[USED:Cond.AB] グロテスク 下 文春文庫
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recorda_me | 東京都 | 不明 | 04/September/2009
この本に登場する女を「絶対に友達になりたくないタイプの人間ばかり」と評した人がいる。酷いことを言う。この薄汚れた社会と愚直に向き合ってズタズタになった女たちにいとおしさを感じないのか。「欲求が高すぎるがゆえに苦しむ人たち」とも。はたしてそうか。幼少期から親や教師に「他人よりも優れるという絶対的な価値観」を刷り込まれ、生涯そのマインドコントロールに苦しめられる滑稽と悲惨、誰にも共通するのは寒々しいまでに孤独であるということ。私には痛ましいまでにわかるのだ、彼女らの気持ちが。彼女たちは認めてもらいたかったのだ、自分という存在を。「あなたの愚かさに私の心は痛みます」そう言って憐れんだ女の聖書を投げつけハイヒールで踏みにじる娼婦、和恵の凄絶な手記は涙なくして読めない。負けた者は劣等意識に苛まれ、勝ち続けた者も目的を見失い虚無感に襲われる。カネや学歴、美醜の織りなすこの酷薄な階級社会でもがきつづける彼女たちは他ならぬ我々自身の姿なのだ。それは誰をも幸せにはしない。著者は「この世のありとあらゆる差別を書いてやろうと思った」と述べている。何かに殉じることなしにこの不毛な堂々巡りは終わらない。胸に去来するのは福田恒存の名著『私の幸福論』にあった「ひとりでもいい、他人を幸福にしえぬ人間が、自分を幸福にしうるはずがない」という言葉、終にはそこに行き着くのだと思う。私が得たくて得られなかった家族の意義も、そこにあるに違いない。0 people agree with this review
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