Reger, Max (1873-1916)

CD Sonatas For Violin Solo: Mathe

Sonatas For Violin Solo: Mathe

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    Phronesis  |  千葉県  |  不明  |  12/August/2016

    ウルリーケ・アニマ・マテは、ムターとほぼ同年代のドイツのヴァイオリニストで、RIAS新人演奏会にも出演した経歴をもっており、かつてはドイツ出身のヴァイオリニストのなかでとりわけて将来を嘱望されていた存在だった。 残念ながら、その後、現在に至るまでのマテの位置づけは、ヴァイオリン演奏の世界で常にスターダムの中心にあってその一挙手一投足に注目が集まる、といったものではなく、むしろ地味ながらも堅実な活動を続けている存在に落ちついてしまったようである。レーガーという作曲家は、一方で「ソナタ形式」や「フーガ」「シャコンヌ」などの伝統的かつ古典的な構成技法をよく知っていて、これらを使いこなすスキルにかけては同時代の中でも抜きんでていたが、他方でレーガーは、たとえばシャコンヌの変奏主題が7小節である、といったふうに、古典的な形式感のもつ安定感や均衡、規則性の束縛から常に自由であろうとし続けた(レーガーの代名詞というべき半音階の多用や大胆かつ自由な転調もその一例である)。そして、こうした音楽づくりはレーガーのペン先から流れ出てくる音楽に独特の大きな情感の振幅を与えている。 だが、マテの演奏は、むしろレーガーの音楽をその形式感から把握することで、楽曲のなかの情緒の振れ幅をその全体的な構成のなかに位置づけられる限りにおいて表現しているように聴こえる。マテは節度をもって個々のフレーズを弾き、こうしたフレーズを構成することで楽曲の全体としての情緒を描き出そうとしている。こうしたアプローチは非常に知的なものだと言うことができるように思われる。 しかし、レーガーの楽曲には、長調の楽曲ならば悪ノリに近い(やや狂気を含んだ)突き抜けた愉悦感のほとばしりから静謐で敬虔な安らぎまで、短調の楽曲では、独特の深く沈潜するようなメランコリーから激しく荒々しいクライマックスまで、非常に幅広い情感の振幅があるはずなのだが、どうもマテの演奏はこの点に関しておとなしいように思われる。 ただし、マテのアプローチには積極的に評価すべきところがあることも否定できない。その最大の美点は、この曲集をしめくくるOp.91-7の最終楽章の「シャコンヌ」を弛むことのない集中力で弾ききったところによく表れている。他の曲でも、レーガーの不協和音を多用した分厚い重音をしっかりと鳴らしきり、ポリフォニーのあやもくっきりとしている。この意味ではマテの演奏は優れて現代的なテイストですっきりとまとめられ、よく整理されたかたちで楽曲を再現している。

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