Tannhauser: Carsen, Weigle / Gran Teatre del Liceu, Seiffert, Schnitzer, Eiche, etc (2008 Stereo)(2DVD)
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 03/April/2012
『タンホイザー』はオペラハウスの通常レパートリーとなっているワーグナーのオペラのなかでは一番「死にかけている」作品だと思う。だって、「清純な愛」対「肉欲」という二項対立、ワーグナーおなじみのテーマだが男の身勝手な妄想でしかない、ヒロインの犠牲死による主人公の救済、どちらも現代の聴衆としては真剣に付き合いかねるようなお題目ばかりだ。この演出は2007年春の東京オペラの森でも見られたもので、NHKでも放送されたからネタばらしをしてしまっても構うまい。ストーリーは裸体画を描く革新的な画家と保守的な画壇アカデミズムの対立に置き換えられている。マネ『草上の昼食』『オランピア』、ピカソ『アヴィニョンの娘たち』など美術史の世界ではおなじみの話だ。つまり、オペラの中心テーマだけを取り出して、残りの要素はすべて捨ててしまった演出だが、ここまでやらなきゃ、もう『タンホイザー』は救えないという演出家の覚悟のほどはリセウ版を再見して一層良くわかった。エンディングなど確かに台本と演出の食い違いは、はなはだしい。タンホイザーもエリーザベトも死なないし、かつては拒まれた彼の絵は画壇に受け入れられ、主人公の大勝利でオペラは終わる。しかし、ヴェーヌス賛歌に「罪」などない、それを罪だと言うのはキリスト教会(ローマ法王)だけだと言うワーグナーの立場から見れば、芸術の価値を決めるのは教会でも教皇でもなく、市場原理だという皮肉な結末を実は作曲家は大歓迎するのではないか。 映像ソフトではチューリヒ歌劇場の盤についで二度目の登場のザイフェルトだが、やはり見事。タンホイザー役ではルネ・コロ以後の第一人者であるのは間違いない。二人のヒロインではシュニッツァーも悪くないが、ウリア=モリゾンの深く官能的な声が特に素晴らしい。いかにも気弱な芸術家といった風のアイヒェも役にはまっている。手堅いが凡庸というイメージしか持っていなかったヴァイグレだが、この盤でちょっと見直した。後期ロマン派風に肥大化しがちな響きを引き締めて、この作品にふさわしい音を取り戻している。したがって、パリ版によるヴェーヌスベルクの音楽などは迫力不足だが、全体としては好ましいアプローチだと思う。3 people agree with this review
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