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國分功一郎

Books 近代政治哲学講義 自然・主権・行政 ちくま新書

近代政治哲学講義 自然・主権・行政 ちくま新書

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    農夫  |  岡山県  |  不明  |  20/April/2021

    「我々は近代政治哲学が構想した政治体制の中に生きている」と、著者は「はじめに」で記している。現在の政治体制に欠点があるとすれば、その欠点はこの体制を支える概念の中にも見出せるだろうとして、本書では近代政治哲学の代表的著作を批判的に読解していくのである。よく練られた最適の入門書であると言えよう。本書で議論対象となる哲学者を順に列挙すると、ジャン・ボダン、ホッブズ、スピノザ、ジョン・ロック、ジャン=ジャック・ルソー、ヒューム、カントの七名である。主に「自然状態」や「社会契約」、「主権」の概念を、各々の思想家がどう捉えていたかが系統的に比較されて中心軸を形成し、筋の通った議論が展開される。近代国家は、ヨーロッパで最大の宗教戦争となった三〇年戦争に終止符を打った、一六四八年のウェストファリア条約をもって始まると言われるのが通例である。そこからホッブズが嚆矢として取り上げられる場合が多いのだが、本書ではフランスの公法学者ジャン・ボダンの『国家六論』に始まる。近代国家の政治体制を論じるにはそれ以前の「封建国家」の社会制度の検討が必要という訳である。サン・バルテルミの虐殺を目撃し、自身も命からがらそこから逃げおおせたボダンは、ユグノーの革命運動を標的として、政治的な統一と平和を回復するには強力な君主制こそが唯一可能な手段とする「絶対主義国家」の擁護者となったそうである。常に廃位の危険に晒されていた君主に安定を保障する為に、ボダンは「主権」の概念を生み出すのである。主権の対外的な主張は戦争を具体的な実現手段とし、対内的な主張は「立法」をもって手段とする。近代政治哲学を決定付ける「主権」や「立法権」の概念を創造したのがボダンだと著者は言う。そして近代国家は絶対主義から多くは民主制へと移行していくが、主権の概念だけは一度も疑われなかったとして、逆にその帰結に眼差しを差し向けるのである。印象深い叙述を一例紹介する。「ホッブズの自然状態論が興味深いのは、平等の事実に争いの根源を見ているところだ。」(p.46)底の浅い一般的政治論を超克する手がかりを本書は提供してくれるだろう。なお、浅学の者には細谷雄一著『国際秩序』(中公新書)を併せ読むことが大いに有効であったことを参考までに記しておきたい。

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