大研究 日本の道路120万キロ じっぴコンパクト新書
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ココパナ | 北海道 | 不明 | 12/April/2021
道路とは何か。毎日の生活で、一歩外に出れば道路にお世話にならないわけにはいかない。人の生活のあるところ、かならず道路は出来る。たいていの場合、家を出れば、そこには付近の住宅地での生活の便を担う道路がある。そこを歩けば、今度はより大きな、道路に至るだろう。大きな道路は、これも一般的には、より大きな視点で長い距離を結ぶために設けられていて、いくぶん交通量が増えるだろう。その道を行けば、今度はもっと大きな道路に出るにちがいない。ステップの数に違いがあれど、最終的には本書にも記載されているような、都市と都市、地域と地域を結ぶような、都道府県や国が管理する道路にも行きつくだろう。そのしくみは、体をめぐる血管に似る。 血管は、DNAの生命情報に基づいて細胞から作られる。一方で道路は、いくつかの法体系に基づいて、地理学的・土木工学的合理性に基づいて整備される。つまり、そこには人の考え方、道路とはなんであるかという思想が含まれている。本書は、その法の仕組みが解説され、実際的にそれがどのような道路を形作るか、また道路をみて、ふと感じることや、不思議に思うことの背景にある法体系がどのような意図で作られ、そのような構造(思想)を持っているかを教えてくれる。これは、ありふれた日常の風景の中に、あらたな視点を導入するものであり、その過程で自分の考え方をリファインするという面白味を満たしてくれるものだ。道路及びその付属物について、敷設、設置、規格決定の法的根拠、必要な手続き等をカテゴリ別に分類し、体系化しながら俯瞰した上で、その背景にある合理性を踏まえた視点ゆえに深まる道路考察の「面白味」についても、例を挙げて紹介してくれている。 道路や鉄道が地形と戦って、姿を現すとき、産業、生活、歴史、社会環境といった多面的な要素と、政治的な手続き、技術的な制約を乗り越える過程を経ているのであり、だからこそ、そこに物語があって、その肉付きを含めて、一つの象徴として、道路や鉄道はそこに存する。だからこそ、面白く、美しいのである。加えて、法には、それらを維持・改善するため、必要な整備・改良はどのようなものかを収れんし、体系化したものでもある。道路における必要な規格は、それぞれの道路をとりまく事情に応じて、決定される。だから、完成した道路の姿は、その手順を逆算的にひもとくヒントに満ちていて、そのときの地域や社会の実情を反映している。 私は古い地形図を集めるのも好きだ。これらの地形図には、様々な工作物や交通機関の線形が記録されていて、それらが様々な方法で「当時のこと」を静かに示していることに、無類のロマンを感じるからである。時には、その地形図が示す「今」の場所を訪問する。それはいつだって胸高まるテーマなのである。 だからこそ、本書の著者が行っている廃線、廃道探索も、楽しいとなるのである。それは、敷設の合理性に、廃止の手続きが加わり、そこから時間を経た世界である。残った遺構たちは、それぞれが、なんらかの合理的な因果をもって誕生し、存在し、廃止されたものであり、だからこそ探したり見つけたりすることに、脈絡に富んだ推理や推察が加わってくる。もちろん、感傷的な作用も重要なエッセンスであるが、これらの土木構造物ゆえに持って生まれた運命や宿命との出会いが、実に楽しいのである。本書では、著者がマイルドで優しい語り口で、そのための基礎知識をまとめてくれたている。0 people agree with this review
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