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大原まり子

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ハイブリッド・チャイルド

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    チキンラーメン  |  不明  |  不明  |  11/April/2021

    サイエンス・フィクション(SF)小説とは何かと問われたとき、1つ考えられるのは、我々の日常とは異なる世界に置かれた「魂」が、どのように振る舞うのかを描く小説であるということです。SF小説「ハイブリッド・チャイルド」では、核融合炉の心臓と特殊金属の骨組みをベースに生物細胞の衣をまとった「無敵」のAI兵器=ハイブリッド・チャイルドが自我に目覚め、ヨナという少女/女性の姿で世界を放浪します。細胞をサンプリングすることで他者の過去を丸ごと経験できるヨナが、人間と機械との終わりのない戦争が続く世界を背景に、自分そして他者とどう向き合うのかが描かれます。少女の姿をした人造人間というと一種のフェティシズムに陥りがちですが、大原まり子はハイブリッド・チャイルド=ヨナの内面の揺らぎを執拗に描写することで、フェティシズムを薄めることに成功している、と思います(文庫版のあとがきで著者は、ヨナは自分自身であると述べています)。ヨナは母親から虐待を受けていた少女であり、その経験を受け継いだハイブリッド・チャイルドは、愛されたいという渇望を抱いてさ迷い続けます。だからこそ、物語の終盤でヨナが真に愛する他者を発見したとき、たとえそれが悲劇に終わろうとも、読者は大きな感動を得るのです。物語は、時代・舞台の異なる3つの章で構成されていますが、導入部の「ハイブリッド・チャイルド」と、物語の核となる幻想的な終章「アクアプラネット」に挟まれた小編「告別のあいさつ」の詩情豊かな美しさが際立ちます。この一編についてはいつか映像化してもらいたいものです。

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