Complete Organ Works Vol.1 : J.D.Christie, C.Schmitt, J.Essl, Belotti (5SACD)(Hybrid)
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六里庵 | 岡山県 | 不明 | 30/May/2015
パッヘルベルの作品は500曲余りが知られているが、バロック中期の最も重要な作曲家の一人であるにもかかわらず、未だ作品目録の整理も十分に行われていない。うち約8割を占めるオルガンのためのコラールや自由作品(多くはオルガンまたはチェンバロなどの楽器指定も明確でない)も未整理の状態のようだ。この状況下、本CDの演奏者の一人でもあるMichael Belottiらの校訂によってオルガン(あるいは鍵盤楽器)作品目録の編纂と同時に、各地のオルガンを使用した実演盤を順次刊行するという計画が現在進められている。作品目録は、1.前奏曲とフーガ(ペダル付オルガン用)、2.フーガ、3〜5.マニフィカートフーガ、6.ファンタジア・シャコンヌ・組曲、7〜8.変奏曲、9〜11.コラール編曲、12.教育的作品(6、9〜12は準備中)の12巻となる計画。これまでにパッヘルベルのオルガン作品全集としてはJoseph Payne、Antoine Bouchardらのものがあるが、さらに包括的で壮大な計画となるのか。パッヘルベルの壮麗な世界がどこまで展開されるのか、楽しみだ。本盤では実演盤の第1弾として、「教会暦:復活祭からミカエル祭」、「詩篇T」、「教理問答歌T、U」、「アポロンの六弦琴」の5つのテーマに沿ったオルガン演奏が5枚のCDに収録されている。演奏者にはChristian Schmitt、Juergen Essl、James D. Christie、Michael Belottiの若手からベテラン4人の、それぞれ個性のある当代一流の名手を揃えている。チームのパーフォーマンスの結集によってプロジェクトの進捗が期待されるが、それでも簡単には進まない現状があるようだ。パッヘルベルの作品は決して単純でも非技巧的でもなく、前模倣や定旋律を織り込んだ複雑な対位法的構成であっても、すっきりと見通し良く仕上げたところに特徴がある。バッハの初期のオルガン曲はブクステフーデらのドイツ北方の即興的な音楽に範を仰ぐところからスタートしながらも、年月とともにパッヘルベル流の複雑ながら静謐な作風に磨きをかけていったように感じられる。晩年のクラヴィア練習曲集第3巻はその流れの集大成とも言えるのではないだろうか。2 people agree with this review
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