Complete Symphonies : Eliahu Inbal / Vienna Symphony Orchestra (11CD)
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みたけ | 不明 | 不明 | 07/December/2013
全集として見た場合いわゆる”ショスタコ”を期待すると肩すかしをくらいます。なんじゃこりゃ?!とまで思う人がいてもおかしくないでしょう。さて、個別に見ていきます。 ●1番:これが初めての交響曲なんだから、中期・後期交響曲のイメージに影響を受けたショスタコ像に演奏を染まらせてしまう方がまずいのかも?これは卒業制作の作品で数々の”保守的”教官を出し抜いてやろうという思惑があるのでは・・・。つまり、ショスタコ”様”の第一番!みたいな晴れがましさよりも、前衛学生が変なもの書いてきやがった・・・という感じが似合っていそうです(笑)。この演奏は、奏者が「奇異なもの」に対する初期の戸惑いを克服した(慣れた)後に、ニュートラルな位置に戻ったような演奏です。ある意味、卒業作品のお披露目演奏としては最高のできではないでしょうか。聞き終わった後に「すごい曲だったんだけど、なんだったんだろう・・・ムニャムニャムニャ」ってなるあの感じです。(笑) ●2,3番:これらをまとめてしまうのはちょっと乱暴かもしれません。まぁ、くっそまじめにやるとこうなるよっていう演奏です。かじればかじるほど味が出てきます。 ●4番:じっくりと4番を描こうとするとこうなるのでしょうね。この延長線上にハイティンク、シカゴSOの演奏がくるように思えます。ただ、かの演奏に感じられるショスタコの”愛・夢”に関しては、当演奏の場合オケが雑で濁る感じがして浮き上がってこず、残念に思えてしまいます。 ●5番:単売のほうで書いているので細かいことは割愛。ただ全集ならではで4番と照らし合わせて聞くとおもしろいです。曲を作る上では4番のほうがずっと自由でいられたんだろうなと改めて感じます。この演奏は特にイヤな汗がにじんできますから。 ●6番:5番との対比で「運命」-「田園」論が言われたり、6つながりで「悲愴」との関連を言われたりとありますが、もっとシンプルで良いのじゃないかなぁ〜。インバルの演奏は意味性を排除したところにこそ価値を見いだします。聞いていてホッとします。それと12番とともに音が良いですね。 ●7番:全集中、初期のもので演奏も音も荒いのが残念。今、取り直したとしても当時のインバルじゃないですしね・・・。戦争を表出しようとする意図は、時代が進むとともにメディアでのバーチャル性が色濃くなってしまいます。当演奏はバーチャル性の表出という意味で独特な7番に思えます。(単売の欄で書いた「ウルトラマンA」の話はこれを言いたくて書いたのですけどね・・・(苦笑))また、そういえばショスタコは映画音楽の先駆者でもありました。 ●8番:7番との戦争交響曲の片割れでありますが、アイロニーへのアプローチという意味で、むしろ13番への先駆という位置づけを感じずにはいられません。当全集の頂点は個人的に13番だと思っておりますが、8番を前座的に聞いたのち13番へとつなぐという、実演ではあり得ない遊びを行いますとこれが妙にはまるのです。他の演奏ですとこれがうまくつながらず、例えばヤンソンスだと8番の後は11番だったりです。どう表現して良いかわかりませんがこれがインバルの「8番」です(苦笑)。音も低音金管群の炸裂感がよく録れています。 ●9番:じっくり丁寧な演奏に仕上がってますけど、この曲、もっと軽妙にしゃれっ気、皮肉っ気たっぷりにやって欲しい部分もあります。優等生的で道を踏み外していない当演奏からして、インバルってこういう曲は苦手なのかも(笑)。 ●10番:当コンビ最初のショスタコ録音となった盤です。まだDENONの録音チームがホールの特性を把握していないのか、他の演奏と比べても大いに音が薄い。演奏もどことなくよそよそしく思えてしまいます。 ●11番:全集の中でも特に優れた演奏に思えます。決して吠えるわけでも激するわけでもなく、冷静にショスタコ世界を描いています。録音もすばらしい。低音の弦、金管群のゴワゴワと地をうごめくような音がバッチリ録れています。この音のおかげで7番で感じた”メディア越しのバーチャル感”は感じられず、ホールで真っ当・良質なオケの演奏を聴いているのだ!という感覚に浸れます。 ●12番:こちらも当全集の中でオススメの一曲。音響世界に浸るには雑味が無いほうがリラックスして浸れます(情念がこもっちゃうと疲れちゃいますからね^^)が、高度な理性でもってそれがかなえられています。11番に比べて音場は狭いものの、低音打楽器の高速アタックが録れています。 ●13番:当全集の中で屈指のできだと思います。くそまじめさがこの全集全体に言えることですが、そのくそまじめさが余計に諧謔感につながっているというなんともひねくれた状態になっています。 ●14番:13番の後にこの世界が開ける。編成を一気に減らしているにもかかわらず、世界は一向に狭くなっていない。むしろ奥に奥にと深遠さが増していってます。この曲がお好きな方はバルシャイ編曲の弦楽交響曲群などもはまるのでは。インバルの演奏は規範的ではありますが静謐感はちょっと希薄。フランクフルト(特に大地の歌のセッティング)で録って欲しかったなぁ・・・。 ●15番:この曲って不思議な曲です。どこか別世界をのぞき込むかのようで、”生”に執着しているのか放棄しているのかもわからない。マーラーが10番で最後の最後に彼岸から現世を振り返るかのごとくやっとこさ幸福感に気付くのとは全く対照的。14番と同様に当演奏にはもっと静謐感が欲しくなります。真正直なオーケストラによる”一交響曲”といった趣からは、踏み出せていないように思えうのです。 ●総じて:都響の演奏が話題となる昨今、私は敢えてこちらの演奏を好ましく思います。『真摯』だというのがその理由です。そもそも都響で全集着手しますかね・・・。7 people agree with this review
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