Lucas Debargue : J.S.Bach, Beethoven, Medtner
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ココパナ | 北海道 | 不明 | 07/July/2021
2015年のチャイコフスキー国際コンクールで第4位に入賞したフランスのピアニスト、リュカ・ドゥバルグは、ほぼ独学でピアノを学んだという異色の経歴でも注目を集めた。そして、はじめてスタジオ録音で製作されたアルバムが当盤になる。まず何と言っても、選曲の「渋さ」に言及せざるをえない。バッハの「トッカータ ハ短調 BWV.911、ベートーヴェンの「ピアノソナタ 第7番」、そしてメトネルの「ピアノソナタ 第1番」。コンクールで一躍名を成したピアニストのデビュー盤という感じがしない、どの曲がメインとも言えない構成だ。だが、その選曲が、いかにも「ただ者ではない」という感じもする。コンクール出身のピアニストのデビュー盤というと、華やかな演奏効果の上がる曲、いわゆる奏者の「ヴィルトゥオジティ」を発揮できる、アピールに格好な曲を選ぶと思うのだが、このピアニスト、あきらかに自分の特徴を音楽的な解釈の部分に置いている。そういった意味で、メッセージ性のある選曲、と言えるだろう。実際、ドゥバルグは、深い含みを感じさせるピアノを披露している。バッハのトッカータを聴くと、その演奏は淡々とした語り口でありながら、しっかりときわだった輪郭をもち、それでいて、優雅と形容したい味わいがにじみ出るような響きになっている。その結果、この楽曲が描き出す世界に、複雑な幅が生まれ、じっくりとしたコクを感じさせてくれるのである。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第7番は、全体に遅めのテンポを設定している。とくに第2楽章はゆっくりしている。一方でそのフレージングは明瞭であり、ダイナミックレンジも広い。その結果、楽曲のスケールが一つ大きくなったような印象がある。ドゥバルグの解釈が優れているのは、前述の効果を「間延び」と無縁に達成している点であり、以下に厳密に音価と強弱をコントロールしているかわかる。終楽章の劇性は効果的だ。個性的でありながら、熟成感があり、味のある演奏と思う。メトネルは生涯に14のピアノ・ソナタを書いたが、その最初の作品が収録されている。メトネルの意欲作といって良いが、ドゥバルグは解析的と表現したい造形性をキープした演奏を繰り広げている。特に両端楽章の豪壮な広がりが、緻密な構成感をバックに表現される様は、このソナタのエネルギッシュな性質を、適切なタイミングで解き放つ効果に結び付けており、見事だ。長大なソナタであるが、その浪漫性も踏まえて、聴き手に楽曲を吟味する喜びを与えてくれる。ドゥバルグという芸術家の才気を示す一枚となっている。0 people agree with this review
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