Vol.2

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    benjian  |  東京都  |  不明  |  11/January/2010

    たまたまタ◯レコでこのセカンドを試聴できる機会があったので何の気もなしに聴いてみたのですが、あまりの充実ぶりに文字通り1秒もためらうことなく買ってしまいました。各曲のさわりだけ飛ばし飛ばし聴いていって、聴き始めてから買おうと決めるまで1分も経ってなかったのではないでしょうか。そういった決断をさせる作品というのもなかなか出会うことはないものです。この作品には、その時自分がジャズサンバという音楽に求めていたものすべてが含まれていたように思います。つまり、スタンダードを中心とした選曲、アップテンポな曲調、そして強力なジャズサンバグルーヴといったポイントを網羅していたのです。しかし本作”Vol.2”の聴き所はなんといってもAirto Moreiraによる変幻自在のドラミングにあるでしょう。1960年代の末に渡米し、Miles Davis、Chick Coreaといった超一流と呼ばれるジャズのビックネームと次々に共演を果たしたAirto Moreiraのブラジル活動期の中でも一、二を争う作品であることは疑いようもありません。歌心のある伴奏、尽きることのないアイデアの数々、そしてなによりサンバというリズムのうま味を余すところなく伝える躍動感溢れるグルーヴ。Airto Moreiraは、このSansa Trioの他にもSambalanco Trio、Sambrasa Trioというコンボでもドラムを叩いています。バンドとしての知名度としてはそちらの方が上かもしれませんが、ここでの演奏はそれ以上のもののように感じます。前述のコンボではベーシスト(名手Humberto Clayber)のプレイがどんどん前に出てくるためアンサンブルは三者の火花を散らすような闘い、といった印象を受けるのですが、一方、こちらのトリオではドラムを引き立てることで全てが上手い具合に混ざり合って調和しているような印象です。これにはリマスタリングの効果もあるのでしょうか、ピアノ、ベース、ドラムの録音がとても良くて、いや、というより、ドラムについつい耳がいってしまうバランスになっていて、ファットなベースの音色と相まってリズム隊が図太い音圧を獲得しています。そのため圧倒的な聴き応えがあるように思います。このアルバムを聴いて感じるのは、まさに「骨太」というイメージ。演奏内容と音のバランスが相乗効果をもたらしていて、その小気味良さについついまた再生ボタンを押してしまうのです。ジャズサンバという音楽の魅力が存分に発揮された傑作です。

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