Tristan und Isolde : Audi, Daniele Gatti / Rome Opera, Schager, R.Nicholls, Relyea, Breedt, Polegato, etc (2016 Stereo)
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 02/November/2020
一番の聴きものは、やはりシャーガーのトリスタンか。2年後、ベルリンでのチェルニャコフ/バレンボイム版の方がさらに良いが、素晴らしいヘルデン・テノールに成長したものだ。2015年のカンブルラン/読響でも聴いたニコルズはまあまあ。細身な声で本物のドラマティック・ソプラノではないが、イゾルデ役としては悪くない。他にはレリアのマルケ王がまだ男盛りで(世継ぎを望んで再婚したわけだから、これで正解)、好感の持てるキャラになっている。ガッティの指揮はいつも通りクリアかつ色彩豊かだが、第2幕二重唱のクライマックスなどではかなり緩急の変化もつける。ただし『パルジファル』『マイスタージンガー』に比べると、残念ながらオケが落ちる。明晰なのは良いとしても響きが必要以上に薄く感じるのは、指揮者の本意ではあるまい。 人物達の服装などは「超時代風」だが、演出家に特定の状況に読み替えようという意図はないようだ。基本的にアンチリアル路線なので、可もなし不可もなしだが、個人的には二点ほど気に入らないところがある。第1幕で媚薬を飲む場面も同じ杯から飲むようには見せないが、飲んでから二人が抱き合うどころか全く接触しないのは、ちょっと極端。第2幕二重唱でもせいぜい肩を寄せて座る程度、第3幕でもイゾルデはトリスタンの遺体に触れようとしない。二人の関係は肉体関係じゃなくスピリチュアルなものだという演出家の主張は了解できるが、どうしても違和感が残る。この作品の描くエロス=タナトスは肉体関係を排除しないし、むしろ必須とするものだ、というのが私の考えなので。もう一つは、トリスタンと同年配のはずのメロートを極端な老人にしてしまったこと。これでは二人の同性愛関係が行方不明になってしまう。トリスタンのセリフにはこうある。「彼は私を愛したが、私同様、イゾルデの眼差しに幻惑されたのだ」と。なお、日本語字幕は随所で思い切った意訳を試みているが、私の解釈と違う箇所だらけ。第2幕二重唱はショーペンハウアーを踏まえた哲学的な歌詞なので、意味が通る限りは直訳が望ましいと思う。これも好みの問題ではあるが。2 people agree with this review
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