(Cooke)sym, 10, : Kurt Sanderling / Berlin So
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宗仲 克己 | 東京都 | 不明 | 20/April/2023
クック版に果敢に手を加えた演奏である。デリック・クックは自身の研究成果に「A Performing Version of the Draft for the TENTH SYMPHONY」という控えめなタイトルをつけた。クックは自身の版を絶対視していない。そのため、クック版を採用しながら、独自に手を加える指揮者も多い。ザンデルリンクによる加筆は多岐にわたり、かつ大胆である。だが、基本的にはクックの意図を汲んでいるため大きな違和感はない。このザンデルリンク盤は、マーラーの音楽から逸脱することなく、第10交響曲の表現の可能性を提示する貴重なディスクである。ザンデルリンクのテンポ設定は、第1・3・4楽章は中庸、第2楽章は遅く、第5楽章は速めである。このテンポ設定は、1984年のニューヨーク・フィルとのライヴ演奏でも同様である。 マーラーが遺した草稿には随所にメッセージが書き込まれている。第4楽章の表紙には、Der Teufel tanzt es mit mir. Wahnsinn, fass mich an,Verfluchten. …(悪魔が私と一緒に踊る。狂気よ、私をつかまえろ、この呪われた者を・・・)とある。第2楽章と対をなすこの楽章は、悪魔的なスケルツォと優美なワルツが共存し、主部とトリオが頻繁に交替する。ヴァイオリンやヴィオラによるワルツの音色は夢見心地である。ザンデルリンクの演奏は、アンビヴァレントなこの楽章の性格をうまく表現していて好ましい。第5楽章は、クライマックスのトーンクラスターの再現の後、第284小節(11:47)で第1楽章冒頭のヴィオラによる主題に回帰する。この15小節は、クック版ではホルン4本とトランペットのみだが、ザンデルリンクは弦を厚く重ねている。第3部が始まる第299小節(12:45) から第313小節までは、クック版ではヴァイオリンを全休符としている。ザンデルリンクは第307小節(13:29)からヴァイオリンを加えている。このヴァイオリンの加筆は、第3部の初めからヴァイオリンに主旋律を担わせるカーペンター版など他の亜流に近いものといえる。主旋律を歌うヴァイオリンを加えて「分かりやすさ」を追求するか、マーラーの遺したパルティチェルに思いを馳せるかは、聴き手の好みが分かれるところであろう。ザンデルリンクは、以降、コーダまでテンポを落とすことなく音楽を推進し、高揚感を重視している。どのようなテンポ設定であっても、感動的な音楽は感動的である。このディスクで聴くことができるベルリン交響楽団の弦の誠実な響きやホルンの暖かい音色も、私は気に入っている。1 people agree with this review
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