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Bach, Johann Sebastian (1685-1750)

CD Complete Toccatas : Christophe Rousset(Cemb)

Complete Toccatas : Christophe Rousset(Cemb)

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    六里庵  |  京都府  |  不明  |  14/December/2024

    クリストフ・ルセは、1992年のイタリア協奏曲とフランス風序曲、93年のパルティータ集など円熟期の大作を皮切りに、卓越した技術と音楽性、独自の解釈でバッハのクラヴィア演奏界をリードし、今回のトッカータ集で30年余りのサイクルに一区切りを付けた。 トッカータ集は、バッハ青年期の試行錯誤を経て、規模と内容の充実した最初のまとまった曲集として現れた。 各曲の作曲順は、ライナーノートPeter Wollnyの推定に基づけば、次のようになる。 1.ニ短調BWV913(19歳頃)、2.ニ長調BWV912(20-22)、3.ホ短調BWV914(22-23)、4.ト短調BWV915(23頃)、5.ハ短調BWV911(25頃)、6.嬰ヘ短調BWV910(25頃)、7.ト長調BWV916(24-26)。 曲集内部の急速な成熟の跡と同時に、後の傑作群への発展の針路が見出せる。 初期のニ短調、ニ長調や、ト短調などの輝かしい即興部は、オルガントッカータや、半音階的幻想曲とフーガなど多くの「幻想曲」群に引き継がれている。終楽章のフーガは独立して規模を増し、最終フーガ以外の部分は前奏曲に収束し、平均律などの「前奏曲とフーガ」に結晶していく。そのフーガは、後年の傑作群に比ぶべくもないが、堅固に組み上げた音の織物から既にバッハらしい香気というべきものが強く立ち昇ってくる。 ホ短調BWV914は、4楽章の教会ソナタの形式に接近し、器楽独奏ソナタの先駆けとなった。第2楽章Un poco Allegroの2重フガートの上昇音形主題と下降音形主題は、ロ短調ミサ曲の最晩年作コンフィテオールに再び現れている。Confiteor章句とIn remissionem章句のストレッタに胸締めつけられる思いを覚えるのも、若い作曲家の情念がこの曲に受け継がれているためだろう。 3楽章からなるト長調BWV916は、後の多くの楽曲に影響を与えたイタリア協奏曲の最初期の形。第2楽章Adagioは、バッハの緩徐楽章の中でも最も美しいものだろう。各曲とも、そのような若いリリシズムと際立った技巧との幸福な交差を感じる。 こうして20代半ばのバッハは、時代を超えた巨匠として姿を現すことになる。 ルセの演奏はいつもながら覇気に富み、即興演奏もまた輝かしい冴えを見せる。情感に溢れた緩徐楽章も忘れがたい。バッハ20代前半のトッカータ集が「バッハ宇宙のビッグバン」ならば、40代の大作群は「バッハ宇宙の次なる加速膨張の開始」とも比喩すべきか。ルセは解体のエネルギーを秘めたクラヴィア練習曲集でバッハ・ツィクルスを開始し、トッカータ集で最初の爆発的拡大を回想して締めとすることを選んだのだろうか。

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