Beethoven Symphony No.4, J.Strauss II An der schonen blauen Donau, etc : Bohm / Vienna Philharmonic (1975 Tokyo)
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千葉のアリアドネ | 千葉県 | 不明 | 31/March/2013
1975年、多くの音楽ファン待望のベームVPOの初日(3月16日)、私は翌日の演奏会を控え期待に胸をふくらませつつ、入念にオープンリールをセットしてエアチェックの準備をした。いよいよ放送(生中継)開始。緊張と期待が極に達して会場が張り詰めている様子がスピーカーを通しても感じられた。君が代とオーストリア国歌が美しくも荘重になり響いた後、第四の序奏が非常に強い緊張感をもって鳴り始めた(解説の故大木正興氏が「初めのところ怖かったですね」と感心していたことを思い出す。日本のお客さんは真剣すぎて怖いと話した団員がいたそうだが、指揮が怖い怖いベーム、団員の緊張も大変なものだったのだろう)。この序奏から主題への部分は素晴らしく、弦が3回クレッシェンドしながら強奏した後VPOの音が全開した時は本当に感動した。第二楽章は往時のVPOの魅力をじっくりと味わせてくれる。第三楽章から第四楽章もベームらしい堂々たる足取りだが、この部分はリズムが大事だから録音が明晰なセッション録音の方が良い[今回のこのシリーズ全体に感じるが、マスターの経年変化なのか音が丸まってしまって、このコンビのずっしりとした低音の迫力がぼやけてしまっていないか。高音の伸びも不十分でリズムが減殺されて聞こえる。以前辛いことを言った77年来日時のCD(Altus)より劣るように思うが]。全体的にテンポは当時でもゆったりしているとの評であったが、当時名盤の誉れ高かったワルターのステレオ盤とはテンポ感が似通っている。フルトヴェングラー(52セッション)も、クレンペラー(57)もゆったり派で、この世代では快速派はトスカニ-ニ(51)だ。この後はクライバーが超快速、ピリオトアプローチのアーノンクール、ガーディナ-と快速化が続いて、21世紀にはこの曲の演奏速度が上がっているから、この演奏はゆったり、優美派の名演奏の掉尾を飾るものと言えるかも知れない(劇的な奇数番VS優美な偶数番という表現も最近は耳にしなくなったように思う)。尚ベームVPOには69年ザルツブルクのライブ(Orfeo)もあり、壮年期の切れ味を残した名演だが、こちらの70年代の熟成と是非聴き比べをお薦めしたい。 「レオノーレ3番」(3月17日)、私にとっては最初に生で聴いた曲だ。演奏時間は15分強。ベームにとって「宿命のオペラ」である「フィデリオ」(63年日本初見参のベームが同曲で世界的権威とされていた本人も驚愕するほどの反響を引き起こしたことが、75年来日への大きな期待に繋がっていたことをもう若い方はきっとご存知ないことと思うが)、その内容を凝縮した同曲には数多くの録音があるが、その中でも一番長い方に属する[例えば緊張とドラマ性に満ちた69年SKD(全曲盤)は約13分半、55年ウィーン国立歌劇場再開公演ライブ約14分15秒、77年東京ライブ14分22秒]。最初から遅めのテンポ設定、かつインテンポで堂々と曲を進める。この曲のもつ美しさ、VPOの巧さ、底力のある響きに魅了されつつも、例えば主題が呈示される部分などではもっと劇場的なアギーギク、追い込みがあればと思ったりもした。しかし、コーダのプレストのところ、弦が鳴り始めた時にはこの部分がこんなにも美しいのかと驚嘆。続いてウィンナホルンの強奏、重量感にあふれた響き、ティンパニの強連打、終結部には全く圧倒された。最後に「美しき青きドナウ」。ウィーンの音楽でありながら「ウィーンに媚びない」この格調の高さ。脱帽という他は無い。企画については諸氏ご指摘の通り。折角復活させたのに非難轟々では仕事をしたかいがないではありませんか。今回はまず残りの曲の追加発売を!!2 people agree with this review
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