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Review List of 一人のクラシックオールドファン 

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     2012/01/30

    ゼルキンの「皇帝」協奏曲は当然その録音が多くサラーッと拾ってみただけでも1941年録音ワルター/NYPO(タイム@19’06A7’52B9’41)、1950年録音オーマンディ/PPO(同@19’04A9’03B9’58)、1954年録音カンテッリ/NYPO(同未確認)、1958年録音カラッチェロ/ナポリASO(同@19’27A8’40B10’04)、1962年録音バーンスタイン/NYPO(本盤演奏、同@19’33A8’46B9’59)、1966年録音アンセルメ(同@20’13A8’40B10’44)、1977年録音クーベリック/BRSO(同@20’34A8’17B10’10)、1981年録音小澤/BSO(同@21’21A8’49B10’49)・・・といった具合であります。1962年録音演奏はゼルキン59歳、バーンスタイン44歳の時で客観的には一番いい時期のもので、テンポや弾き方に強烈な個性はありませんがバーンスタインのバックにも煽られベートーヴェンの音楽を堂々とドイツ的に弾いてこの曲の壮大なところを充分(過ぎる程?)に堪能出来ます。第1楽章、粒のそろった音が聴き手を先ず引きつけますが時として彼の唸りが洩れている様でもあります、第2楽章は管楽器のスポットが気にはなりつつ過度に聖歌的にならず清潔な叙情性に好感を持ちました。どの演奏を聴いてもややくどく私が感じてしまう最終楽章は圧倒的な進め具合で正に「皇帝」曲、バックとの打々発止と先の「唸り声」が相俟って実演の雰囲気を漂わせます。ただ私は同じメンバーでのピアノ協奏曲第3番とのカップリング盤(1960年代ゼルキンは第1、2、4番をオーマンディ指揮PPOで、第3、5番はバーンスタイン指揮NYPOと録音しています)で聴いておりその第3番の方の節度と気迫ある演奏からすれば、多分に最終楽章のくどい皮相的にも受取れるヒロイックなやっぱり血は争えぬアメリカン的な盛り上げが気にはなったのと「皇帝」協奏曲のみの収録に対しても正直な処として本盤少しトーンダウンしてOKランクになりました。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/01/29

    1957年、当時最年少記録でバイロイト音楽祭に出演し話題を呼んだサヴァリッシュは1960年代半ばからNHKSOを振って日本でも馴染み深かかった指揮者でレコードでは私などはVSOをふったブラームス交響曲くらいから聴き始めたものです。彼の演奏は決して奇を衒うものではなく崩れる事は先ず無くそのルックスからも次第にある貫禄も放っていました。本盤収録曲はそうしたいい時期の1991年彼が68歳の時RCOを指揮してセッション収録したベートーヴェン交響曲第4番(タイム@12’17A9’49B5’38C6’42) 、第.5番(同@7’54A10’21B5’09C8’39)、第.6番(同@12’00A12’57B5’20C3’45D9’04)、 第.7番(同@12’28A8’54B8’38C7’15) で何れもサヴァリッシュらしい緻密で堅実な貫禄ある・・・かつて息苦しさを感じさせるとの評がサヴァリッシュにはありましたが、円熟の境地に達した演奏です。タイム的には各曲反復演奏の有無により他演奏との単純な比較は出来ませんが第4番などはマメに実施されておりますね。先のブラームス交響曲で私は第2番がとくに気に入ったのですがこの第2番が田園的雰囲気を湛えている様に本盤ベートーヴェンでも第6番が反復演奏込みもされて割りとしっとりした仕上がりが好きであります。多分当時トレンディになりつつあったピリオド楽器演奏の影響とRCOの艶っぽいサウンドが以上の様な印象へのプラス要因になったと思われます。かくのごとくどうも偶数番の曲が本盤ではサヴァリッシュ向きには感じましたが第5番、第7番の様な攻める曲では何れも最終楽章テンポを速めにしてフィナーレ感を印象づけて収支をとっており工夫が推察されます。他のレビューで指摘されているノイズは即解決されるべきではありますが素晴らしい演奏ですね。サヴァリッシュはすでに引退しておりあのTVでの指揮姿が懐かしく思われる昨今ではあります。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/01/28

    バッハの「音楽の捧げ物」は「フーガの技法」ほどではありませんが楽器の組み合わせ・曲順が割りとフリーな場合が多く本盤バウムガルトナー(1976年録音当時59歳)指揮ルツェルン祝祭Oの演奏でも独奏者の参加次第の処があり、何と言ってもトリオ・ソナタでのニコレ(フルート)の役割が重要なポジションに座っている様であります。本盤収録時ニコレは丁度50歳の頃で彼は本盤以外にもトリオ・ソナタ他をリヒターや小林道夫とも録っている様ですしバウムガルトナー自身1955年にヴァイオリン奏者としてアーノンクール夫妻、アールグリムその他とこの曲録音(トータルタイム54’00)に参加もしています。私のこの曲への近づきはバウムガルトナーとほぼ同年配のミュンヒンガー盤とレーデル盤であり前者のがっちりした構築性、後者の流動性に各々の特徴を捉え自分の気分によって聴き分けた(勿論LPで)ものでありました。さて、本盤はバウムガルトナーが先述のトリオ・ソナタ部分以外の他曲の楽器の組み合わせをアレンジしたものらしくトップバッターは静謐さを湛えたヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの三重奏による「3声のリチェルカーレ」であります。その後これらの弦に管楽器が加わって各曲が進み途中先のトリオ・ソナタも入ります。最後「六声のリチェルカーレ」はフリードリヒ大王注文のチェンバロでの演奏ではなく弦での演奏である事も特徴となつています(もっともミュンヒンガー盤なども確か弦主導だったのでは・・・)・・・とにかく自然な流れであっても厳粛さを忘れない演奏はミュンヒンガー、レーデル盤より後発なのかこの先発演奏を上手くブレンドした印象があり聴き飽きしない仕上がりです(トータルタイムは47’31)。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/01/27

    現在廃盤ですがわりと良い演奏なのでメモし参考に供したいと思います。本盤は1980年ハイティンクが51歳の時にRCOを振ってのブラームス・ハンガリー舞曲10曲(タイム第1番3’15、第2番3’30、第3番2’48、第4番4’32、第5番2’42、第6番4’01、第7番2’05、第8番3’30、第9番2’17、第10番1’50)と1984年マズア57歳がLGOを指揮してのリスト・ハンガリー狂詩曲4曲(タイム第2番10’33、第3番7’37、第4番11’29、第5番9’50)であります。先ずハイティンクなのですが彼は1961年から四半世紀以上RCOの首席指揮者を務め(途中まではヨッフムと両立て)て後も幾つかのメジャーオーケストラの責任者を務めており元々彼は引き出しが多い上に強烈な自己主張とか奇を衒った様な演奏はせずマァ中庸表現により聴き手に物足りなさを感じさせて来た様に思われます(ハイティンクと同じ年齢指揮者にアーノンクールがおり対照的な感じです・・・)。31歳の若い時からRCOの首席だったのですがやはりヨッフムの影にかくれた存在だった事やその頃からちょっと頭髪が薄く晩年までずぅっーと同じ様なイメージ・・・つまり地味、不変化な指揮者というイメージが抱かれていた面もあった様です。しかし彼のどの曲も聴き飽きのしない指揮演奏に何と言っても成熟さが加わったのが本盤収録以降のようでこの一連のハンガリー舞曲ではジプシー風そのものには迫っては来ないけれど各曲RCOの豊潤な響きと指揮の巧みな隠し味的緩急・伸縮が楽しめお馴染の第5番も節をおさえつつシナリのある分り易い演奏となっております。一方のマズア指揮のものなのですがマズアもLGO指揮者を1970年からやはり四半世紀以上勤めた後、幾つかのメジャーオーケストラの指揮ポストを担っていた様ですが私的な面でいろいろ事情も抱えつつもう80歳を超えてしまった様です。演奏自体はドイツらしい重厚さが特徴で本盤ハンガリー狂詩曲集(彼は確か第1番、第6番を含む六曲を収録していたと思います)も民族的な素朴な特徴に持前の重厚さを塗した聴き応えある演奏としています。ただ有名な第2番は普通よく聞く版(M=ベルクハウス版)ではない別の版(ドップラー/リスト版)を使っている為かややハンガリー色が薄い様であります。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/01/26

    アバドとMCOのイタリア・ツアーでの2006年ライヴ録音盤で先ずブラームス・セレナード第1番(タイム@13’46A8’46B12’38C3’53D2’57E6’03)は若いメンバーのオーケストラ創設に幾度か関わってきたアバドだけに73歳の年齢を感じさせないで持前の流麗さと清々しさでMCOメンバーの若々しい共感を曲の本質と共に上手く引き出した好演と思いました。元々この曲の青春幸福感が好きで私はケルテス/LSOの演奏LP盤を何回繰り返して聴いた事だろうか・・・アバドの本盤演奏で一昔前を懐かしく思い出した次第です。なお、アバドにはこの曲を1991年BPOを振った演奏(同@13’14A8’13B14’50C4’07D2’40E5’52)もかつてありましたね。一方のシューマン・チェロ協奏曲は2006年がシューマン没後150年に当たる年だから演奏されたのかどうかはわかりませんがルツェルン祝祭OのチェリストでもあるN.グートマン(当時64歳)がソリストを務めてこの少し内向的で渋い・・・一聴きではとっつきにくい曲(カザルスは気品に満ちた最高作品の一つと絶賛したらしいです)を大層に構えず室内楽的アプローチで静かに心に響かせる様に仕上げています。三楽章たて続けに演奏(シューマンが楽章間での拍手を避ける意図?)されますが一応タイムは@12’12A4’08B8’10となっており、特に第1楽章の不安ムードに哀切感溢れる旋律を情感を込めてはいますが先述通り大げさにせず語る様な自然体な処、中間楽章は曲自体少しつかみ処がないのですがゆったりした幸福ペースの中に彼女の女性らしい「まったり」した処が聴き物で最終楽章はシューマンの他の協奏曲でも見られるやや安易な感じな楽章なのを彼女はカデンツァ的過程においてロマン的印象を植え付け〆は引っ張って終えます。バックのアバド/MCOも終始ビビツドに対応しました。なお、グートマンには1991年マズア/LPOバックでの本協奏曲演奏盤があった様に記憶しております・・・。本盤、地味な曲組合せですがベテラン演奏の奥深さを味わえます。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/01/25

    ベルリン古楽アカデミーと言えば私の場合などは年末聴くクリスマス・オラトリオとかバルトリ(MS)が歌うイタリアン・アリア集のバックをサポートしていた演奏が身近でありすぐ思い出します。これらの録音では確か前者はR.ヤーコブス、後者ではB.フォークを指揮者としていたのですが1982年設立のこの団体はオーケストラ曲演奏では基本的には指揮者を置かず・・・従って強烈な個性に偏らず緻密なアンサンブルでバロック音楽中心に各作品自体の「良さ」をアピールする演奏に傾注しているとの世間の評で旧東独のバッハ演奏に共通するDNAの様なものも窺えるかも・・・?と聴き始めました。この楽団の来日時にもよく演奏していたバッハ管弦楽組曲・・・さて、本盤は1995年録音演奏のもので古楽器によるものでも響きそのものは鋭角的ではなくその佇まい管弦共に融け合う優美さが特徴と思われます。しかし、古色蒼然一点張りではなく指揮者がいない為の求心力をバネにした躍動感はそのテンポの緩急と相俟ってある生彩すら放っている場合があります。サンプリングで第2番(タイム@11’50A1’43B2’47C2’02D3’41E1’10F1’33)を聴きますとスタート序曲から何か目新しいイレギュラー的な感じで少々私には意表を突かれた思いです。フルート協奏曲的な曲なのでそのフルートは流麗に、バックは切れ切れにさせ対照的な処を強調します。展開フーガは勢い込まずちょっとメリハリ感に乏しいのですがその何気なさが面白くはあります。この第1楽章は反復演奏がなされている事も特徴の一つでしょう(他盤でこの反復演奏がカット編集されている場合もある様です)。途中は省略して最後の第7楽章パデェネリは幾分ゆっくり目で斬新な響きで〆めます。こう聴きますと結構「個性的」な面もある事に気づいた次第であります。第3番(5曲トータルタイム24’45)でのトランペットやティンパニーの各バロック楽器の持ち味を生かした音色も聴き処になりましょう。私は別盤で聴いていたので本盤付録のエンハンストCD・・・2008年HM版ですがどんなものか内容はともかく興味が沸きますね。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/01/25

    1920年代の演奏家が第一線を退いたり亡くなったりしている昨今で40歳代前半で既に事故死していたケルテスがもし存命で活動していたならば指揮界地図はどうなっていただろうか・・・。彼も現代の大量生産時代に飲み込まれ粗製乱造とまでは行かなくともビジネスライクに対応せざるを得なくなっていたかも・・・。ケルテスの他演奏でのレビューに書き込んだ様に彼の遺された演奏盤に(その演奏を惜しむ事もあってか)ケチがついている事が殆どなく若い方の世代の指揮者として瑞々しい演奏が私たちに残されております。ブラームスのセレナード指揮盤レビューでも述べたのですがケルテス指揮でベートーヴェンの若い時の作品も聴きたいとかねて思っていた処でケルテスには(ベートーヴェンの協奏曲指揮伴奏には幾枚か演奏盤が見当たるものの)珍しい交響曲の第4番その他序曲三曲をバンベルクSOを振って演奏録音したのが本盤であります。録音は1960年頃というからケルテス31歳の頃で演奏タイムは@9’52A10’36B5’58C5’27と反復の関係もあるかも知れませんが比較的短めの方(第2楽章はたっぷり感が有ります)で演奏自体も他のレビューの方も書かれている様に深みとは別の世界で各楽章、タイムとあいまってのイキイキした運びはむしろバンベルクSOの別の面を見たというのが正直な感想です。マァまだ三十代のベートーヴェンの作品を同じく三十代の指揮者が演奏したというのにピツタリですね。他の序曲レオノーレ第3番(タイム14’12)、コリオラン(同9’28)、エグモント(同9’02)は各曲短めだけに勝負が付き易く夫々覇気ある演奏が世間ではひょっとして交響曲より好評でありますね。それに本盤仕様では音質が期待されます。なお、交響曲第2番も別に録音(同じくバンベルクSO)されており機会があれば聴くつもりであります。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/01/24

    1920年代の演奏家が第一線を退いたり亡くなったりしている昨今で40歳代前半で既に事故死していたケルテスがもし存命で活動していたならば指揮界地図はどうなっていただろうか・・・。彼も現代の大量生産時代に飲み込まれ粗製乱造とまでは行かなくともビジネスライクに対応せざるを得なくなっていたかも・・・。ケルテスの他演奏でのレビューに書き込んだ様に彼の遺された演奏盤に(その演奏を惜しむ事もあってか)ケチがついている事が殆どなく若い方の世代の指揮者として瑞々しい演奏が私たちに残されております。ブラームスのセレナード指揮盤レビューでも述べたのですがケルテス指揮でベートーヴェンの若い時の作品も聴きたいとかねて思っていた処でケルテスには(ベートーヴェンの協奏曲指揮伴奏には幾枚か演奏盤が見当たるものの)珍しい交響曲の第4番その他序曲三曲をバンベルクSOを振って演奏録音したのが本盤であります。録音は1960年頃というからケルテス31歳の頃で演奏タイムは@9’52A10’36B5’58C5’27と反復の関係もあるかも知れませんが比較的短めの方(第2楽章はたっぷり感が有ります)で演奏自体も他のレビューの方も書かれている様に深みとは別の世界で各楽章、タイムとあいまってのイキイキした運びはむしろバンベルクSOの別の面を見たというのが正直な感想です。マァまだ三十代のベートーヴェンの作品を同じく三十代の指揮者が演奏したというのにピツタリですね。他の序曲レオノーレ第3番(タイム14’12)、コリオラン(同9’28)、エグモント(同9’02)は各曲短めだけに勝負が付き易く夫々覇気ある演奏が世間ではひょっとして交響曲より好評でありますね。なお、交響曲第2番も別に録音(同じくバンベルクSO)されており機会があれば聴くつもりであります。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/01/23

    以前レビューを入れた者ですがデータ的な物を追加させていただきます。私の地元環境は1960年代から比較的バッハ・カンタータ等を聴く機会がありクラシック暦もキリスト教信者でもないのにその辺りから入っていった傾向がありました。それだけバッハの汲めども尽きぬ「音泉」に自分の生涯において少しでも実演は勿論LP,CD含めて浸れたのは本当に「儲け物」でした。バッハ・カンタータはCD等で聴く一流演奏には及ばないものの私の地元だけでも各団体演奏夫々ローカルカラーがあり楽しめたものであります。リヒター、リリング、レオンハルト、アーノンクール、ガーディナー、コープマン、鈴木などが全集なりそれに及ばなくても抜粋版で有名で各々録音盤でも演奏個性を競っていますね。そして他の演奏では本盤・・・旧東独側での演奏伝統を感じさせるライプチヒ・カントール勢力でラミン、トーマス、マウエルスベルガー、ロッチュ、シュライヤー・・・の流れがあり私は結構気には入っております。演奏傾向が何となく一貫しておりギスギスしないホッと聴く者をさせる丁寧な作り(全集版では先ず全曲録音有りきなのでどうしてもスケジュール闘争に入った演奏になり勝ちなものに感じさせている様です)で録音自体は優秀とは言えませんが旧東独地元感覚が素晴らしいです。本アルバムはCD1,2のラミン指揮「ヨハネパッション」BWV245(1954年録音当時ラミン56歳、タイム68曲トータル130’09、モノラル)をはじめなかなか魅力的な充実した内容を容しています。何れの演奏を聴いても我々の世代は勿論若い愛好家らにも基本的な伝統を踏まえた各カントルの取り組んだ結果たるものを沸々と感じることが出来ましょう。ラミンの「ヨハネパッション」ではやや情緒的な処もあるものの演奏骨格はいかにもリヒターの師匠らしい面目、それとヘフリガーのエヴァンゲリスト(後年リヒター盤でもこの語り手を務めました)が何と言っても素敵です。ところで、特に私にはK.トーマスにリヒター盤以降には聴かれない根の張った普遍的なものを教えてもらったように思っております。そのトーマス指揮分のCD3〜CD5のデータをメモしておきます・・・CD3→カンタータBWV59(5曲12’54),BWV51(5曲20’06),マニフィカートBWV243(12曲31’50)、CD4→カンタータBWV54(3曲13’26),BWV82(5曲26’51),BWV56(5曲22’13)、CD5→モテットBWV225(3曲15’32),BWV226(3曲8’43),BWV227(11曲22’35),BWV228(2曲9’26),BWV229(3曲9’36),BWV230(3曲7’26)、何れもトーマスが54歳〜59歳の1958〜1963年でのステレオ録音であります。トーマス指揮のバッハ宗教曲については私はベルリンクラシックCDやエンジェル又はアルヒーブLPで聴いていますが夫々魅力的な充実した内容を包しています。特にBWV227は曲も長めな事もありますが一種侵しがたい厳しさを聴きとることになりましょう。H.プライのソロによるBWV82等も忘れられない盤であり まさに「われは豊かなり」であります。トーマスの在任期間は政治的な事もあったのか4年位と短かった様です。しかし録音盤に聴く彼のバッハ演奏は重みのあるリズムをベースに各声部がよく弾んで絡み合ったその心底からの叫びが気迫を感じさせます。次にマウエルスベルガー(弟のエアハルトの方で時として兄の合唱指揮とも共演)の演奏は、全体に遅めのテンポで、実に「まっすぐな」時折愚直とも受取れる合唱、そしてアリアの細やかな美しさも出色です。アグネス・ギーベル、ヘルタ・テッパー、ペーター・シュライヤー、テオ・アダムという顔ぶれで、特にシュライヤーはリヒター盤、ロッチェ盤等でも歌っていますが、この時期の清潔感に満ちた歌が最高と思います。マウエルスベルガー63歳〜67歳1966〜1970年ステレオ録音でCD6→カンタータBWV80(8曲28’02),BWV140(7曲28’35),BWV55(5曲タイム未確認)、CD7→カンタータBWV18(5曲16’30),BWV62(6曲23’20),BWV78(7曲タイム未確認)で特に第140番デュエットのヴァイオリンの優しさとオーボエ・ダ・カッチャののどかさが胸にしみます。最後にロッチュ46歳〜55歳1975〜1984年指揮ステレオ録音盤でCD8→カンタータBWV137(5曲15’07),BWV21(11曲39’42)、CD9→BWV106(8曲22’56),BWV31(9曲22’40),BWV66(6曲31’37)、CD10→BWV172(7曲21’56),BWV68(5曲16’06),BWV1(6曲21’28)でありオーケストラは前述までの三名指揮演奏のライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団からライプチヒ新バッハ合奏団に替わり(メンバーは一部共通?)、合唱はライプチヒ聖トーマス教会合唱団(何れもロッチュ自身も先輩の指揮下でカンタータを歌っていたのでは?・・。合唱団では少年合唱隊が日本の朝日系列から1986年受賞しております)そして独唱陣は若干今の感覚では年増なイメージもありますがそれだけじっくりした歌唱ぶりをメンバーは聴かせてくれます。サンプリングで大曲BWV21「わが心に患い多かりき」をあげて見ますと第1曲深く沈み込み底から忍び寄る支配テーマをオーケスラは前奏し第2曲でコーラスが繰り返しされます。第3曲悲しげなオーボエ先導で緊迫感のあるSアリア、第5曲のTアリアが印象的。レチタティーボ(語り)では第7曲のAとBの折り目正しさが特徴、第8,9曲では先述の少年合唱隊が「苦悩」から「希望」へと進め最終第11曲はハレルヤでトランペットが主先導伴奏で明るいコーラスが勝利感を盛り上げティンパニーが加わりとにかく分り易く賑やかに曲は閉じられます・・・名曲であり素晴らしい演奏です。本盤全ての曲を聴いたわけではありませんがきっと聴き飽きのしない長く残しておくべき演奏かと思います。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/01/22

    元々リンゴが並んだ印象的なジャケット表紙が気に入り曲目も「四季」「クリスマス協奏曲」「アダージョ」等がセット収録になっていたDG盤で聴いており本盤「四季」も同じソースの1972年カラヤン64歳の時の演奏であります。カラヤン/BPOの豊潤な音色のバロックで何も難しいこと無しで贅沢な時間(演奏タイム・・・春11’10、夏10’48、秋11’29、冬8’54)を過ごすことが出来ます。例によって流麗で響きの豊かな演奏がこのバロック音楽「四季」において縮小編成しないBPO全ストリングメンバーアンサンブルで迫力ある仕上がりになっておりヴァイオリン・ソロのシュヴァルベ(当時53歳のBPOコンサートマスター)も繊細で美しく感動的なしっとり感を提示し「カラヤン美学」の演奏を盛り上げております。カラヤンはこのDG盤以外にも後年VPOと1984年あのムターのヴァイオリンで録り直し(EMI,春10’49、夏10’17、秋10’52、冬8’34)していますし1987年収録DVDもある様です。・・・カラヤンはこの盤録音当時がある意味ではピークだったのではと思われ「素晴らしい」と評します。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/01/21

    本盤演奏と同じソースの別盤でメモしました事をデータ的なものを追加して書き込みさせていただきます。デュプレのシューマン、サン=サーンスのイ短調チェロ協奏曲カップリングLPジャケットにその後良きパートナーとなるバレンボイムとのツーショツト写真が載っていました。1968年の収録でデュプレ23歳、バレンボイム26歳の本当に若き頃の演奏(オーケストラはNPHO)で両曲ともやヽ取っ付きの悪いもののロマン性溢れる曲を骨太で緊張感を維持しつつ激しい情熱が包含された感じで若いからこそ表し得るスケール感(大小的ではなく深浅的な感覚)が素晴らしいです・・・何か束の間の時間を惜しむようにそして両曲とも若い直感的に優れた奏者に似つかわしいのでしょう。シューマンのチェロ協奏曲(演奏タイム@12’17A4’37B8’28)はこの作曲家が精神的に変調を見せ始めた頃の作品で第1楽章の不安ムードに哀切感溢れる旋律を情感を込めて弾ききる処や中間楽章は曲自体少し摑みどころの無い楽章ですがゆったりした幸福ペースの中に彼女の女性らしい詩情が垣間見られます。最終楽章はシューマンの他の協奏曲でも見られるやや安易な感じな処を彼女は更に自らテンションを高めつつ進めます・・・正直な処私にはちょっと空振り的な印象も持った瞬間がありました。このシューマンの協奏曲作曲後のシューマンの変調を象徴する様にデュプレ自身も数年後多発性硬化症の兆候が出始めます。サン=サーンスのチェロ協奏曲第1番(同@5’45A6’38B7’44)もシューマン同様のアプローチで曲の濃厚で且つ繊細な表情をあからさまに全身全霊で表出しております。なお、サン=サーンスについては後年1971年バレンボイム/PPOバックでのライブ録音(同@5’41A5’09B8’32)盤もあります・・・彼女の壮絶な病との闘いの末の死は1987年とまだ先なのですが果たしてどう変化して行ったのでしょうね、彼女は私と同年輩だけに「命」の限りを痛感します。本盤は仕様改善され更に音質も期待されましょう。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/01/20

    このイタリア合奏団は元々ファッザーノ率いるローマ合奏団が解散後そのメンバーの大半等により1978年設立されたそうでイ・ムジチ合奏団と同様弦楽器の国であるイタリアを象徴する艶やかな愉悦感に満ちた演奏で特にヴィバルディの協奏曲集演奏を自家薬籠中として響きの良いコンタリーニ宮で録音を残し1996年活動を停止しております。この協奏曲集の主なものは作品8「和声と創意への試み」6曲(四季で有名な4曲含む、録音1986年)、作品3「調和の霊感」12曲(同1988年)、RV501「夜」他バスーン協奏曲5曲(同1990年)、RV271「恋人」他ヴァイオリン協奏曲6曲(同1990年)、作品9「ラ・チェートラ」12曲(本盤演奏、同1991年)、作品7,12曲(同1992年)、作品4「ラ・ストラヴァカンツァ」12曲(同1993年)、作品12,6曲(同1994年)、作品6,6曲(同1995年)といった具合でほぼ毎年数多いヴィバルディ協奏曲中まとまり良い作品を録音した活動暦が分かりますね。さて、本盤「ラ・チェートラ」(元々は楽器のリラを表す意)はヴィバルディが神聖ローマ帝国カール六世に捧げた作品集でヴァイオリン協奏曲集といって差し支えないのですが他の曲集に比べて例えばバッハによる編曲もない為か或いは「四季」等に思い当たるフレーズがあるものの地味な作品が多く曲運びもトゥッティで和音を奏するタイプのリトルネッロが多用される等12曲聴き続けるとワンパターンさと演奏のビジネスライクさにやや退屈するかも知れません。しかし難しい事を抜きに好録音ヒーリング・ミュージックとしてイタリアの透明感と生命力溢れる雰囲気を楽しむ分には素晴らしい演奏盤と言えましょう。とにかく弦の弾みある鳴りきりが聴き処で各曲演奏タイム(各曲三楽章トータル)をメモしておきましょう・・・第1番(トータル8’40)、第2番(9’01)、第3番(10’25)、第4番(11’18)、第5番(8’08)、第6番(11’24)、第7番(7’57)、第8番(9’21)、第9番(10’00)、第10番(8’24)、第11番(9’01)、第12番(11’32)。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/01/19

    先日グスタフ・レオンハルト氏(以下敬称略)が亡くなった事が報じられました、83歳ということで・・・ああ、もうそんな年齢かなとも思ったりしました。レオンハルトと言えばバロック音楽の普及演奏活動、教育活動に勤しんだ事が知られていますが何よりも残された多くのバッハ音楽の演奏録音盤がその存在感をいまだに主張しております。ほぼ同年生れのアーノンクールとのカンタータ全集も大きな業績でありますね。私が彼の演奏盤に接したのは本盤に含まれるハープシコード協奏曲集であり当時はテレフンケンレーベルでのLP盤で何枚か出ており、それまで聴いていたバッハとは少し異なった・・・つまり今では当り前の古楽器での演奏ながら新鮮というか現代的で「凛」とした演奏に好感を持ったものであります。本盤ハープシコード協奏曲集は1960年代半ばから後半にかけてレオンハルトがまだ三十歳代後半の時の録音で彼がレコード上で本格的に登場し出した頃のものであります。本盤収録曲の内、私が聴いているのはBWV1059(トータルタイム10’51)、BWV1060(同14’00)、BWV1062(同14’41)、BWV1063(同13’56)、BWV1064(同11’50)、BWV1065(同10’16)の6曲のみですが才気走ったところがなくやや速いテンポながらも何故かどっしりとしていて昨今のやたらとチャラチャラした演奏よりは聴き疲れがしなくてバッハの真意が伝わる強さを実感します、それにこのレオンハルト合奏団の演奏(LPで聴いても)はシャープな音の左右分離のよい録音と相俟って歯切れのよい闊達な演奏が新風を送り込んだものです。他の収録協奏曲は未聴なのですがそれらも方向感、姿勢は同じと思われ、通常、同じジャンルの曲集を同じ演奏者で聴き続けますと私は飽きるというか疲れるのですがレオンハルトのバッハ・ハープシコード協奏曲集については(私の場合6曲なのですが)充実感が伴いました。これら協奏曲作品は原曲が他の諸協奏曲からの転用もあればカンタータへの転用がありマニアには楽しいでしょう。レオンハルトの業績に今更ながら敬意を表すと共に「ご苦労さんでした」と言ってあげたいですね。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/01/18

    本盤は貴志康一という関西出身の天才音楽家(滝廉太郎と同様、戦前日本の洋楽受容史におけるエポックメイキングな一人)の作品・・・ヴァイオリン曲6曲(トータルタイム29’12)、歌曲11曲(トータルタイム36’48)を同じく関西出身或いは関西に活動拠点を置いている演奏家三名・・・小栗まち絵(V,1994年録音当時46歳)、坂本環(S,同46歳)、戎洋子(P,同47歳)によって収録されたもので何れも私の地元に近いメンバーでもあり比較的親近感を持ちました。貴志康一は1909年生まれであるというからあのカラヤンらとほぼ同世代、他のCDジャケットに載っている彼の指揮姿その他の写真(指揮をフルトヴェングラーに師事したことでも知られる貴志康一はフルトヴェングラーと撮った写真もあります)を見るとその端麗な容姿からふとカラヤンの面影を見た想いでボンボン育ちであることがなんとなく分かりますね。芦屋市内のボンボン学校?として知られる甲南学園(1918年広田内閣で文部大臣を務めた平生という人が設立した学校で貴志が途中まで通学していた時期1920年代中頃ではまだ産声をあげて間もない学園でありました)出身でもあるのですがそれはさておき彼の自作初演をBPOを振ってやり遂げる(録音は1933〜34年)・・・しかもあの時代に・・・尤もドイツの混沌とした政治状況において「日本」を紹介するという利害が日独一致したとも考えられてはいますが・・・その根性はそれは何かと我々にははかりがたい実情があったとしても・・・大したものかと思われます(「貴志康一&ベルリン・フィル〜幻の自作自演集」盤に2010年書き込んだレビューの転載)。さて、本盤ではCDタイトルカバーにあるヴァイオリン曲「竹取物語」(タイム6’05)がピカ一聴き物でこの曲は1949年湯川英樹のノーベル賞受賞の際ストックホルムで催された晩餐会で演奏され一躍脚光を浴びたそうで是非一聴をお奨めします(「竹取物語」の本演奏は今年元旦NHKラジオ放送でも流れていましたね。本盤以外では2003年録音の木野雅之(V)、木野真実(P)による演奏盤もあり聴き比べも楽しみです)。その他の本盤ヴァイオリン曲もメロディアスな旋律をロマン的に日本的雰囲気を醸し出したもので「月」(タイム4’07)など船頭小唄〜「枯れすすき」的ムードにも聴けました。歌曲の方もドイツ留学の成果の上に日本の情緒を盛り込んだ注目すべき作品集で歌詞も日本語とドイツ語両版がある様で先述の1933〜34年貴志/BPO盤ではマリア・バスカ(S)は日本語で録音しています。とにかく本盤は貴志という天才音楽家を聴くという事に主眼を置き勝ちなのですが三名の演奏も堅実で素晴らしいと思いました。作品中もっと聴かれてしかるべきものも多く本盤を通して浸透して欲しいです。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/01/17

    2008年にレビューを入れた者ですが例によってデータ的なものを今回追加させていただきます。アーノンクールがCMW他と演奏したバッハ世俗カンタータの二曲(BWV208「狩りのカンタータ」・・・タイム15曲33’25、BWV212「農民カンタータ」・・・タイム24曲30’26)カップリングの盤で1988年アーノンクール59歳の収録で相変わらず鋭いエッジを活かし陰影のはっきりした仕上がりで比較的私は受け入れ出来ました。歌い手陣はA.M.ブラシ(S,当時32歳)、Y.ケニー(S,同38歳)、エクヴィルツ(T,同59歳)、R.ホル(B,同41歳)で特にアーノンクールと同世代のテノールのエクヴィルツは以前1967年にも収録されたアーノンクール指揮による「農民カンタータ」盤(タイム29’35)した際にも出演しその他のアーノンクールによるバッハ・カンタータにも顔なじみでありました。本盤ではBWV212「農民カンタータ」でのソプラノアリアが演奏全体のやや狂言風に乗ったセカセカした雰囲気を和らげこのカンタータの趣旨に合致した曲運びが素晴らしいと思いました。BWV208「狩りのカンタータ」でのASCO合唱もマァ良いのですが私自身は元々リリング指揮のものが特に喜びに溢れた合唱がポイントで気に入っております。余談ですがレパートリー拡げにこれ務め存在感を主張したアーノンクールの収録盤は本日現在指揮者別HMVカタログでは約480件と数が多く 拾い間違いがあるかも知れませんがカラヤン約1000件、バーンスタイン約610件、フルトヴェングラー約560件に続く多さに(私には意外にも)ファン・サポーターが定着しつつあるのかも?・・・・(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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