Symphonies Nos.4, 5, 6 : Herbert von Karajan / Berlin Philharmonic (1975, 1976, 1979)(3SACD)(Single Layer)
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jasmine | 愛知県 | 不明 | 06/December/2024
カラヤンのブルックナーは作曲者が譜面に記した音符を忠実に再現した、その意味ではもっともオーセンティックな演奏といえるものだが、カラヤンの特徴である『音価を保つ』、所謂レガート奏法によって磨き上げられ天国的な美しさが際立ってくることから、しばしば「ブルックナーにしては美しすぎる」とか「精神性に乏しい」などと批判されてきた。しかしながら本場ヨーロッパではその評価は頗る高く『まるで神の声を聞くようだ』(リッカルド・ムーティ)ど絶賛されてきた。私は70年に収録されたEMI盤によってブルックナーに開眼し、以来《ロマンティック》と《第七》の二曲に関しては、これを最上位の名盤と位置付けてきた。 そんなカラヤンのDGGへの再録音がリリースされた時には、発売日にレコードを購入し待ちきれない思いで針を落としたのだが、その期待は失望へと変わった。落ち着きのない、何というか『力任せ』で、『せせこましい』印象が拭えない。旧盤の、天井に向かってどこまでも伸びていくような壮大さや艶やかなまでに優美な歌いくちとは全く違う『ぎこちなさ』が目立つ演奏に愕然とした。セッションは75年の4月21日に行われた。この内容でたった一日でセッションを終了させてしまったのか?どういうことか? これまでカラヤンのレコードを聴いてきて、このような経験は初めてだった。好き嫌いは別として、演奏のクォリティには執拗に拘ったカラヤンの演奏とは到底思えない。先に発売された第8番、更には第7番が総決算的な秀演だっただけに、一層不安が募った。よほど体調が優れなかったのか? 兎にも角にもセッションを早く切り上げてしまいたい、といった感じの中途半端な出来栄え。このレコードを聴いて以降、私はカラヤンのレコードに対する不信感を抱くようになった。それまでは、カラヤンの作品は保証書付と言っても良い、第一級の名演ばかりだった。 従って、SACDとしてリイッシューされた際にも直ぐには食指が動かなかった。それでも購入することにしたのは、チャイコフスキーの交響曲全集の前例があったから。 《ロマンティック》で大きな疑問符のつく不可解な演奏をしたカラヤンだが、その後の第9番、テ・デウムでは持ち直し、ヴェルディの《序曲集》やモーツァルトの《レクィエム》《戴冠ミサ曲》も優れた出来栄えだったので、一時的な現象なのかと思ったのだが、得意のチャイコフスキーの《第5交響曲》で、またもや不可思議な演奏が出現。まるで顕微鏡で拡大したかのような『超リアル』な『グロテスク』な表現がなされている。カラヤンの特徴だった、どれほど盛り上がってもエレガントさを失わない抜群のバランス感覚が損なわれ『力み』や『ぎこちなさ』が感じられる。収録日は75年10月22日。カラヤンは同年の末に椎間板の手術を受けた。 私は、ブルックナーと同様、チャイコフスキーも70年代の演奏を最上位に置いていたので、チャイコフスキーの交響曲全集のSACDが出た時にも購入を躊躇った。しかし、SACD化の成果が目覚ましいという評判を知って『よもや?』と思い入手し聞き直してみた。50年前には『グロテスク』に感じた違和感は和らぎ、『超リアル』というよりは『緻密]かつ『克明』な描写という印象で、かつて感じたよりは遥かに自然な表現に思えた。ならば《ロマンティック》も再試聴してみる価値があるのではないかと考え、トライしてみた。 やはり違った。旧EMI盤よりも早めのテンボながら、『せかせかした』感じや『力み』は目立たなかった。むしろ、楽曲本来の構造を作為なく表現しようとしているように聞こえた。私としては、霧の中から一筋の光明が差し、それが遥か彼方まで届かんばかりに響き渡る旧盤の美演に魅了されるが、一般的には、新盤でも名演として歓迎されるのではないか、と思う。70年代の日本プレスのLP盤の音はやや先鋭に過ぎ、空間的な広がりや奥行きを感じ難い性格で、特性的には優秀なのかも知れないが音楽的には欧州プレスのものに敵わないということを知ったのは、それから10年後、輸入LP専門店に通うようになってからのことだった。 SACD盤によってかつての落胆は些かなりとも癒されたけれども、心身ともに正に絶頂期にあった旧EMI盤の優位は動かない。それでも正確無比の壮大な《第5番》やサヴァリッシュと並ぶ名演となった《第6番》が理想的なサウンドで聴ける喜びは大きい。評価は五つ星が妥当だろう。1 people agree with this review
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