Europa-janacek, Szymanowski, Enescu, Bartok: Grimal(Vn)Pludermacher(P)
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ココパナ | 北海道 | 不明 | 09/July/2021
アルバム・タイトル、演奏者名、収録曲名を眺めているだけで、いろいろ想像力を刺激されるアルバムだ。グリマルはフアンの間では、天才とか奇才と称されるヴァイオリニストで、芸術の表現方法についても、様々な要求を持つ人物と言われる。プルーデルマッハーは、技巧的作品で妙技を聴かせるピアニストで、クラシックだけでなく、ジャンル横断的に活躍している。当アルバムに収録されているのは、ほぼ同時代に東ヨーロッパで生まれたヴァイオリンとピアノのための作品であり、シマノフスキの作品はちょっと別系統かもしれないが、他の作品はスラヴやマジャールといった文化圏の音楽素材と中央ヨーロッパの音楽文化の融合を目指したものである。“Europe”と言うタイトルで、モラヴィア、ポーランド、ルーマニア、ハンガリーといった国々で、特有の文化的背景を背負いながら生まれてきたこれらの楽曲を集めているところが面白い。これらの楽曲が書かれた時代、ドイツ・オーストリアといった音楽文化の中心国では、シェーンベルクを中心とした新ウィーン楽派による無調や十二音技法による新しい音楽書法が導入されていた時代である。ここで興味深いのは、当盤に収録された楽曲の表現技法や聴き手に与える相対的な印象が、新ウィーン楽派の編み出した方法論によるものとの間に、精神的な親近性を感じさせることである。「様々な文化の融合により新しい芸術を目指そうという取り組み」が、「既存の価値観を払拭しようという取り組み」と似たような出口を持っており、そこで成果として還元された一群の作品が、このアルバムに収められていると見做すことが出来るだろう。重ねて指摘すると、そのアルバムに添えられたタイトルが、ズバリ“Europe”である。これは、“Europe”こそが、芸術という高度に抽象化された文化の融合によって、象徴されるものであることを、暗に示しているようにも思われる。さて、グリマルとプルーデルマッハーの演奏であるが、一言で言うと、「情感たっぷり」の演奏だ。二人とも存分な技術を持ち合わせていて、その技術をいかんなく発揮し曲想に自らの思いを乗せる。特にグリマルのヴァイオリンは、「情念」のようなものを感じる。重音にも器用に伸縮や強弱の変化を与え、ニュアンスをたっぷり増幅し、陰影を深く刻んでいく。ヤナーチェクではその傾向がやや強く出すぎた感もあるが、全般に各楽曲の性格が強調された「濃い演奏」になっていて、とても面白い。もっとも私にとって印象深かったのは、エネスコのヴァイオリン・ソナタ第3番である。この曲は、最近では人気が上がってきて、様々な録音で聴くことが出来るようになったが、雰囲気の濃密さという点で当録音は素晴らしい。ジプシーの主題の野趣的な歌いまわしであったり、神秘的な霧を感じさせる気配であったり、そのような「何か」を感じさせるという点で、感覚的な鋭敏さを感じさせる演奏で、楽曲を体感しているという印象が強い。バルトークの曲は、オーケストラ伴奏版にもまけない表現力で、研ぎ澄まされた感覚美を如何なく発揮している。シマノフスキは、彼らの演奏技術の高さが細やかなイントネーションを鮮やかに描き出しており、見事。ヤナーチェクも前述のように、私の好みでは表現性が過多に感じられるところがあるものの、演奏の完成度自体は完璧と言って良いもの。アルバム全体としても、際立った完成度を誇っているだろう。0 people agree with this review
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