Symphony No.6, Leonore Overture No.1 : Klemperer / Philharmonia (Single Layer)
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つよしくん | 東京都 | 不明 | 13/October/2012
クレンペラーならではの深沈とした趣きのある名演だ。EMIは、過去の名演を100種選定して、昨年末からSACD化して発売しているが、当該SACD化がハイブリッドであったのに対して、今般はより高音質化が望めるシングルレイヤーによるSACD化であり、加えてLP時代のカプリングやジャケットへの強い拘りも、高く評価されるべきであろう。近年においては、ベートーヴェンの交響曲演奏は、ピリオド楽器やピリオド奏法による演奏が一般化しているが、本盤の交響曲第6番の演奏は、そうした近年の傾向とは真逆の伝統的な、ドイツ正統派によるものと言えるだろう。本演奏において、クレンペラーは格調の高さをいささかも損なうことなく、悠揚迫らぬテンポで精緻に楽想を描き出している。木管楽器を強調するのはクレンペラーならではのユニークなものではあるが、各楽器を力強く演奏させて、いささかも隙間風が吹かない重量感溢れる重厚な音楽が紡ぎだされていく。テンポの振幅などは最小限に抑えるなど、ドラマティックな要素などは薬にしたくもなく、演奏全体の造型は極めて堅固であると言える。ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」の名演としては、ワルター&ウィーン・フィルによる演奏(1936年)、ワルター&コロンビア響による演奏(1958年)、そしてベーム&ウィーン・フィルによる演奏(1971年)が3強を占めており、これらの演奏と比較すると、クレンペラーによる本演奏は、立派な演奏とは言えるが、演奏の様相は武骨とも言えるかもしれない。しかしながら、演奏の端々から漂ってくる情感の豊かさ、奥深さは、これぞまさしくベートーヴェンの交響曲演奏の理想像の具現化と評しても過言ではあるまい。クレンペラーの確かな統率の下、フィルハーモニア管弦楽団もしっかりと付いていき、ドイツ風の重厚な音色を出すなど、最高のパフォーマンスを発揮していることも高く評価すべきものと考える。いずれにしても、本演奏は、クレンペラーの巨大な芸術の凄さを十二分に満喫することが可能な素晴らしい名演と高く評価したいと考える。併録のレオノーレ序曲第1番についても、交響曲第6番と同様に、クレンペラーのスケール雄大な音楽づくりを味わうことができる素晴らしい名演だ。音質は、1957年のスタジオ録音であるが、従来CD盤でも、そして数年前に発売されたHQCD盤でも、比較的満足できるものであった。ところが、前述のように、今般、待望のシングルレイヤーによるSACD化がなされるに及んで、圧倒的な高音質に生まれ変わったと言える。音質の鮮明さ、音場の幅広さ、そして音圧のいずれをとっても素晴らしい仕上がりであると言えるところであり、あらためてシングルレイヤーによるSACD盤の潜在能力の高さを思い知った次第である。いずれにしても、クレンペラーによる素晴らしい名演を高音質SACDで味わうことができるのを大いに喜びたい。3 people agree with this review
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