贖罪 ナチス副総統ルドルフ・ヘスの戦争
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アーチ | 東京都 | 不明 | 15/March/2021
まずなぜ著者がルドルフ・ヘスに興味を持ったかが語られる。子どもの頃、記憶に残った人というのは、深い理由がなくともいつまでも気になっているということはある。著者は、ずっとヘスのことが頭にあって、こうやって形にしないと自分自身がヘスであるかのような気になってしまったのかもしれない。 最初の部分は創作ではなく、著者の子ども時代の争時体験が語られている。自らの福井空襲の体験を書き残す必要性も感じていたのだろう。 ヘスの告白部分は、実際にドイツで起こった事件を紹介しながら、ヘスがなぜ英国に単独飛行をしたかが語られる。この部分の「主語のない文章」という体裁は、日本語だからこそできたのであって、著者による創作上の実験精神が嬉しい。 敗戦までのドイツの状況は、ヘスに語らせるわけにはいかないため、懇意にしていた大学の先生の息子の遺書の形で語られる。ヘスに親近感を感じていた人ゆえ、視点がヘスと似てしまったことが気になった--英国側から語らせるという方法もあったろう--が、小説上の技巧には興味はなかったと理解した。 まるで吉田監督の新作映画を見ているかのようで、88歳になろうとしている監督がこの本を世に出したことを素直に喜びたい。0 people agree with this review
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