Gotterdammerung : Padrissa, Mehta / Valencia State Orchestra, L.Ryan J.Wilson, etc (2007 Stereo)(2DVD)
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 18/April/2010
最後になって評価を下げざるをえないのは残念だが、演出、指揮、歌それぞれの問題がここで一気に噴出した感がある。歌ではまず、ウィルソンのブリュンヒルデへの不満が抑えがたい。声自体の力に不足はないが、ドイツ語のディクションに問題があるせいか、喜怒哀楽のメリハリなく、終始一本調子なのは非常に辛い。さしものサルミネンも現時点でのハーゲンは荷が重かった。声の威力に頼って力めば力むほどチンケな小悪党に成り下がってしまう。ただし、ライアンは引き続き好調で、近年では屈指のジークフリートと言える。指揮に関しても本作が最も不満が大きい。オケはとても巧いが、ラトル/BPOと比べるとテキメンに分かる通り、内声部や低音部の支えが不足。加えて指揮者が音色(明暗のコントラスト)に鈍感なため、のっぺりした音楽になってしまっている。 最後に演出について。たとえば資本主義批判は確かに『指輪』全体の中心テーマだが、誰よりも資本主義の倫理に縛られているのはヴォータンだから、ギービヒ家の面々を金の亡者にしてしまうのは筋違いだし、グンターとハーゲンのスタンスの違いが分からなくなるというデメリットが大きい。そもそも四部作全体の物語は、文明を捨てて自然に還れば指輪の呪いから逃れられる、などという単純なものではないはずで、これでは解釈が根本的に間違っていると言われても仕方がない。ワーグナーの音楽をどこまで目に見えるものにできるか、というのはゲルマン文化vsラテン文化の宿命的対立という観点からも面白いテーマ。ラストシーンで事実上、何も見せなかったコンヴィチュニーを見習えとは言わないが、さすがに『黄昏』に至ると随所で視覚的表象が音楽に負けている。音楽には音楽でしか表現できないものがあるという、あたりまえの真理を改めて思い知らされた。2 people agree with this review
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