Les Contes d'Hoffmann : Herheim, Debus / Vienna Symphony Orchestra, D.Johansson, Avemo, M.Fredrich, Frenkel, Volle, etc (2015 Stereo)
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 05/June/2016
2015年7月、ブレゲンツ音楽祭での上演だが、会場はおなじみの湖上ステージではなく、やや小振りな祝祭劇場での収録。『ホフマン物語』はなるほど名曲も多いが、音楽的にはやや凡長、退屈なところもなくはないオペラだと思っていたが、こんなに舞台上が面白いと退屈している暇はない。またしてもヘアハイム演出の大勝利。このオペラの怪奇・幻想の趣きはそもそも彼向きだし、音楽の方も決定稿がないので演出家の要求に合わせて独自の版を作れるという点でヘアハイムが腕を振るうにふさわしい作品だ。デブス指揮のウィーン交響楽団はもちろん好演だが、独自のブレゲンツ版を作ったという点で特に指揮者の貢献を高く評価したい。 さて、今回の演出コンセプトは「アイデンティティの散乱」。普通にエンターテインメントとしても楽しめる舞台だが、精神分析が主張するように、我々の「自我」は他者という鏡に映った無数の鏡像の集積に過ぎないのか、などといった哲学的なテーマを突きつけてくる演出でもある(日本語字幕あり)。この舞台のミソはジュリエッタ役の歌手がいないこと。彼女のパートはオランピア、アントニア、ニクラウスが適宜、分担する。アントニアのみやや太めだが、この三人が見た目、とても良く似ているのも演出の眼目だろう。そもそも男性の合唱団員たちは皆、ホフマンの分身だし、女性団員たちもまたステッラ=オランピア=アントニアの分身。いや、ホフマンはオランピアやアントニアですらもある。オランピア編の最後にコッペリウスによって壊されてしまうのはオランピアではなくホフマン人形、さらに男女のお客たちだ。 ホフマン役のヨハンソンはあまり男っぽくなく「中性的」な演唱。おそらく演出家の求め通りだろうが、頻繁に着替え、女装しという演出の要求に良く応じている。アヴェモ、フレドリヒ、フレンケルの女声トリオもいずれも好演。歌手陣のなかで最年長なのは敵役4役+ルーテルを演ずるフォレ、彼はこのところヘアハイムの舞台には欠かせない。さらにオッフェンバックそっくりの扮装で、召使い3役を演ずるモルターニュもいい。5 people agree with this review
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