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Review List of ベイ 

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     2014/08/24

    小澤征爾が2014年1月1日から31日まで、「日本経済新聞」朝刊で連載した「私の履歴書」が単行本となった。≪どんな人たちに支えられてきたか。その恩人たちを紹介するのが僕の「履歴書」かもしれない。≫という巻頭の言葉通り、小澤征爾のサクセス・ストーリーの陰には、決定的な場面で重要な役割を果たした様々な人々との出会いがあった。
    両親、兄弟、成城の仲間たち。ピアノを教えた豊増昇を始め、特に重要な人物は桐朋学園の創始者のひとりで小澤に指揮を教えた斎藤秀雄であることは自明である。
    初めて海外へ渡航したとき援助してくれた実業界の人々、ブザンソン指揮者コンクール参加を助けてくれたアメリカ大使館員。師事した偉大な指揮者ミュンシュ、バーンスタイン、そしてカラヤン。N響事件でバックアップしてくれた錚々たる文化人たち。ラヴィニア音楽祭に紹介した敏腕マネージャーのウィルフォード。小澤を音楽監督に指名したトロント響、サンフランシスコ響、ボストン響のマネージャーや理事たち。N響との和解を進言してくれたロストロポーヴィチ。サイトウ・キネン・オーケストラを支援したスポンサー会社。ウィーン国立歌劇場のホーレンダー総監督などなど。中でも食道がんの闘病生活の支えとなった家族の力は大きい。これほど周囲の人々に恵まれた音楽家がほかにいるだろうか。
    今回読み直してみて、小澤征爾という音楽家の原点は人を引き寄せる魅力ある人間性であることを改めて実感した。その人間性が演奏家たちはもとより、彼に関わるすべての人々を魅了することは確かだが、では小澤征爾の指揮する音楽がどこまで深く人を感動させるか、はまた別の問題だ。これまで数え切れないほど実演を聴き続けてきたが、心の底から感動した演奏会は、新日本フィルとの「カルミナ・ブラーナ」、N響との歴史的な和解コンサート、復帰後、第1楽章だけ指揮したサイトウ・キネン・オーケストラとのチャイコフスキーの弦楽セレナーデ、潮田益子を追悼した水戸室内管とのモーツァルトのディヴェルティメント第2楽章など、決して多くはない。「おわらない音楽」というタイトルは、小澤征爾が永遠に追求せざるを得ない、音楽の奥深さ、難しさ、怖さを暗示しているように思う。

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     2011/05/07

    ショパンについては、実際のライブの感想(*下記『』内)とほぼ同じで、当夜の感動がよみがえってきた。ないものねだりを承知の上で言えば、生とCDの違いは、アルゲリッチの美音が自分を包み込むように聞えた会場の空気感、空間の広さだと思う。それでも現時点でこのCDはアルゲリッチの数多いショパンのピアノ協奏曲第1番録音のなかの頂点を示している。ただしバックのアルミンク&新日本フィルは健闘しているものの、ニュアンスの豊かさが足りないように思える。伴奏ではなく、アルゲリッチとの対話をもっと深めてほしかった。例えばEMI盤のデュトワ&モントリオール交響楽団のように。

    *『最初のピアノの一音が出た瞬間、別世界、夢のような世界に連れていかれたような気持ちになった。強い音はみずみずしく深く張った根があり、いまだかって誰も聴いたことがないような信じ難い弱音は、天使が降臨し聴くものを天上の世界に誘うようだ。アルゲリッチの指は鍵盤の上を浮遊している。そのあとから玉のような音が次から次へと流れ出てくる。
     (中略)
     第2楽章はさらに異次元の世界。どこまでも伸びやかに聴き手の胸に飛び込んでくる弱音は二度と聴けないのではないだろうか?
     第3楽章は、ショパンを自分の世界にとりこむかのようなアルゲリッチの奔放さを思い切り聴かせて、華々しく曲が終わった。』

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