Organ Works: Foccroulle
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六里庵 | 岡山県 | 不明 | 05/October/2014
ここにはいくつもの幸福な出会いがある。リブレットのカバーにはヨハン・ゼバスティアン・バッハ少年の手になる1枚のオルガンタブラチュアのファクシミリ版が印刷されており、そこには署名とともに、ラテン語で「ゲオルク・ベーム氏の許にて完成。1700年、リューネブルクにて記す」と記載されている。この年紀「1700年」の肝心の「00」の部分は、残念ながらトリミングされてしまっているようだ。しかしこの記載内容から、少なくとも少年バッハがゲオルク・ベームの許で直接指導を受けただろうことはほぼ確実となったとされる。このタブラチュアは2005年になって発見された。300年以上を経た21世紀になって我々の前に現われ出た幸運。それにしても、15歳の少年バッハが記した筆跡を飽かず眺めることができるとは。深い感慨を覚えざるを得ない。そこには後年のバッハに特有の緻密でかつ力強く迷いのない筆致が、疑いの余地なく現れている。その献呈文(あるいはメモ)の筆跡は、とても15歳の少年のものとは思えない大人びたものであり、一種のカリグラフィのセンスも見せている。オールドルフの長兄ヨハン・クリストフ・バッハが、巷間伝えられるような吝嗇で意地の悪い人物では決してなく、むしろ末弟の教育に並々ならぬ配慮をもって臨んだことは既に明らかにされていることだが、この兄の仲介の労なくしてヨハン・ゼバスティアンとゲオルク・ベームの幸福な邂逅はありえなかった。ベームのプレリュードにはニ長調BWV532などバッハの直系の後継曲があり、コラール前奏曲にはコラール前奏曲の、パルティータにはパルティータの、バッハによる模倣作が思い浮かぶ。中でも2曲のコラール前奏曲Vater unser im Himmelreichの深い味わいはどうだろうか。1曲目の第2節は遥かに年月を超えてクラヴィア練習曲集第3巻のオルガンコラールのいくつかを思い起こさせる。同名の2曲目のコラールは、イタリア風協奏曲の緩徐楽章、直接的には《トッカータ、アダージョとフーガ》第2楽章のリリカルな表情に範を与えたに違いないと思う。フォクルールの演奏は、ベームとバッハを結ぶこのような絆を強く感じさせる。この録音に使われているアルクマール聖ラウレンス教会のシュニットガーオルガンは、かのヴァルヒャがかつてアルヒーフに一連の録音を行ったときに愛奏したバロックオルガンの名器でもある。これを現代の名匠フォクルールが演奏する時、同じように澄明で輝かしいパッセージが、またあるときは深く内省的なポリフォニーが響き渡る。格別の味わいと同時に一種の懐かしさを感じさせる。演奏の素晴らしさもさることながら、バッハ音楽のルーツに関心のあるすべての人に薦めたい必聴の1枚。4 people agree with this review
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