イアン・ボストリッジ

Books シューベルトの「冬の旅」

シューベルトの「冬の旅」

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    うーつん  |  東京都  |  不明  |  17/August/2017

     楽譜が読めない者として、聴くことで気楽に自分の好き勝手に音楽を愉しんでいる。が、実際に演奏する者・歌う者はここまで掘り下げて、または音楽以外の事象や文化・文学・歴史などからもインスピレーションや解釈のヒントを得ているということに、単純に感嘆させられた。そもそもいち歌曲集において、ここまで多くの「土台」があるものなのか、と舌を巻く思いだ。文章は読ませる力を持っており、なにより演奏者として実践しているだけ説得力も十分。演奏における内輪話のようなものも垣間見え面白くもある。「冬の旅」が創造された時代背景と作曲者の内面の探検、そして現在へと続く問題提起の探求が綿密に行われている。  私のような素人が考えている以上に、音符や言葉のひとつひとつに意味があるのだそうだ。まさに「神(ここではミューズ?)は細部に宿る」といったところだろうか。建築関係の人の発言か意見からきていたように記憶しているが、音楽でも同じことが言えるのかもしれない。こと、数多の音符と詞から1曲が作られ、24曲集まってはじめて全体が構築されるこの歌曲集の場合にはなおさら…。  「冬の旅」を愛する方のみならず、芸術・歴史etc.を愛する方におすすめ。

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