私小説 Fromlefttoright
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苺 | 不明 | 不明 | 21/March/2021
その名の通り、水村美苗の私小説です。 誰?という人のために簡単に説明すると、水村美苗は、1950年代初頭に東京に生まれ、12歳の時に父の仕事の都合でニューヨーク郊外に移住し、紆余曲折を経て(三十歳をすぎてから?)作家になった人です。 内向的で、性格から趣味嗜好に至るまで、もうとにかくアメリカ向きでなく、本人も何回も言及・自覚しているように、日本のしがないサラリーマンの娘でしかないのにひどくスノッブで…そういう人がアメリカに生活して二十年経った。 そしてこの小説の中の「現在」では彼女は三十も過ぎたというのに東部の大学でフランス文学なんて流行りもしていなければ食えもせず競争だけ厳しい世界で大学院生を続けている。 日夜引きこもっていて、論文は全く書けず、人とまともに口をきくのは、離れて暮らす姉との長電話だけ。 その長電話の合間に、記憶は遠い昔近い昔を行ったり来たりし、主人公の一人称でアメリカでの生活が語られます。 女が一人で生きていくということ、アジア人が自国の外で生きていくということ、そういうシビアな現実のあれこれが包み隠さず語られるのですが、容赦なく描かれているからこそ読んでいて「そうそう」と不思議な安心感があります。 厳しい状況に置かれているときって、フィクションの中で同じような状況が手加減して描いてあると余計に嫌な気持ちになったりするんですよね。いやいやそんなもんじゃないんだよ!って、イライラが募ったり。 本書はオブラートなしで描いてあるので、そういう嫌悪感がないんです。 この小説が世に出た頃はSNSどころかブログもなく、引きこもりもしくはそれに準ずるほど人との交流が少ない人は、こんな生活自分一人だけなんじゃないか、と不安にかられることも多々あったと思うんです。 私も昔学生の頃、人との交流がすごく少ない時期があり、そういう時にこの小説を何度も手に取り、ホッと息をつくことができました。 めちゃくちゃな家族がいる人、英米での生活でしんどい思いをしている人、女が一人で生きていくと疲れがたまるときあるよなと思っている人、引きこもっている人などにおすすめです。0 people agree with this review
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