Buniatishvili : Kaleidoscope -Mussorgsky Pictures at an Exhibition, Stravinsky, Ravel
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marco | 東京都 | 不明 | 08/March/2016
楚々としたプロムナードから始まる繊細かつ鮮度の高い展覧会の絵。この曲集は、実は弾く人が一番楽しい。ラベルが絢爛豪華なスペクタクルにしてしまう前のとてもイマジネーション豊かなスケッチをムソルグスキーは提供している。これらは壁に掛けられたあくまでも額縁のある絵画であり、亡き建築家の友人に向けての哀悼の曲集なのだ。彼女のアプローチは、鮮やかな技巧と感性で一つ一つの絵の新鮮な容貌を明らかにしていくもの。キエフあたりになると音を足す巨匠もいるが、ここはグッと我慢して踏ん張るのがいい(ホロヴィッツは別格として)。消えてしまう音の間に大伽藍を築けるのが抽象度の高いピアノの素晴らしさなのだから。 ラ ヴァルスは、屈折したラベルが凝りに凝って細工した「ワルツの崩壊」で、これは逆説的にスタイルを守らないと崩壊が活きてこない。彼女は見事に弾ききっているのだけど、この曲の本質と彼女の天然の感性の煌めきは個人的には相容れないものに感じた。 というわけで期待のペトルーシュカ。これが想像以上に凄いものだった。ポリーニのそれが父親譲りの真白なコンリートの近代建築とすれば、彼女のそれは極彩色の珍しい石と絹織物で構成された一品ものの宝飾服飾品。従来の技巧自慢の強者たちを一断のもとに薙ぎ倒すがごときスピードと、多彩な音のパレットと表現で、めくるめくカレイドスコープが展開される。インテンポで弾くだけでも大変なのに、余裕をかまして人形のお伽話を語り得ていることに唖然とさせられる。ブニアティシビリの豊かな感性と、即興性、技巧が見事に結実した、若き日の金字塔となる演奏。3 people agree with this review
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