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Schoenberg, Arnold (1874-1951)

CD Pierrot Lunaire, Etc: Shelton(S)knussen / Da Capo Chamber Players

Pierrot Lunaire, Etc: Shelton(S)knussen / Da Capo Chamber Players

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    伊奈八  |  茨城県  |  不明  |  17/October/2021

    室内楽曲としての「月に憑かれたピエロ」を楽しめるCDだ。 シェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」op.21と、「心のしげみ」op.20と、「月に憑かれたピエロ」op.21の英語訳版が収録されている。 このCDは、特徴を長い間掴めなかったものだ。 演奏団体のDa Capo Chamber Playersは、指揮者なしで「ピエロ」を演奏している。これは実は大変珍しい。 指揮者がいないため、演奏全体を貫く主張に乏しい面がある。 その分、室内楽的なアンサンブルの上手さと面白さで聴かせる演奏なのだが、それを細部まで味わうには、再生音のクォリティが高い必要があった。 それが、私には長い間難しかったのである。 そのため、この演奏の印象は、長らくぼんやりとしていたが、やっと良さが分かるようになってきた。 「月に憑かれたピエロ」は、短い曲が21曲あり、それが7曲ずつの3部に分かれている。 第1部は、夜の世界への招待という趣があり、ほのかな哀愁と、次第に暗部に踏み込む恐怖がある。 第2部は、真夜中の冒険といった趣で、不気味、背徳、残酷、耽美な幻想が繰り広げられる。 第3部は、次第に夜明けが近づき、明るい世界に戻っていく過程であり、郷愁、馬鹿騒ぎを経て、最後は安らいで終わる。 Da Capo Chamber Playersの演奏は、一曲一曲に室内アンサンブルとしてのこだわりを見せている。とりわけ第1部ではデュナーミク(強弱)の付け方が大きく、繊細な弱音で奏する部分が多い。 クラリネットのように、いくらでも音量を小さくできる楽器が、限界まで小さい音で吹いたりするので、再生音のSN比(静けさ)がよくないと、演奏の細部を聞き取れず、音楽に集中できなくなってしまうのだ。 私は、古いCDプレーヤーと、アンプとスピーカーという、過去の遺物となりつつあるオーディオ装置で音楽を聴いているので、演奏の特徴を十分に聴き取れるほど再生音が良くなるまで酷く遠回りをした。(ちなみに、音質向上の決め手は静電気を減らすことである。) 音質に優れたMP3プレーヤーと、高性能のイヤホン又はヘッドホンで音楽を聴いている方は、私より良い音でこの演奏を楽しめるかもしれない。 音質の問題をクリアできれば、この演奏は、室内楽としての「月に憑かれたピエロ」を聴く楽しみを味わわせてくれる。 特に、次第に世界が明るくなる第3部では、この団体の良さが生きてくる。 語りのルーシー・シェルトンは、高い声のソプラノであり、「ピエロ」の語り手としては、優しい声で、表情豊か、音域が高い方に特に広いという特徴がある。恐怖の第6曲の「メーーーンシャーーーーイト!」と叫ぶ部分で、こんなに高い音まで上がる人は初めて聞いた。 音質の影響で印象が変わりやすい演奏なので、細部がぼんやりして聞こえなかったり、語りと楽器がバラバラに聞こえたりしている内は十分ではない。 良い音で聴けた暁には、隅々までニュアンス豊かな演奏に感動することだろう。 このCDの2曲目は、「心のしげみ」op.20だ。 メーテルリンクの詩に作曲したもので、ソプラノと、チェレスタと、ハルモニウム(オルガン)と、ハープのために書かれている、3分程度の曲だ。 変わった曲が多いシェーンベルク作品の中でも、もっとも特異なものかと思う。 詩の内容は、青いガラスの花飾りを見て、様々な植物の中で百合だけが孤高な輝きを放っている姿に惹かれるというもの。 まず伴奏の神秘的な音色がぞくぞくする。 その上、ソプラノは、前半は低めの声でずっと歌っていて、後半になり百合のことを歌い始めてから急激に音域が上がって、コロラトゥーラ・ソプラノでも最も高い3点ヘ音という人間離れした高さまで上がってしまう。(歌唱技術の点で最も難しい曲であるらしい。) レアな曲で録音も少ないが、私は幸いCDで聴ける4つの演奏は持っていたので聞き比べてみた。 バートン&アサートン盤、シェルトン&ナッセン指揮の当盤、フルス&クラフト盤、シェーファー&ブーレーズ盤の4つだ。 詳細は略すが、当盤であるシェルトン&ナッセンの演奏が、聞き手に与えるダメージが一番大きく優れていると感じた。(←褒めています。)さすがはナッセンである。惜しい指揮者を亡くしたものだ。 さて、このCDには、「月に憑かれたピエロ」op.21の英語訳版も収録されている。 アンドリュー・ポーターというニューヨークの音楽評論家の手になる翻訳で、調べてみると、「ピエロ」の英語版は、多くの訳者が努力して取り組んできたもののようだ。 私は、「ピエロ」の日本語訳版も、2つのバージョンを実演で聴いたことがある。 原曲が、ドイツ語のアクセントと音楽の一体感が強い作品なので、他の言語に翻訳すると失われるものが多い。 この英語版も、最初は聴くのが苦痛だった。 しかし、ドイツ語の語順と対応するように英語訳されているので、ロスバウト指揮の「ナポレオン・ボナパルトへのオード」のドイツ語版よりはずっと違和感が少ない。 演奏解釈はドイツ語版とほとんど変わらない。しかし、骨を折ってトラックの聴き比べをしてみて、違いがあることも分かってきた。 まず、ボーカル・トラックだけをすげ替えたりせず、全部を録音し直している。 そして、音質が違う。 英語版の方が、よりくっきりした鮮明な音質となっている。 そのため、ドイツ語版で細部のアンサンブルがモヤモヤして聞き取りにくかった曲もずっと各楽器の音がハッキリ聞こえる。 これで、演奏も良かったら良いこと尽くめなのだが、音がハッキリした分、むしろ表現が単純になり、雰囲気に乏しくなったように聞こえてしまった。 この辺りは、もっと再生音のクォリティが高ければ印象が変わる可能性もあり、悩ましいところだ。 CDの演奏評は難しい。生演奏の感想の方がずっと印象がぶれずに済む。 評価はあくまで主観的なものだが、良い演奏ではあるものの、再生上の難易度の高さから4点とした。 オーディオ装置の音に自信がある方は聴いてみたらよいと思う。室内楽の良い演奏会を聴いたような感動が味わえる筈だ。

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