Dichterliebe & other Heine settings : Finley, Drake
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ひのき饅頭 | 愛媛県 | 不明 | 11/July/2010
「詩人の恋」の録音は、ディースカウ+エッシェンバッハの演奏と、どうしても比較されてしまう(仕方がないけど)。声が建前、伴奏が本音の世界で、全体の構成を見通した伴奏の、見事な構成と展開が、ディースカウの演劇性抜群(この点は私の好みではない)の歌唱の魅力を最高度に引き立てており、圧倒的にレベルの高い録音だった。そのような状況下で、ボストリッジ+ドレイクの録音には驚かされた。揺れ動く、純粋で敬虔ささえ感じられるシューマンの憧憬、「結晶化」という固形化され視覚化される方向性を示唆する語群が鈍感かと思われるような、それよりは繊細な「触知」と呼ばれる、言語化の困難さを示唆する語群こそ適切かと思われるような、その微妙な領域を音に還元する恐るべき伴奏。全く抜群に素晴らしい伴奏だった。そして今回フィンリーとの「詩人の恋」。この伴奏がまた凄い。ボストリッジとは調性が違うし、声の質も異なる。ドレイクはまず歌手の声をベースに楽曲の和音のバランスをコントロール、その強度までも調節し、最善の音環境を提供してくる。そうして作り出せる音域で何が表現可能で不可能かを明確に判断し、表現を組み立てていく。それでいて完璧に相手軸で適応し、伴奏の条件を十全に満たし、世界までも創造する。しかもそれは「声」が主役として十全に機能する世界。このようなことが可能なピアニストは現在いない。さらに今回の録音では、恋をすることの畏れ、揺らぎ、迷いといった「不安の概念」かと思われるような不安定な領域を、この曲集から引き出していることに驚く。成熟の年齢に到った詩人の恋と呼ぶにふさわしい表現。この曲集からここまで「不安の概念」を引き出した演奏は無かった。それにしても若いフィンリーの歌にここまでの陰影を与えるとは、全く脱帽である。人を恋する怖さに慄き、かつ恋の素晴らしさも狡さも醜さも経験して、自らの存在に苦悩したことのある人は、この録音から強烈な衝撃を受けるかもしれない。このような録音こそが「古典」としての音楽の真骨頂だと思える。しかもそのような表現を、音の状況に最善な構造をさりげなく鳴らすことで実現しているのだから、これは途轍もない力量だ。もしこの録音が気に入ったなら、このコンビのサニュエル・バーバーの歌曲集も素晴らしいので、興味ある人は是非聴いてほしい。3 people agree with this review
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