Schoenberg, Arnold (1874-1951)

CD 5 Orchesterstucke, Etc: Scherchen /

5 Orchesterstucke, Etc: Scherchen /

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    伊奈八  |  茨城県  |  不明  |  13/August/2021

    シェーンベルクの無調時代の、大管弦楽を伴う傑作3曲を収録している。 1955年から1959年にかけての録音で、これら曲の最も早い録音であろう。 5つの管弦楽曲op.16は、モノラルのライブで咳払いも頻繁に入るが、シェーンベルクの特異な音色をギリギリ味わえる音質の鮮明さはある。 特徴的なのは、テンポの振幅の大きさだ。遅い部分は非常にゆっくりで、速い部分は疾風怒涛で、今日でもあり得ないほど速い。大変個性の強い解釈だ。 それらのテンポ変化が、豊かな感情表現に直結しているかというと、やや疑問だが。 モノドラマ「期待」op.17は、これはかなりの名演ではあるまいか。 シェルヘンの棒は確信に満ち、音楽は淀みなく生き生きと流れ、感情豊か。音質も1955年の録音として大変鮮明で、この曲ならではの繊細な響きに溢れている。中間部の頂点、主人公が「助けて!」と叫ぶ部分の激しさも情け容赦なく、後半の優しい部分も心に染みてくる。主役はマグダ・ラズローというソプラノ歌手だが、若々しい美声で魅力的。感情表現も素晴らしい。多少の演奏の疵はあっても、後年の多くの録音を凌ぐ点も多い、実に優れた演奏だ。 「幸福な手」op.18は、一番新しい録音で、ノイズが少ない音質だが、あいにく楽器の細かい音が聞き取りにくくフラストレーションがたまる。声楽陣は健闘しているが、ただでさえ分かりにくいこの曲の理解の助けにはあまりならなかった。 シェーンベルク存命中からのよき理解者だった指揮者としては、ハンス・ロスバウトとヘルマン・シェルヘンが代表格だ。理知的、客観的なロスバウトに対して、感情的、主観的なシェルヘン、という理解が正しいかどうかは分からないが、シェルヘンの偉さがよく分かるCDだ。「期待」の演奏が特に良いので星4つとしているが、特殊なコレクターズ・アイテムであることは理解されたい。音質の評価についても、CDに対する消磁、除電と手間をかけた結果であることは申し添えておく。

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