャロップなどシフラと聴き比べると性能が一枚半くらい下、ハワードと比べてもやや下回るかも知れない。ただ、出来る範囲で誠実に全力投球しているので、ハンガリー狂詩曲など余裕はないけれど刺激的なものは感じられる。逆にもうちょっと簡単な曲がおっとりし過ぎているきらいもあるが。また、よく聴くと細かいミスは散見されるが、これは逆に録音時にみだりに切りつなぎをしていないことを意味するかも知れない。装丁は蓋が完全に分離する紙箱で厚紙封筒入り薄い解説書付きという仕様である。録音はひずみ方は標準と思うが、モノによってはテープのヒスノイズも目立ち、悪いとは言えないが年代程ではないかもしれない。期待し過ぎたため食い足りない所も多々あったとは言え、初出は一枚当たり2000円が数枚ずつボックスとなって全24枚、再発は一部が1500円廉価レコードで出たことを考えると、この内容でこの値段とは一体何だってことになるかも。
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15 people agree with this review 2011/01/19
リスト好きなら誰でも知っているのに高値でなかなか手が出せない全集が、完結した瞬間にニンテンドー3DSと同じ位の値段で買えてしまう事態も何なんだが、実際手に取って見ると、ハイペリオン仕様の厚紙封筒ながら色分けで扱いやすくしている配慮、解説はほとんどないとは言え丁寧な曲名CD対応インデックス冊子、そして盤質もきれいで装丁にハイペリオン独特の風格を感じる。曲名は原題表記なので特に非有名曲はわかりにくいのだが、普段無駄に見える外側に巻いている東京エムプラスの紙の裏に、曲名日本語訳が印刷されているのも親切である。演奏は既に十数枚ダブって持っているのでわかっていたことではあるが、学校の成績に例えると中の上か上の下をずらっと並べた感じで、誠実で屑もないが飛び抜けて印象が強いというものもないので、リストファンがコレクションを完成させるために購入して飾っておくのには最適だが、手始めにこれを聴いてリストの魅力的な曲を探求いるということにはあまり適当でないかもしれない。ただ、以前の印象からもっと単調かと思っていたのだが、実際にいくらか聴いて行くと、安定している割に意外と細かい表情付けも行われている気がする。盤が全部大丈夫か確かめるのにも一苦労だっただけに、自分として全部を聴きとおすとは思えないが、これを購入して全部くまなく聴く人はどれくらいいるのだろうか。
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3 people agree with this review 2011/01/18
演奏自体は大らかに構えじっくりとしたもので、パッセージに多少もたつきを感じるシーンもあるが、時計の割には遅くは感じず、がっちりしてていも重くなく角は取れている。ただ、装丁については、盤そのものは手持ちのバラと同じなので輸入盤かも知れないが、キングインターナショーナル謹製の紙箱の中に安っぽい日本語のみの解説書とともに、パソコン屋さんで売っている不織布CDケースに入っているだけなので、輸入盤という感じはしないし高級感もない。また慣れれば苦にならなくなるかも知れないが、あのヘンスラー独特の風呂場で録音したような人工的残響のかかった録音、さらにバラよりかなり安くなったとはいえ、ケンプ等の名盤選集が五千円でお釣りがくる時代にこの価格。致命的なのはCDを十二枚も消費しながら、リヒテルやケンプ等で有名な秘曲のへ短調D625がない。その割に、この曲の第三楽章とされるアダージョや他の断片ソナタの一部は小品して収録という訳のわからない選曲。確かにピアノ作品集と言っていて「全集」とは言ってないから嘘はついてないわけだが…。オピッツの演奏のクオリティが高いだけに、企画として残念度が極めて大きくなってしまったことは否めない。
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0 people agree with this review 2010/12/13
歴史的名演もいろいろ買っていればかなり被るものもあるが、ルービンシュタインなどでも聴いたことのないライヴだったりなど、結構演奏の選択が一筋縄でなく面白い。被る演奏で比較すると、モイセイヴィッチとかフリードマンなど針音が目立っても高域をいじらない、いわゆるいつものMarstonやOPUS蔵的復刻のように感じる。なぜかオールソンのアラベスク全集の録音が混じっているが、これは原盤CDよりややレベルが低く音が丸くなっている感じである。他はライヴ等も多いので音質についてはさまざまである。ただ、紙箱厚紙封筒様式なものの、40ページの解説書がついていて、ピアニストのバイオグラフィが数行ずつ写真入りでついている所はMarstonらしい高級感を感じる。個人的には知らないピアニストをいっぱい聴けたり、DVDで断片でしか聴いたことのなかったプランテの練習曲を結構明晰に聴けたりなど収穫が多かったが、選曲はポロネーズ、マズルカ少なめなどやや不満も残るし、なにせお値段が高いので、万人に薦めるかは微妙である。ブリリアントのショパン箱のヒストリカルに興味を持った方などに、重複覚悟でどうぞというところだろう。
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2 people agree with this review 2010/11/11
同一曲を四つの異なるバージョンで演奏はしているが、録音時期が近いとはいえ、バージョンが変化してもピアノパート部分の解釈は所要時間も含めてほとんど一致している。また、四種のピアノを使い分けているが、音質の系統は、オケ・弦楽版とピアノのみ二種版に二分出来る。ここにカツァリスの音楽的主張を感じる。ただ、普通の協奏曲バージョンは、並に優秀なピアニストと技巧が違うせいか、余裕をかまし過ぎてかえって感動をそぐうらみがある。カツァリスの能力ならピアノ一本でオケまでやってしまって丁度くらいである。ピアノ独奏バージョンでは同時期にリリースされている河合優子やミクナとは格の違いを感じる。昔から楽譜は普通に出ていて音大あたりでも練習でやっていそうな二台バージョン盤は他に見当たらないので、二重録音とはいえ資料的には貴重と思われる。
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17 people agree with this review 2010/11/06
全部バラで買ってしまった者にはむごい価格設定だが、ピリオド楽器好きでこれから買おうとする人には、演奏にも糞なものがないし、楽器の違いや奏者によるタッチの違いも楽しめるので良い買い物であるだろう。おまけに単品はデジパックの上に後半注文したものは東京エムプラスの紙が巻いてあって、あまり扱いやすい状態ではなかったので、箱にまとまっている方がいいかもしれない。どれが良いかというと迷うが、オレイニチャクやヨッフェそして最後のダン・タイソンの夜想曲の美しさなど印象的である。ただ、これだけ盤数を集めながらショパン全曲っていうには微妙に欠落があり、これで終わるなら企画としては何か中途半端な感は否めない。
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5 people agree with this review 2010/10/30
半数以上はダブって持ってるため、内容は大体わかっているつもりであったが、実際来てみるとこれだけダブっていても買ってよかったと思う。フランソワを多少かじって反感を持ってない人なら、持ってるとしあわせな気持ちになれそう。特にCD31以降はコアなフランソワファンにとっても宝物ではないかと思う。良くも悪しくも各曲へのあの創意工夫は他の人には真似できないと思う。ダブったショパンの夜想曲でマスタリングを比較すると、手持ちの最初期仏輸入10枚箱と比べて、録音レベルが大きめになりヒスノイズ重視の感じである。他を詳しく聴き比べてないのでわからないが、おそらく変に音はいじってないのではないか。またシフラ箱のように紙袋の蓋が糊づけされてはいなかったのは助かった。なお、CD31のショパン練習曲作品10−2は実は作品10−12「革命」であった。出来にムラはあれどどれもフランソワの魅力で一杯だが、一つ挙げるなら日本録音(CD34)の軍隊ポロネーズ。現在レッスンしている方がこれを真似たら…師匠に何言われても知らないよっ(笑)。
0 people agree with this review 2010/10/29
ソナタ一番第一楽章の節回しがなぜか引っ掛かり気味なのが最大の特徴。マズルカは闊達な演奏だが、あとはいい意味で普通に流れていく。よって、新版で弾いているコントルダンスもオレイニチャクの時ほどの衝撃はない。ただ、全体にキツ目の印象で、ブラインドで奏者を当てろと言われたら「シェバノワ」って言っていまうかも。ただでさえ、二人は同じショパコンで似たような順位なためごっちゃになっているのに…。全体的にはマズルカ群のリズムが楽しく、ソナタ一番も上位級の演奏と思うので一応は薦められる。なお、マズルカ作品7−5はまる三回繰り返して突如終わるというパタンになっている。
2 people agree with this review 2010/10/26
ドレヴノフスキのショパンのワルツCDというとApexの1,6,7番(2564682606)、モダンピアノのムザ盤全集(PNCD1322)に続いてこれである。共通なのは快速であるということだが、ムザ盤はゆったりした部分はゆったりになり、華麗なる円舞曲の中間部のフレージングなどお茶目で、カツァリス程ではないにしろ旧国営レーベルで地元民がこんな勝手なことやってていいんだろうかと思ったりした。この盤も解釈的にはムザ盤と同じだが、ピリオド楽器のせいかお茶目度が目立たなく音楽が流れていく。楽器を手の内に入れているようだしシェバノワより闊達なので、秋の夜長に流しておくにはいい盤かもしれない。
1 people agree with this review 2010/10/26
ショパンピアノ協奏曲1番の改変としては現在グルダのバラキレフ編が入手しやすいが、これを聴いて目が丸くなった人にはタウジッヒ編は頭がウニになるはず。一楽章序奏大幅カットでカットした内容を大胆改変から始って、以降良くも悪しくもびっくりさせられる。昔は仏ハルモニアムンディのセトラーク盤があったが廃盤久しいので、これの資料的価値はある。さらに、セトラークは技巧上の問題もあり多少ふやけた感じだったが、ベルッチは剛腕で場合によってはアルゲリッチ級のスビードも出し全体を引き締めている。ブゾーニの二曲も英雄の中間部の左手オクターブ増強など、なんだよなという内容であるが、ベルッチのオクターブ連打等のパワーに圧倒される。他にも録音の多いリスト編の歌曲も、とにかく力でねじ伏せた演奏である。音楽的に良いというより馬鹿馬鹿しくも大変面白い演奏とは言えるが、全編うるさくて暑苦しいのは事実なので、そういうのが苦手な人には薦めない。
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0 people agree with this review 2010/10/16
協奏曲は思ったよりも普通だが、シューマンの狂おしいロマンというよりカツァリス独特のドライな世界は表出している。ただ走るかと思ったら、フィナーレコーダはゴツゴツ感じるとか、イマイチ首尾一貫してない気が。アルバムの綴りはライヴで聴衆ノイズも入り、昔のテルデックスタジオ録音とは完全別物だが、その別物が問題。速い所はやや混沌している程度だが、ゆったりした曲で、歪っぽい録音も相まってツンツン感じてしまう点が痛い。曲そのものを楽しむならスタジオ録音の方が良い。変奏曲はそのもっと前の録音で、演奏は腰が据わっていても、逆相成分が混じったような妙な録音状態が残念。カツァリスらしさは十二分に出ているので彼のファンには必携だろうが、普通のシューマンファンに薦めるかとなると別問題である。
全体的に腰が据わって真摯に弾いている感じに好感は持てる。速い所はスピード切れ味ともイマイチだが、逆に前奏の部分はこの重厚感がいい方に作用して惹かれる。全体的に本来のピアノパートよりもオケ編曲部分で引き込まれるという何か妙な感じの演奏だが、そこがこの盤の美点か。
0 people agree with this review 2010/09/22
ユリ・ブーコフはLPレコード時代はフォンタナレーベル廉価盤でピアノ通俗名曲集など出していたので古い人にはなじみの名前だが、いつのまにか消息も盤も途絶えていた。今の若い人がHMV表示にあるように英文字で名前を見ると、大手古本チェーンと間違うかもしれない。そういう私もポロネーズ16曲全部を入れていたとは知らなかった。演奏は巨匠タイプでマルクジンスキーなどと比べると厚みには欠けるものの、フレージングの突っ込み方などには独特なものがある。LP盤起こしのモノラルで若干針音的なノイズも混じるが、音の状態は聴きやすくなっている。ただ、昔のLPに記述がなかったせいもあるのかと思うが、録音データ等が皆無なのはちょっとなと思う。後半半分がすごく楽しみになって来る演奏である。
2 people agree with this review 2010/09/20
速めのテンポでソナタなど多少腰が据わってない感もあるが、前へ前への音楽の息使いは素晴らしい。決定的名盤とは言えないとしても特徴的秀演といえる。それだけにHMVの記事にもあるようにブチブチノイズは残念である。最初は強奏部で出たのでひずみかビット落ちかと思ったのだがどうもそうでもないみたいで、かつてDATにおいてテープ読み取りエラーでバチッといったあの音である。がまんして聴くなら、耳や再生装置の保護のために音量を下げめにする必要がある。DDD録音だけに、もしマスターテープの損傷なら細工は難しいかもしれない。DADでもいいから何とかして欲しいが、これが起因でこの演奏がお蔵入りになるならかなり痛手である。なおノクターン20番については、全音ピース等と同様の旧来の楽譜による録音である。
1 people agree with this review 2010/09/18
ショパンの歌曲集は確かにメゾソプラノ盤が多いが、ジャーノットの声は細めの美声なので、「乙女の願い」のようにいかにも女性用の曲でも違和感がなく聴ける。端正で録音もまずまず良い。ドイツ語歌詞のため節回しが若干違って来るので、ポーランド語でこの曲になじんでる人には多少引っかかるかも知れない。あと独・英語で曲と演奏者の解説はたらたら書いているが、そのドイツ語歌詞は一切書いていない。要するにペータース版の楽譜を買えということか。好演のジャーノットには悪いが、そのため星の数は落とした。
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