Le Vent

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    hiro  |  愛知県  |  不明  |  09/April/2014

    Colin VallonがECMサウンドの継承者であることを確信する傑作。 Colin Vallonは、1980年スイス・ローザンヌ生まれのピアニスト。 当地のジャズスクールで学び、1999年に自己のトリオを結成。ヴォーカリストの伴奏などでキャリアを積み、2004年にトリオとしては初のアルバム「Les Ombres」をUnit Recordsからリリース。 以降も歌伴などを務めながら、2006年にこれもトリオ名義で「Ailleurs」をHatHut Recordsからリリースします。 その後も様々なミュージシャンと共演を重ねながら、2011年、Colin Vallon・Patrice Moret・ Samuel Rohrer名義で「Rruga」をECM Recordsから発表すると、たちまちのうちにジャズファンの間にその名前が浸透し、期待の新人として注目を集めることになります。 Manfred Eicherが新しい才能を見出そうとする際には、当然、ECMの伝統を守ってくれるようなミュージシャンを求めるでしょうし、選ばれたミュージシャンは、そんなEicherの期待に全力で応えようとするのだと思います。 2012年には、同じECMから、ヴォーカリストElina Duniの「Matan Malit」に、Colin Vallon(piano)、Patrice Moret(bass)、Norbert Pfammatter(drums)のメンバーで参加し、バックを務めます。 この「Le Vent」は、トリオとしてECMからの第2弾で、ベースのMoretはそのままですが、ドラムスはJulian Sartoriusに替わっています。 2013年4月にオスロのRainbow Studioで、Jan Erik Kongshaugの手により録音された、正にECMど真ん中の作品。 非常に抑制の効いたサウンド、熱気は意図的に排除され、淡く美しい音色で空間に描かれた絵画のような世界がここにはあります。 トータル60分は、煩雑な日常の雑音から、いっとき自分を隔離し、心の有り様を整理するには、丁度良い時間かもしれません。 12曲中、1曲目の「Juuichi」がベーシストMoretの作品で、以降10曲目までが、Vallonのオリジナル。11曲目、12曲目が3人のインプロビゼーションとなっています。 どれもが淡い水彩画の趣があり、強く訴えかけるテーマも4ビートも遂に登場しませんが、川の流れをただ眺め、ゆっくりと時間が過ぎていくのを楽しむような気分を味わうのも良いのでは? 特に私は、3人の音へのこだわりに関心をもちました。Moretは、ボーイング奏法を駆使し、奇妙とも感じるベース音を聴かせてくれますし(5曲目「Fade」など)、Pfammatterは、穏やかながら不規則なタイミングでピアニストに刺激を与えるドラミングを披露(7曲目「Le Quai」など)。そして、Vallonは、prepared pianoによるパーカッシブなピアノ音でアルバムに変化をもたらしています(10曲目「Rouge」など)。 エピローグともいえるラスト2曲「Styx」、「Coriolis」にその音へのこだわりが顕著に現れていると思います。

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