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Beethoven (1770-1827)

CD Complete Violin Sonatas : Shunske Sato(Vn)Shuann Chai(P)(3CD)

Complete Violin Sonatas : Shunske Sato(Vn)Shuann Chai(P)(3CD)

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    うーつん  |  東京都  |  不明  |  12/October/2025

    豊かな創意工夫とそれを裏付ける技術、そこへ駆り立てる作品への敬意を感じる。 ガット弦を柔らかく、時に毅然と駆使する佐藤俊介のヴァイオリン、1800年(10番のみ1820年)製作の響き豊かなフォルテピアノで支えつつ表情豊かに奏するスーアン・チャイのコンビ。全体通してことさらベートーヴェンに挑み果敢に火花を散らすというイメージはない(冷めているというのではなく、無駄にアツくなりすぎないという意味)。お互いが楽譜を弾きこんだ上で、そこに何か付け加えていった演奏と思う。さながらベートーヴェンに対する「私達ならこういう音楽であなたのメッセージに応えてみたい」という回答なのかもしれない。 ヴァイオリンの、音と音が続くような奏法は人によっては多少好みがあるかもしれない(私は「フォルテピアノのアルペジオ的処理と呼応するように、音を個々に考えず流れとして繋げている感じで面白いな」と思った)。(現代ピアノと比べて)フォルテピアノが強く音を発しない分、ヴァイオリンも強く演奏せずに済み、むしろヴァイオリンが自然にでる声量で歌っているように思える。テンポは中庸、激しく両者が対して演奏を物すことはない。とって平凡な演奏にならず、室内楽の愉しみとベートーヴェンの作品への新たな光の当て方を提供してくれていると思う。  余談を少しだけ。  この全集と同じ曲目の演奏会が先日、浜離宮朝日ホールで行われた(2025年10月)。  私が行ったのは最終日(第7、8&10番)だった。基本的な演り方はCDと同様だが、時折CDとも違ったアプローチで聴かせてもらい、CDでは味わえない生の音楽体験に浸れたことに感謝したい。スーアン・チャイにより迸る音の泉を響かせる美しい木目のフォルムをまとったローゼンベルガー(1830年製作)のフォルテピアノ、ヴァイオリンに柔らかく弓をのせて音楽を創り出している佐藤俊介の柔軟でごく自然な手首と肘の動きを見ながら聴けるのはやはりライブならでは。  表現として適切か微妙ながら…、7番は両演奏者による対決のような厳しい曲に感じていたが、この2人の演奏で聴くと余計な飾りが自然に消え去り、幽玄な何やら情念(それほどどんよりしない程度の)の葛藤も含んだ能を観ているかのよう。8番は一転して快活な狂言。上品で節度を保ったユーモアとおしゃべりを駆使した狂言を観るかのよう。能と狂言が同時に演じられるのと同様、作品30のこの2つ(6番も作品30のひとつだが、ここではそれは置いといて…)がセットで奏されるのは能と狂言と同じだな、と思い立った。 そして最後の10番はそれらを見終わって外に出た時の青空を仰ぎ見るような爽快で満たされた雰囲気。ヴァイオリンもピアノもそして音楽も外に出て、青空に羽ばたいて行くかのような自由さと解放感に似た精神の飛翔……。そんな感想をもったのも付け加えさせてもらいたい。  生で鑑賞するのとCDで聴くのでは違いはあれど、そんなにいつも聴きに行けない身としてはこのCDで彼らの音楽を体験して心に栄養を与えていきたい。ぜひ皆さんにも聴いてみていただきたい。おすすめです。

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