Piano Works: Pollini

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  • ★★★☆☆ 

    伊奈八  |  茨城県  |  不明  |  12/August/2021

    シェーンベルクのピアノ曲集の古典的名盤というと、グールド盤とポリーニ盤ということになろうが、私見ではどちらもお奨めしづらい。グールド盤は感情移入のし過ぎで分かりづらく、ポリーニ盤は人間味が薄くて分かりづらいからだ。しかし、改めて聴くとその人間味の薄さの中に妙味がある。3つのピアノ曲Op.11は、高い技術で音楽が運ぶ割には曲のドロドロした人間味とポリーニの個性が合わないのかさっぱり伝わらない。6つのピアノ小品Op.19も、この曲から聞きたい抒情味に欠ける。ところが、シェーンベルクのピアノ曲の中でも難解な5つのピアノ曲Op.23から俄然面白くなる。変化し続ける曲想に、ポリーニは実に生き生きとついていく。肉体が透明化していくような虚無感と、生の充実というアンビバレンツが面白い。さらに、ピアノ組曲Op.25になると、肉体も心も売り渡して機械人形と化した気楽さで、音楽が生き生きと躍動する。その機械人形に、ふと蘇る自我の記憶。そして精神的錯乱。ピアノ曲Op.33abは、倒錯的な充溢、満足の世界。これもまた面白い。それでも、この演奏がNo.1とは思わない。後発に良い演奏が沢山あるから、先入観を持たずに色々と聴いたほうがよい。

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