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Schoenberg, Arnold (1874-1951)

CD Pierrot Lunaire, Etc: Zender / Ensemble Avantgarde S.kammer(S)

Pierrot Lunaire, Etc: Zender / Ensemble Avantgarde S.kammer(S)

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    伊奈八  |  茨城県  |  不明  |  18/December/2021

    「ピアノのための6つの小品」の素晴らしい演奏や、サロメ・カンマーの「語り」を堪能できる「月に憑かれたピエロ」が聴けるアルバムだ。 収録曲は「月に憑かれたピエロ」op.21、初期作品「弦楽四重奏のためのスケルツォ」、「ピアノのための6つの小品」op.19、最晩年の「ヴァイオリンとピアノのためのファンタジー」op.47、そしてシェーンベルク編曲の「皇帝円舞曲」。 さながらシェーンベルク室内楽曲の万華鏡といった感じの良い選曲だ。 演奏しているアンサンブル・アヴァンギャルドは、1989年に設立されたライプツィヒの団体。20世紀音楽のエキスパートで、現代の古典の保存や、忘れられた作曲家の発掘にも努めている。HMVでは11種のCDが購入できる。 ピアニストのシュテフェン・シュライアーマッハーがリーダーで、曲によりキャストを柔軟に変えながら活動している。 このCDでは、「ピエロ」の指揮にシェーンベルクを得意とするハンス・ツェンダー、語りにサロメ・カンマーを迎えている。 その「月に憑かれたピエロ」では、ツェンダーの指揮ぶりやアンサンブル・アヴァンギャルドの演奏より、なんといってもカンマーの語り芸の素晴らしさが際立っている。 サロメ・カンマーは、ナクソス・ジャパンの紹介によると、1959年ドイツ生まれの女優、歌手、チェリスト。キャシー・バーベリアンと並ぶ「ドイツの現代歌曲」歌手としても高い評価を受けており、古典から現代まで何でも歌いこなす多才な歌手として知られているということだ。 カンマーの語りは、ポップな発声で、ラインベルト・デ・レーウ指揮の「ピエロ」で語りを務めるバルバラ・スコヴァに少し印象が似ている。 だが、声色の多彩さ、表現の振幅では、スコヴァを上回っている。 何しろ、一語やワンフレーズの中でも全く声の出し方を変えてしまう細やかさなのだ。 響きの多い録音なので、できるだけSN比を高めた静寂感のある音でないと、カンマーの声の変化を聞き逃すだろう。 他方、団体の演奏自体はデ・レーウ指揮のシェーンベルク・アンサンブルの方が楽しい。 ツェンダーの指揮が、全体にテンポが重くて、メリハリに乏しいのが原因だ。 個々の奏者のパフォーマンスも、殆ど印象に残らない。 お次は、初期作品「弦楽四重奏のためのスケルツォ」。 楽しい曲の筈なのだが、演奏はあまり楽しくない。 なんでだろう?と思って、もっと楽しくなさそうなアルディッティSQの演奏で聴いてみたら、そちらの方がメリハリがあり、表情もよく引き出していて楽しい演奏であった。 こちらの演奏はなんとなくフィーリングが重く、生き生きしていないのである。 響きの多い録音も幸いしているとは言い難い。 「ピアノのための6つの小品」op.19、これは非常に素晴らしい演奏だ。 団体のリーダー、シュテフェン・シュライアーマッハーが、この曲だけは自ら弾いている。 短い一曲一曲の中に、凝縮されたドラマがあり、豊かで繊細な感情の変化があることがよく伝わってくる。 これほど優れた演奏も稀だ。美しさに痛みすら感じる、泣ける程の名演だ。 直前に聞いたバレンボイムの駄演とは雲泥の差だ。 こんなに高い解釈力があるなら、ツェンダーに指揮を任せず、「ピエロ」も自分で振ればよかったのに! 4曲目は、最晩年の「ヴァイオリンとピアノのためのファンタジー」op.47。 ここまでくると、アンサンブル・アヴァンギャルドの奏者って、音楽性が物足りない人が多いのだなと嫌でも気付く。 ここでは、アンドレアス・ザイデルという人がヴァイオリンを弾いているが、覇気のない演奏だ。 ボストン交響楽団のジョーゼフ・シルヴァースタインとか、グールドと弾いたイズラエル・ベイカーとか、みんなもっと気迫があり、上手かった。 最後は、シェーンベルク編曲の「皇帝円舞曲」。 大変上手い演奏だ。多くの演奏で混濁する部分もクリアに鳴らしている。 だが、これが楽しい演奏かと言えば、否だ。 マルティン・ジークハルト指揮のウィーン・コンサート=フェラインの演奏に聴かれるような、ウィーン的な音色や情緒が全く無くて、ただ即物的に上手いだけだからだ。 まるで日本のオケの優等生的な演奏を聴いているようで、夢見が悪そうだ。 総評としては、お薦めできない演奏が多いものの、「ピアノのための6つの小品」の演奏があまりに良く、サロメ・カンマーの「語り」にも味があるので星4つとした。 しかし、現代曲を聴きたくなっても、アンサンブル・アヴァンギャルドには用心しようと思う。

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