Preludes : Pogorelich
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モデラート宮内 | 千葉県 | 不明 | 19/April/2013
現代の優れたピアニストの中には、自身の演奏哲学を明確にすることで、 独自の音楽的個性を提示することに重きを置く奏者がいる。 たとえば、その代表格はグレン・グールドである。 カツァリスやアファナシエフもそれに属するピアニストといえるかもしれない。 そして、このポゴレリチもその一派に属しているといえよう。 彼らの演奏の特徴は、極めて知的であるということ。 しかし、創出する音の重なりや響きの演出、テンポの設定に重点を置くために、 他の演奏者と著しく異なる音楽作りを示す結果となる。 そのため、その音楽作りの全体像の中では、明らかに欠落した要素があるように みうけられることもある(もちろん本人たちはそうは思っていないのであるが…)。 グールドの場合では、「ポリフォニー的造形」を常に考え抜いているために、 ノンペダル奏法に徹するあまり、現代におけるピアノという楽器の幅広い可能性を あえて犠牲にしてしまう。ただこれは、グールドがバッハ演奏するときのように、 バッハ時代のチェンバロを意識したことであれば、そこに大きな意味も生まれてくる。 だから、なぜグールドがショパンを弾かないのかという理由は、 あえて言わずともご理解いただけるであろう。 そのため、この一派のピアニストは、その欠落していると見られる要素があるために、 常に酷評と隣り合わせの危険性を抱えているのである。 さてそこで、ポゴレリチはショパン弾きなのだろうか…? 彼がグールドとは異なり、ショパンを弾く理由はただ一つ、 彼の音楽は知的であると同時に、並外れたエモーショナルな音楽を 志向しているからだ。 先ず言うべきことは、ショパンの音楽が支配しているものは「センチメント」である。 「センチメント」を表現するために、あらゆるピアノテクニックを駆使して 彼は作曲したのである。 その意味から、ショパンはピアノによる絶対音楽を追求したロマン派の作曲家と言える。 だから、彼自身は絶対音楽者であるバッハを敬愛していた。 そこが、ショパンが同時代の他の作曲家と決定的に違うところである。 その意味から言えば、ポゴレリチのショパンは、見事にショパンの センチメンタルな情念をピアノ音楽として徹底的に生み出すことに成功している。 それは、彼の激しいエモーションが原動力となって可能となっているのである。 このショパンの「前奏曲」は、24のポエトリーを遺憾なく紡ぎ出していて秀逸である。 表出された一曲一曲が明確なセンチメントを表現していて美しい。 15番の「雨だれ」だけをとっても、これまでの他のピアニストの演奏を圧倒している。 ここでは、甘い恋話などは関係ないのだ。 まるで十字架に磔になるキリストの物語のように、世界の苦しみを 独りで背負っているような恐ろしい孤独の世界を出現させている。 一度お聴きになれば、それがはっきりと解るはずである。 そして、ポゴレリチはショパンを弾くためのピアニストであると確信できる。0 people agree with this review
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Marthy | POLAND | 不明 | 15/July/2011
ゆるやかなテンポの作品が特に素晴らしいです。有名な「雨だれの前奏曲」なども収録タイムをみるだけでは、かなりテンポが遅いのだろうと思いましたが、実際聴いてみると、まったくと言っていいほど、テンポの遅さは感じませんでした。0 people agree with this review
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盤捨印 | 東京都 | 不明 | 26/June/2011
鮮烈な解釈。肺腑をえぐるような痛切な抒情。このピアニストは尋常ではない。やはり抒情的で個性的なエッシェンバッハの前奏曲集はモノトーンの調べだったが、ポゴレリチのパレットは様々な絵具で彩られ、演奏は絢爛。ホロヴィッツやポリーニのピアノの音色をさらに神経質にしたような響きは独特で時にヒステリック。24曲目は棹尾を飾るにふさわしい圧倒的な名演。1 people agree with this review
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つよしくん | 東京都 | 不明 | 01/May/2010
これはとてつもない超名演だ。ショパンの前奏曲には、本盤の前には、オーソドックスなルービンシュタインの名演や、フランス風のエスプリを織り交ぜた個性的なフランソワなど、名演が目白押しであり、そうした並みいる名演の中で、存在感を示すのは、並大抵の演奏では困難であった。ところが、このポゴレリチ盤は、海千山千の難敵を見事に打ち破ってくれた。それにしても、何と言う個性的な解釈なのだろう。唖然とするようなテクニックにも圧倒されるが、一部の人が高く評価するポリーニのように、機械じかけとも評すべき無機的な演奏には決して陥っていない。どの曲をとっても、切れば血が吹き出てくるような力強い生命力に満ち溢れていると言える。また、各楽曲の弾き分けは極端とも言えるぐらいの緩急自在の表現を示しており、例えば、雨だれとして有名な第15番と、強靭な打鍵で疾走する第16番の強烈な対比。それが終わると、今度は第17番で、再び深沈たる味わい深さを表現するといったようなところだ。ポゴレリチの凄さは、これだけ自由奔放とも言える解釈を示しながら、決してあざとさを感じさせないということだろう。それは、ポゴレリチが、ショパンの前奏曲の本質をしっかりと鷲掴みにしているからにほかならない。今後、このポゴレリチ盤を超える名演は果たして現れるのだろうか。彼の後に続くピアニストにとっても、本盤は相当な難問を提示したと言えるだろう。3 people agree with this review
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アーノンクール | 岡山県 | 不明 | 24/January/2010
私の愛聴盤なのに星5つのレビューがないので書きます。HMVのレビューに付け加えることはあまりありませんが、遅い演奏という印象は全く受けません。個々の曲のドラマが最大限に引き出されています。この演奏を聴くと、コルトーもフランソワも平凡に聴こえます。同じDGのポリーニやアルゲリッチ、ピリスのものと比べ、低域が充実している録音も見事です。第24曲は彼が大きく呼吸する音が生々しく収録されていて、凄味のあるテクニックと相まって、圧倒的な感銘を与える終曲となっています。まだの方は是非聴いてみてください。2 people agree with this review
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